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14-12

プリンセス五月雨はユナの横で足を止め

「あっ、そういえば半沢市長にお届け物があるんでした。この前お店に来た頂いた時、領収書お忘れでしたよ」

と紙切れを取り出すと、それをユナにひょいと渡した。

「今の私はセイウチの息によって臭いので、半沢市長に直接お渡しするのは憚られます。なのでユナさんに託しますね。市長のご依頼通り、事務所の名義で領収書を切っておきました」

ユナは受け取った領収書をテレビカメラに向け

「おおーっと、半沢市長、夜のお店の料金をご自身の政治団体の経費で落としているのですか⁉」

と半沢現市長の選挙戦にとって致命傷となる質問を投げかけた。

「ちょっと待て、貴様そんなこと…いや、違うんだ!そうだ、地元にお金を落とそうと、経済対策で…」

半沢現市長がしどろもどろになる。すかさずプリンセス五月雨が

「川崎にあるお店よ。ユナさんもよかったら遊びに来てね」

と彼のたどたどしい言い訳を握りつぶした。

「では半沢市長、ご武運をお祈りしております」

プリンセス五月雨は右手を上げるとユナとハイタッチを交わして去っていった。

「違うから、あれは、あの女が勝手にうちの事務所の名前で領収書を…」

とカメラに言い訳を続ける半沢現市長をユナは白けた目で見下しながら、プリンセス五月雨とハイタッチを交わした右手を嗅いでみた。

「…っウェッ」

ユナは思わずえずいた。

プリンセス五月雨は公園を出ると、黒いワンボックスカーの後部座席に乗り込んだ。


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