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「おいおい、なんで敵がいないところにパンチを打つんだ?」
セイウチ三好が呆れたように黄瀬に聞いた。
「そんなつもりはないんですが…おかしいな」
黄瀬は困惑したように首をひねっている。
「あのお姉さん、攻撃の動きが起こる前に攻撃を避けてございますぅー」
赤嶺はウグイス嬢口調で仲間たちに伝えた。
「メイド娘わかってるじゃない。そう、私ったら相手の動きがちょっとだけ読めちゃうのよね。だから超能力、サイキックってあだ名をつけられたの。でも私はサイキックと言うより…」
プリンセス五月雨は少し溜めを作って
「女の勘だと思ってる」
とドヤ顔をした。
「凄いんだか凄くないんだかわからんな」
セイウチ三好が言った。
「たぶん何かの格闘技の達人だと思われますぅ。相手のわずかな予備動作だけで攻撃を見極めていらっしゃいますぅー」
赤嶺が格闘技経験者らしい説明を加える。
「半分正解よ。だけど、相手の攻撃する意思なんかがわかっちゃうのも本当。フィジカルだけじゃなくて、そういう感覚を強化してるの」
プリンセス五月雨は指先で自分のこめかみの辺りを指し示した。そして彼女は再びファイティングポーズを取ってセイウチ三好たちを睨みつけた。
「あなたたちが選挙に出たりセイレネスがヘマやらかすから、私が出張る羽目になったの。まったく、面倒くさいったらないわ!本当はこんな仕事私向きじゃないのよ。あなたたちの選挙活動、ここで散らせてあげる」
プリンセス五月雨は疲れた様子もなくセイウチ三好を睨み据えた。ニジヘビ団の残りはすでにセイウチ三好と紫垣と赤嶺だけになっている。




