第14話 選挙の中のセイウチ
Z市市内を選挙カー使用になったニジヘビ団のワゴン車は走った。ワゴン車のボンネットには『ニジヘビ党 セイウチ三好』の看板が掲げられている。
紫垣が運転する横で、赤嶺がマイクを手に
「ニジヘビ党から出馬しました、セイウチ、セイウチ三好でございますー。やる気、ラッキー、ぽんぽこピー。セイウチ三好でございますー」
とテキトーなアナウンスをしている。
立候補者であるセイウチ三好は後部座席の窓から顔を出して
「ググジューッ!」
と奇声を上げて歩行者を威嚇していた。
青島はセイウチ三好の横の席に座り、道行く人に手を振っている。そしてワゴン車の後ろを、『セイウチ三好』ののぼりを立てた暴走族仕様の原付バイク数台が爆音を立てながら追随する。黄瀬と緑川も原付バイク組に入っていた。
彼らの活動をカメラに収めるべく相模国ヴィクトリアテレビの車も後に続いて、選挙カー行列をなしていた。
ニジヘビ党セイウチ三好の一行が市民の憩いの場である公園に差し掛かった時、対向反対車線に選挙カーを停車させて市民に呼び掛けている現任のZ市市長・半沢ダンプ(66歳)と鉢合わせた。
「Z市民の皆さん、あのような悪の組織が市長に出馬するなど世も末です!くれぐれも騙されることのないよう、名誉ある一票を、よろしくお願いします!」
半沢はマイクに叫んだ。それに対して赤嶺は、
「現任の半沢市長はあのようにおっしゃられておりますが、あえてこちらから申し上げますと、黙れ、言わずもがなのタマゴ野郎。お前に名誉なんてものがわかるものですか。みなさま、セイウチ三好に新鮮なお魚、もしくは清き一票をお願いいたしますぅ」
淡々と悪態をお返しした。




