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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

水晶の神様とお嫁さん

作者: 緑川きね



「成績いいからって調子に乗るなブス!!」


休み時間の間は教室の隅で数名の女子のクラスメイトに殴られて倒れると今度は蹴りを入れられて踏まれて、チャイムがなるとクラスメイトは席につき、先生が入ってくると痛みで倒れている私をみて


「早く席につきなさい」


と何事も無かったのようにいい授業をはじめようとした。


くすくすとした笑い声と見て見ぬふりのクラスメイト。


つらい。親も私になんて興味無い。

だけど、私にはこれがある。


校庭の裏庭でビー玉サイズの水晶を指先で掴んで紅葉したもみじを眺め


「今日も綺麗だ…!」


小さい頃祖母に貰った大切な宝物だった。

両親が共働きで私のことにはまるで興味のない人たちとは違い。

育ててくれた祖母は大切な人。

そんな祖母が私が中3の頃に死ぬ前にくれたのはビー玉サイズのこの水晶だ。


『これを持っていればいつかは素敵な家族ができるからね』


そう言って祖母は息を引き取った。


そんなことを思い出していると今まで見た事のない綺麗な日本庭園の屋敷が現れた。

どこか知らない場所。


小さな子供が2人がどこからともなく現れた。

なんとなくの勘だが人には見えない。

私の持っている水晶をみて子供たちは


「お嫁様だ!」


「お嫁様がきた!」


と私の手を右と左で両方で2人で挟んで屋敷の中に招き入れ、

奥の部屋に案内されてると襖を空けられ、

すると緑の着物を着た青年が正座していた。


「お嫁様つれてきた!」


「きた!」


私は青年の向かい側に座らされた。


「あの…お嫁様というのはどういう?」


「この水晶をもってるということはトキの孫か? 」


持っている水晶を青年は見るとそう聞いた。


私は頷くと。


「私は玄武という、君の家族になるとトキと約束した」


と爆弾発言。


「トキは孫を心配していた…自分が死んだら孫がひとりぼっちになるから、誰でもいいから家族になってくれる人をと望んでいた 」


「おばあちゃん…」


おばあちゃんとの思い出に浸ってると玄武が口を開いた。


「君も年頃だ、好きな相手くらいいるだろう今なら戻れる」


と立ち上がって襖を開けた。


「いませんが?」


私ははっきりと言った。辛い気持ちが口からあふれてくる。


「親も仕事がいそがしくて、家事は私がして、遊ぶ時間なんてないから友達もできなくて、こんなことされたり」


服をめくるとアザの数々があった。やけどのあとも。


「では現世に未練は無いのか?」


「あんな世界で生きるよりあなたの花嫁になる方がいい 」


そう言って玄武を抱きしめた。

ああ、私にも家族ができたよ。

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