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幼な妻は泣くことを止めました〜いばらの館には夢見たものは何もなかった〜  作者: 帆々


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禁じられた遊び 1

ロエルからアリスへ


『……医師の勧めもあり乗馬を再開しています。手綱をうっかり落とし、落馬しかけて慌てました。あなたのロフィ君はもう子馬に乗るでしょう。今の僕はちょうど彼と同じくらいの腕前ですよ。習いたての気持ちがわかるので、彼と仲良くなれそうな気がします。


 もうしばらくこちらに滞在する予定です。シェリーシュが先の山から標本を持って帰るのを待っています。僕が行けたらいいが、母との約束を違える訳にもいかず彼に頼みました。


 馬に乗って本を読み、頓挫した仕事をやり直しています。大叔父に狩りを誘われました。領地はいい狩り場があって、父ともよく訪れていました。


 日が過ぎるのが長いほど静かな場所ですが、あなたはお好きなのではないかと思います。ここでなら、人目を気にせずお会いできるのに……』



 アリスからロエルへ


『……馬にもお乗りとか、ご回復が嬉しいですわ。ロフィは人に綱を引いてもらって子馬に乗ります。大層可愛いらしい様子です。まさかあなたがそれと同じとは思えません。


 公爵夫人にお誘いを受けて晩餐をいただきました。あなたの少年の頃のお話もうかがいました。わんぱくでいらっしゃったのだとか。さもありなん、という心地でした。時々、あなたをいじめっ子に思えて仕方がない時がありましたもの。

 

 ご親切にお勧め下さるので、ついお菓子をいただき過ぎてしまったようです。恥ずかしく思います。あなたがいらっしゃらないのを寂しく思いましたが、それで良かったのですわ。きっとお笑いになるでしょうから……』


 

 ロエルからアリスへ


『……母は気安く人を招くたちではありません。保守的で人見知りな女性です。あなたをとても気に入ったのでしょう。

 

 母が何を話したのか想像がつきます。それで母を何度か泣かせましたから。僕は粗暴だったのではなく、殴られたから殴り返しただけでのことです。


 こちらの滞在はとても気に入っています。時間の流れも穏やかで、長い夏の休暇のようです。あなたに忘れられてしまうのでは、と焦れるような気持ちになります。


 少しの時間でいいので、僕にいただけませんか? ぜひお会いしたいのです……』



 アリスからロエルへ


『……申し訳ありませんでした。身辺が慌ただしくて、お手紙をお返し出来ずにいました。邸に来客も多く、控えておりました。侍女も慎重になった方がいいと申しますので。


 夫の父が亡くなりました。長いお風邪だったのは知っておりましたが、そこまでお悪いとは思ってもみませんでした。見舞うことも稀で、知らせに驚いています。ちょっと悄然となりました。負の印象が強いですが舅のおかげもあります。それは認めなくてはならないでしょう。


 弔いを終え、周辺も落ち着きました。わたしは離れでまた静かにしています。ようやく手紙に向き合うことができて、これまであなたにいただいたお手紙を読み返してみました。大叔父様のお館からのものだけで、少ないはずでした。実は、思い悩み、あなたのお手紙を処分したことがあります。


 全て燃やしたはずでしたが、侍女がそれをせずしまってくれていたのです。とても嬉しかった。失ったはずのお手紙がこうして目の前にあって、また読み返せるのです。


 いただいたお手紙を眺めていると、あなたがまるで本の中の人のように感じられもして不思議です。わたしが寂しさに耐えかねて、想像して作り上げた理想の方ではないかと思えてしまいます。随分とお会いしていないから、そんなことを考えてしまうのかも……』


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