妹からの手紙
お姉さま、元気にしていますか?
私は元気です。
この学校に来てからもうすぐ三年が経ちます。
仲良くしていたお友達もちらほら自分の国に帰る子が出てきました。
編入当初はお互いに喧嘩をしたり、嫌味を言いあったりしていましたが、
今になってみれば笑って話せることばかりです。
お別れの記念にハンカチにそれぞれ刺繍をしたら、布の部分が見えなくなるくらいになってしまって、
折りたたむのに苦労する物ができてしまいました。
ハンカチとしては使えないですが、思い出としては良いものだと思いませんか?
きっとお姉さまなら一緒に大笑いしてくれる気がします。
この間、お父様とお母様が来てくれました。
もうすぐ私も家に戻れるみたいです。
その時に、お姉さまとジェームス様の婚約の話を聞きました。
とても驚きました。
でも、お姉さまなら公爵夫人としての勉強もやってのけるだろうな、と思っています。
私は可愛ければ幸せになれると思っていました。
でも、この学校で皆と話すうちに少しずつ違うかも、と思うようになりました。
ジェームス様は公爵令息だから、結婚すれば自由に贅沢な暮らしができると思っていたのですが、
違うのですね。
お友達からもいわれました。
可愛いだけでめでたしめでたしなんて夢の世界の話か、小説の中にしかないって。
今でもあまり勉強は好きになれませんが、先生からは人並みになったと言われました。
マナーも大丈夫になったと思います、多分。
でもお姉さまと寝転がって話をしたり、お菓子をこっそり食べたり、木に登ってお姉さまがとってくれる果物を私が受け取ったり、そんな事をまたしたいな、とも思っちゃいます。
お姉さまはもうやりたくないかしら?
お父様からは家に戻ったらどうしたいか聞かれました。
私は領地に行きたいと答えました。
領地で学校で仲良くなった子達と手紙をやり取りしたり、得意になった刺繍をしたりしたいです。
王都に戻っても私には学園にお友達がいませんでしたから、いても社交界に行きたくないのです。
お兄様と義姉様の邪魔になりたくないですしね。
お姉さまが公爵夫人になるまでの間、領地で会えるのを待っています。
この間、お兄様から荷物が届きました。
中にクッキーが入っていました。
お兄様の手作りなんですって。
でも自分が作っていることは誰にも秘密だぞ、と手紙が入っていました。
帰ってきたら新作クッキーを三人で食べようですって。
お姉さま、お手紙にいつも 可愛いメラニーへ って書いてくれてありがとう。
私も書いておきますね。
大好きなお姉さまへ メラニーより
「メラニーから手紙が来たの」
「結構頻繁にやり取りしてないか?」
「そうねえ、割と多いかも」
「仲良しだな」
「仲良しだもの」
「ちょっと妬けるな」
そう言って顔をしかめるジェームスの鼻をチョンとつつきながらケイトは笑った。
「あなたとも仲良しよ」
「はは、またイベントに行こうか」
「蛇を取りに?それともカエル?」
「違うものがいいな」
二人がいる部屋の飾り棚には蛇とカエルの置物が二個づつ、でかいウサギのぬいぐるみが一つ飾ってある。
今度ぬいぐるみをとったらメラニーにあげよう、ケイトはそう思った。
これで完結です。
読んでいただきありがとうございました。




