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46 人類が犯した大罪

 しかし、裏世界よりやってきた彼らの特性は『蠱毒』。

 彼らは、殺した生命という質量を溜め込み成長するという特性を持っていた。

 そうして殺して、殺して、殺し続けて最強の一人を決める…それが裏世界より出たる『精霊』の特徴であった。

 神にとってそれは異常事態だった。

 この星が死ぬまでリサイクルされ続ける筈の命の質量が外来種によって横取りされているのだから。


「吸血鬼なんて特例まで製作して対策したというのに…」

 信仰への畏怖を纏った精霊はあの頃を思い出して悦に浸る。


「ソテル自身は強かったですから、あのままいけば私達は駆除されていたでしょう」

 自然の脅威への畏怖を纏った精霊は、あの頃を思い出して静かに頷く。


「アイツら、強かった、オデの手下いつも生成室送リ」

 生命の脅威への畏怖を纏った精霊は、いつも倒される部下達を思って涙を流す。


「残念なごどでず、彼らを食えれば更なる力を得られたでじょうに」

 疾患への畏怖を纏った精霊は、逃した餌の大きさに再度肩を落とす。


「まあ、いつかを待って世界が雨で洗い流されてもこうして遊んで待っていた甲斐があったということにしましょう」

「でもまだ弱いんでしょ★食べ頃はまだ先かな★」

 信仰は子供の姿に戻って、いえーいとジャンプする。


「ええ、本当に残念です」

 自然は噛み締めるように呟く。

世界の決定(国際連合)でソテルを殺さなければ、人類はあの栄光の旅路を続けられ、神を怒らすこともなかったでしょうに」



『どういうつもりじゃ』

『これが世界の決定です』

『ジジイ!』

 目の前で捕えられ殺された、マリアナの契約者をヘリオは今でも思い出す。

 あれが地獄への第一歩であった。

 ずっと守られ、崇め、ヒーローと称えたのに精霊の絶滅が見えてきたからと超能力を持つ彼らを殺した人類に待っていたのは、世界を維持する『神』による文明の大半を押し流した大雨と、太陽への拒否反応という文明発展への阻害措置という考えられるあまりで最悪に近い物だった。

 しかも生き残った精霊は、質の良い命が出てくるまで競争ではなく共存を選び、あのソテルが全滅してから神による強制執行の大雨が実行されるまでの半年の間に地球上の半分近い生命を食い尽くしたせいで手に負えない存在と化してしまった。

(あの時であれば勝てただろうが…今は…)

 膝を枕にして眠る愛娘の髪を撫でる。

「それでも、勝たないといけない」


そうしなければ、この表の世界の命は全て蠱毒の材料にされるだけなのだから。

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