16 人間工場※多少の残酷表現を含みます
「え、あ……な、なんだろ血液パックとか?」
「トマト?」
先生達がトマトという赤い食べ物を好んで栽培していたので、違うだろうなと思いながらも答えてみる。
「ぶぶー残念でした。けど、アスカはトマト知っているとは随分と博識やな」
ルーシュは、フーフーとお湯を冷まして一口飲んでから正解を答えた。
「正解は……子どもの工場でした」
ナナヤは絶句してしまい、私も驚いたがその反面そうかと納得してしまった。
それに、箱庭を飛び出したあの日マリアナが子どもを産むためだけの場所もあるかも知れないなと言っていたので特に抵抗もなく受け入れた。
私自身が、食われるためだけに生かされていたからかも知れないが。
「……滑った?」
「それで笑えるのは、壁の外から来た人間でも一部だと思うぞ」
ライトーニアが、思考停止したナナヤの頭を叩いて直していた。
「やっぱり存在するよね〜」
マリアナは自分の予想が当たったことが嬉しいのか、彼女が生きていた頃から変わらないものを見つけたのか笑顔でニコニコとしている。
…良かったねルーシュ、ここにウケている人物が一人いるよとは言えずお湯を飲んで言葉を濁す。
「お、お前らは…なんでそんなに衝撃受けてないんだよ…」
僕がおかしいのか?とナナヤの声が段々小さくなっていく。
ライトーニアは、眉を顰めるとなんとも言えない顔でその疑問に答える。
「俺は知ってたしな、だからお前があんまり驚いてないことの方がビックリしたわ、アスカ」
ライトーニアに名指しで呼ばれる。
「まぁ、私も似たり寄ったり…ルーシュより酷くはないと思うけど」
「なんと、似た境遇だったのか…まあ、うちのとこは副次的に子ども工場していたみたいなんやけどな」
「お、そこら辺は聞いたことねぇな」
ルーシュは努めて気にしていない風と、周りが暗くならないように元気に続きを話す。
「あのクソ糸目吸血鬼野郎は、なんでもダンピール?ってのを誕生させたかったらしいわ。けど、生まれるのは人間の子どもだけでな、一部は次の母体に残していたけど全員育てるのは面…難しいから売っていたっぽいわ」
「全員育てられない程生ませていたって、どれだけいたんだよ」
「うちも全員に会ってたわけやないから全貌は知らんけど…ソールよりはいたんやない?なんでも、結構強い吸血鬼やったみたいやな」
「まあ、吸血鬼は強い奴はバクってるしな」
「そうなんだ」
「せやで、あの女以外は殺処分する糸目野郎は私が荷台に隠れて逃げ出したことも認知していただろうに追ってこなかったんやから。一匹くらいモルモットが逃げ出しても気にしない程度には心の余裕があるちゅーことやな」
ルーシュは、その目に強い意志を灯して炎を見る。
「うちの目的はあの糸目野郎に一発拳を入れてやることや。あいつに殺されたうちの子どもの分も合わせて最低三発やな。この拳が届くまで死ぬつもりはないで」
「良い目標じゃねーか」
「す、すごい」
ライトーニアは感嘆を、壁の中で生まれ育ったナナヤはそんな過去を持っていても前を向けるルーシュに驚き尊敬の意を示していた。
私も、控えめに拍手を送ったが視界にチラチラと映るマリアナの顔がうるさいなと思った。
火を挟んだ私たちの中心辺りに立っている先程まであんなに笑っていたマリアナは、ルーシュの話を聞いているうちにうへーという顔に変貌していく。
「糸目の、男嫌いの、実力者…あいつも生きているんかよ…生きているよなー、そりゃ生きているよなー」
会いたくねーと本気で不快そうな顔をしている辺り、本気で嫌いで確信を持って誰なのかが分かったらしい。
こうしてみると、マリアナと公爵さまはなんやかんや彼女の生前は仲が良かったのかも知れない。
質問したら公爵さまの昔話してくれるかなと思ったが、なんとなくはぐらかされる気がする…なんとなくだけど。
「うちの話はこれでおしまい!次は…」




