12 気まぐれの命
箱庭には女の子しかいなかったため、正確な年齢は分からないがそれでも妹達よりは幼いように見える。
ハンターが「カッコいいから」という単純な理由で志望している彼らには、今回の旅路はまだ早い。
「まあ、妥当なラインやな」
「八人であれば、一人ずつ担当することも出来るし落とし所としてはまぁまぁか…」
「二人も異論はないようですね、では僕が話をつけてきましょう」
ナナヤは、二人からも反論がないのを確認すると例の二人の方へ向かった。
予想通り、二人は大声でナナヤに不満を垂れている。
「なんで、俺らは行けないんだよ」
「ですから、二人は流石に小さいので」
「ふざけんなよ、ずっと居住区から出れらなくてやっと外を見られるチャンスなんだそ!外から来た余所者命令されたくねぇよ!」
納得のいかない様子の彼らはナナヤを責める言葉を止めず、とうのナナヤもうーんといった様子で困っていた。
「良い加減にしろよ、お前ら」
そこに殺到と割り込んだのは、ライトーニアであった。
彼は、鈍い音がするほど思いっきり彼らに拳骨を食らわす。
「い〜〜な、何すんだよライトーニア」
「俺ら、何も間違ったこと言ってねぇだろ」
「お前ら、吸血鬼を舐めすぎなんだよ」
心をへし折るように、ライトーニアは彼らの内の一人の腹を蹴る。
「いっ」
「ここから出たことないんだったら、吸血鬼にも実際会ったことないんだろ?なら、俺が教えてやるよ。ほら、さっさと立ち上がれ三秒以内に反撃して来なかったら死ぬだけだぞ」
「ふ、ふざけんな。腹蹴られて三秒なんて」
「やりす…」
やりすぎだと、止めようとした私の手をルーシュが掴みフルフルと首を横に振って下させる。
「で、でも流石に」
「ここで折っておかないと、彼らが死ぬんや。アスカも外から来たんだったら分かるやろ、なら怪我を負わして物理的に置いていくしかない。最悪、私達も巻き添えで死ぬ」
そうだけどという声は喉を通らず、鈍い音に目線を彼らに戻す。
そこでは、ライトーニアが蹴飛ばさなかった方の少年を片手で掴み上げており、蔑んだ目で見下していた。
「ほら、さっさと反撃しろよ。俺にこんなにコテンパンにされているのに、吸血鬼から生き残れるわけねぇだろ」
「う…うぅ」
「ちっ」
ライトーニアは舌打ちをするが、追撃をやめる気はないらしく少年を地面に叩き付けて、足を上げる。
「流石にやりすぎだ、ライトーニア」
ナナヤは、ライトーニアの足を掴んでやめさせ、膝を着きと少年と目を合わせる。
「けど…これが現実なんだ」
少年達は恐怖で顔を青ざめる。
「僕達は自分の力で、生き抜いているんじゃなくて…吸血鬼の気分で生かされているにすぎないんだ。君達の命を守ためにも。僕らの命を守ためにも…やっぱり連れて行くことは出来ない」
諭すように、それでもきっぱりと突き放す声でナナヤは言い切る。
「ナナヤの馬鹿野郎!」
少年は、泣きながら部屋を飛び出すと蹴られた少年も腹を抑えながら慌ててその後を追う。
「嫌な役をさせて悪い」
「ベーつに?あれくらいでへこたれちゃどちらにせよ続かんだろ」
ライトーニアは、ケロッした顔で首をゴリゴリと回す。
「中々蹴り慣れているわね、あの子」
マリアナは、くすくすと笑って現れた。
蹴り慣れているというのはどういうことだと目線を周りに気づかれないように流せば、あぁとその笑みを崩さずに彼女は答える。
「ずっと思ってはいたがけど、あのライトーニアという男周りと比べて段違いで動きにキレがある、あれは付け焼き刃で出来るものでもなければ、天性の才能という感じでもない、あれは戦い慣れている凡夫ね」
また興奮してまた口調が雑になっているなと思いながら、視線をナナヤをベシベシ叩いて元気付けているライトーニアに向ける。
十人いれば、十人の過去がある…きっと彼もそれ相応の過去があると言うことだろうか。
「この旅の中で知れば良いわ、人間は知恵と群れることによってこの星を支配してきた種族なのだから」
私の気持ちを理解しているのか、いないのかマリアナはすっと壁に消えながら言葉を残す。
「仲間になるんでしょう?なら、なんでも言い合える仲になっておきなさい。そうでもしなきゃ、吸血鬼を打ち負かそうなんで烏滸がましいにも程があるってものよ」
「アスカ、作戦詰めておきたいから少し時間いいか?」
「大丈夫。今行くよ」




