月下の死闘その2
「死トは至高の脱力、生にシガミ付く愚者ヲ魂の軛カら解放セン。恐悦至極、狂喜乱舞、悲喜交交、大慶至極……歓喜セヨ」
人の果て、その行きつく末路である死。
それを司る死神はオレにゆっくりと死の宣告を行い、目の前で裁きの大鎌を振り上げる。
「くそ、がッ……くそくそくそ」
……ダメだ。
絶望で足も動かないし頭も働かない。
熱にうなされた時の様に視界がぼやけて捩じれる。
最早目の前に何がいるかも分からなくなった。
嘘だろ?
オレ死ぬのか?
いやだ。
いやだいやだいやだ。
……畜生。
畜生、畜生。
畜生、畜生、畜生、畜生、ちくしょう、ちくじょおおおおお!!
なんでオレが。
なんでこんな目に合わなくちゃいけないんだ。
オレが何をした!
オレがこの世界で何をしたってんだ!!
何も成してないじゃないか。
そう、何も成してないんだよ!
なのになんで?
なんで?なんで?なんで!!!
なんで……。
今のオレの心を支配しているのは襲い来る恐怖への逃避と死に対する忌避だけ。
死にたくない。
そう思うだけで目から熱いものが次々と滴り落ちてくる。
あぁオレってバカだな。
今更だけどこの歳になるまで気が付かなかったよ。
元の世界でも異世界でも何も無い、くだらないクズみたいで、いつでも投げ出したかった人生だったけど……。
それでも本当は生きていたいんだ、生き続けていたかったんだ。
それが心の奥底にある本当のオレの気持ちだったんだな。




