SFC ファイヤーエンブレム 紋章の謎
このゲームは結構ハマる要素が多いかと思いました。
これは面白いというか、昔ながらの王道なストーリーに思わずワクワクしてしまう『これぞレトロゲーム』と実感できる良質なゲームでした。例えるなら、一本道の三国志というか、ストーリーが全部一本に繋がっているタクティクスオウガというか。
ストーリーの途中に分岐や選択肢が無いのでストーリー選択に迷ったり悩んだりという事が無いという点で非常に良いゲームでしたが、ここに大きな落とし穴もあります。ステージがストーリー全体で44面もある中で、前半で46人中45人、後半で45いる仲間キャラを全て集めて全員生存させ、尚且つ後半では大して重要でもない12個の隠しアイテムを全部集めていないと真エンディングに辿り着けないという鬼のような仕様となっています。
前半では敵に触れられただけで死んでしまうような老人が敵の本陣まで行って説得しないと仲間にならないようなキャラもいますし、初見ではそんなキャラは仲間にせずに重装兵で刺し殺してしまうのが一番手っ取り早いため、後略サイトを熟読しないとまず真エンディングを見ることは出来ないと思いました。
ゲームのシステムは三国志や信長の野望のフィールド画面だけを次々とやっていくだけといった感じで、主人公が敵の本陣のマスまで辿り着いて『制圧』のコマンドを押した時点でステージクリアとなります。自陣の手駒は前半後半ともに最大45駒。各盤面毎に手駒の中から6〜16人を出陣させて主人公を敵の本陣まで辿り着かせるというのがゲームの目的となります。手駒の各キャラには将棋の駒と同じようにそれぞれ違った特性があり(キャラ付けがしてあり)、更に各駒は敵とぶつかる(戦う)毎に経験値が貯まって成長し、その成長速度も各駒毎に違う特徴を持たせてあります。ここが面白い要素の一つで、潜在能力の低いキャラは幾ら戦場に出して育てても弱いまま終わるので初めから一度も登用せず、鬼のように育つキャラだけを使い続けて鍛え上げ最強のエリート集団で部隊を結成すべく少数気鋭で出陣して敵部隊の経験値を少人数に集中して入れた方が良いとか、そのように全体の流れを通した戦略が立てられるのが面白いと思いました。
ただ、このようにシステム的には軍人将棋のようなゲームで、先述のように44面もの局面で『一駒も取られずに』全勝しなければ真エンディングが見られないなんて、チートでも使わないと無理な偉業でしょう。初見で、ヨボヨボの爺さんを出陣させて、その周囲を重装兵で囲みながら敵の本陣まで突っ込んで行って敵の大将の前に爺さんを放り出して説得を試みるなんて作戦、開発者でもない限り初見では絶対に思い付かないでしょう。私はそれ以前に初見ではこの爺さん自体必要ないと思って出会って即刻斬り捨ててしまいバッドエンディングを見てしまいました。この爺さん(バヌトゥ)がいるのが第6章。以降、後半含め34ステージがいくら頑張ってもバッドエンディングしかない無駄な努力になってしまい、最終のボスステージ4局面を見ることすら出来ない最悪な終わり方となってしまいました。勿論、最初から全部やり直しです。結構シビアなゲームです。
ここで、各手駒を取得順で、ごく簡単に紹介します。
- 第一部 -
マルス(主人公 。アリティア王国の王子。弱い。『宝箱を開ける』『制圧』が主人公しか出来ないため、そのためだけの必須要因。)
シーダ(ヒロイン。主人公の恋人。タリス王国の王女。弱い。何人かのキャラを『説得』して仲間にするためだけに必要。)
ジェイガン(弱い。老人。伸びしろが無い。アリティア王国の古参兵。主人公のマネージャー。)
カイン(騎馬兵。マルスの警護兵。室内など馬を降りると弱いので使えない。)
アベル(同上。)
ドーガ(重装歩兵。最強。マルスの警護兵。)
ゴードン(弓兵。最強に育つ。マルスの警護兵。若手。)
オグマ(傭兵。最強。タリス王国軍の隊長。シーダの警護兵。すぐに無双になるのでつまらない。)
バーツ(歩兵。ザコ。オグマの部下。)
サジ(同上。)
マジ(同上。)
カシム(弓兵。最強に育つ。常に母が病気のネガティブキャラ。母の薬代を稼ぐため海賊に加担したりする根暗だが最強に育つ。)
ジュリアン(盗賊。微妙。戦闘では強くないが、素の状態で扉を開けられる。山賊に加担していた時期に拉致ったレナに一目惚れして、レナと共に山賊のアジトから脱走して主人公達に助けを求めて合流する。)
レナ(シスター。ワープの杖を使えるため最重要キャラ。攻撃は出来ないが防御が最強クラスなので前線に出しても大丈夫。)
ナバール(傭兵。最強。山賊の用心棒をしているが、シーダの元カレでシーダが説得すると仲間になる。オグマ同様、無双になるのが早い。)
ハーディン(騎馬兵隊長。オレリアン王国オレリアン国王の弟。ほぼザコ。)
ウルフ(騎馬兵。オレリアン王国軍。ザコ。)
サガロ(同上。)
ロシェ(同上。)
ビラク(同上。)
マチス(騎馬兵。レナの兄。マケドニア軍。ザコ。レナがマケドニア国の王子からの求婚を断ったためマケドニア軍に入れられ戦場で
最前線に立たされている。レナが話しかけると仲間になる。)
マリク(魔道士。最強。マルスの幼馴染み。中ボス撃破に不可欠の魔法を使う必須要員。)
リカード(盗賊。ジュリアンの弟子。ザコ。)
ウェンデル(司祭。マリクの師匠。年寄りだがまだ幾らか強い。)
バヌトゥ(マムクート。老人。秒殺される系。竜石を食うと数ターンだけ竜に変身出来るが、そもそも竜石が超貴重品のため使いたくない。チキの保護者で、チキを仲間にする説得要員。)
シーザ(傭兵。ワーレン港の警備兵。ザコ。)
ラディ(傭兵。ワーレン港の警備兵。最強。オグマ、ナバールと並ぶ三大剣士の一人。)
ミネルバ(ドラゴンナイト。マケドニア国王の王女。野外戦では強い。屋内でドラゴンから降りるとザコ。)
マリア(シスター。ミネルバの妹。ワープの杖要員として最重要キャラ。打たれ弱い。)
リンダ(魔道士。最強。アカネイア司祭長の娘。奴隷商人に捕まって奴隷市場で売られている。風系の魔法はドラゴンに特効があるため後半では最強。)
ジョルジュ(弓兵。アカネイアの元貴族。ザコ。)
ミディア(パラディン。アカネイア聖騎士団。同騎士団アストリアの恋人。ザコ。)
トムス(アーマーナイト。最強。アカネイア聖騎士団の重装歩兵。)
ミシュラン(アーマーナイト。アカネイア聖騎士団重装歩兵。トムスの相棒だが、こちらはザコ。)
トーマス(アーチャー。アカネイア聖騎士団の弓兵。最強に育つ。)
ボア(アカネイア司祭。ザコ。年寄り。成長しない。)
パオラ(ペガサスナイト。マケドニア白騎士団ペガサス三姉妹の長女。ザコ。)
カチュア(ペガサスナイト。マケドニア白騎士団ペガサス三姉妹の次女。野外戦ではそこそこ強いが、ペガサス降りたらザコ。)
アストリア(勇者。アカネイア聖騎士団。ミディアの恋人。ザコ。メタ思考。)
アラン(騎馬隊。サムソンと二者択一の46人目。どちらにしろザコ。)
サムソン(勇者。アランと二者択一の46人目。どちらにしろザコ。)
チェイニー(コマンド。微妙。隣接する人と同じに化けられる。ただ、所持品までは同じにならないため、化ける人と同じ装備にしておかないと同じに運用出来ない。)
チキ(マムクート。数ターンだけ竜に化けられる。竜になっている間は全キャラの中で最強。周囲の敵を一掃出来るが、変身が解けると最弱の幼女に戻ってしまうため囲まれて秒殺されてしまう。使いどころが難しい。)
エスト(ペガサスナイト。マケドニア白騎士団ペガサス三姉妹の三女。ペガサス三姉妹の中では一番強いが、やはりペガサス降りたらザコ。)
ロレンス(ジェネラル。敵軍グルジア黒騎士団の老兵。シーダの説得によって寝返って味方になる。強く育つが登場が遅いため、育成の機会が無い。)
エリス(シスター。主人公マルスの姉。最後の登場で育成の機会は無い。)
- 第2部 -
マルス(主人公。第1部と性能は全く同じ。)
セシル(ソシアルナイト。アリティア軍の新人騎馬兵。マルスの警護兵。ザコ。)
ルーク(同上。)
ロディ(同上。)
ゴードン(アーチャー。アリティア軍の弓兵。第1部からセシルの警護兵を続けている最強の弓兵。)
ライアン(アーチャー。ゴードンの弟。ゴードンのコネでセシルの警護兵になる。最終的に兄のゴードンより強くなる最強の弓兵。)
ドーガ(アーマーナイト。最強。第1部から引き続きマルスの警護兵をしているアリティア軍の重装歩兵。)
アラン(パラディン。第1部で二者択一だった46人目の騎馬兵のほう。今回は病気という設定で最弱。)
マリーシア(シスター。レナの弟子?。自称10才のロリータファッション。ワープの杖を使うための重要キャラ。)
カチュア(ペガサスナイト。第1部から出ているペガサス三姉妹の次女。ペガサス降りたらザコ。第2部では歩兵系が充実しており、重要な局面が多い室内で弱くなる騎馬系のユニットはどうしても最終的に選抜されなくなってきます。)
ウォレン(ハンター。ザコ。マケドニア軍に金で雇われていた地元民。)
リンダ(魔道士。第1部から引き続き最強。防御力、HPが第1部より強化されてさらに強くなっている。)
パオラ(ペガサスナイト。ペガサス三姉妹の長女。ペガサス降りたらザコ。)
ジュリアン(盗賊。レイピアが装備できるようになって強くなった。第2部では隠し財宝や宝箱が増えたため盗賊の活躍の場が増えた。ラスボス戦でレナと結ばれる必須要員になっている。)
マチス(ソシアルナイト。最弱。レナの兄。レナが消えて第1部の時よりもさらに自暴自棄になっているため成長しない。仲間にしたばかりの初期値状態のジュリアンで敵陣の最深部まで斬り込んで行って説得しなければならない面倒者。しかも弱い。)
オグマ(傭兵。最強。第1部よりHPが高くなっているが、攻撃力と防御力が上がらない感じがする。)
ユミナ(シスター。グルニアの王女。レスキューの杖を使う重要キャラ。打たれ弱い。)
ユベロ(魔道士。グルニアの王子。強いが、他の魔道士のように強力な専用魔法が無い。打たれ弱い。)
シリウス(パラディン。ほぼザコ。ラスボス戦の必須要員のため育てるしかない。仮面の下の素顔は、あの人物。そりゃ顔隠さなきゃ皇帝と戦えないでしょ。)
カシム(ハンター。最強。相変わらず病気の母の薬代を稼ぐため裏家業に手を染めて一般市民から嫌われている。再会した際、主人公が笑顔で「ほら、お金あげるよ。じゃあね。」っていうセリフがこのゲームで一番印象に残る。)
シーダ(ペガサスナイト。第1部のヒロイン。第2部ではほぼゲスト出演。活躍の場が無いザコと化している。)
リカード(盗賊。第1部同様ザコ。)
サムトー(傭兵。ナバールになりすましているザコ。)
ウェンデル(司祭。老人の割にやや育つが能力値の到達点が低い。第2部では弟子であるマリクとエルレーンの因縁ドラマに絡んでくる役がある。)
ナバール(傭兵。最強。放浪中に偶然出会った逃亡中のフィーナを庇うという男前な登場演出がある。)
フィーナ(盗賊団の慰安婦。踊り子。戦略上最も有用な『おうえん』コマンドを持つ重要キャラ。)
カイン(騎馬兵。第1部最初からの付き合いだがザコである事は変わらず。)
バヌトゥ(マムクート。とにかく使い道の無いザコ老人。)
ジョルジュ(スナイパー。ザコ。ゴードンが説得しないと仲間にならない面倒がある。さらにSFC版では仲間にしても15章で突然消えていなくなっているバグが起こる事があり、全員揃えないとパーフェクトエンディングにならないため最初からやり直しという最悪のバグを引き起こすキャラ。)
ミネルバ(ドラゴンナイト。ドラゴン降りると弱いが、ラスボス戦必須要員なので育てる必要がある。)
マリク(魔道士。最強。ラスボス戦必須要員でもあるので育てて間違いなし。)
エルレーン(魔道士。そこそこ強い。ウェンデルの弟子で、マリクと同期。ウェンデルがマリクにエクスカリバーを伝承したためマリクに嫉妬の恨みを抱いて執拗にマリクの命を狙ってくる。ウェンデルの説得によって仲間になるが、エクスカリバーの下位互換魔法しか使えない。それでも威力が高いので強いっちゃ強い。)
チェイニー(コマンド。第1部同様、ものまねキャラ。元キャラと同じ装備さえさせておけば使えない事はないが、使いどころが難しい。)
チキ(マムクート。どの攻略サイトを見ても評価は最高だが、正直微妙。竜状態でもダメージは食らうし、変身が解けたら秒殺されてしまう。)
エスト(ペガサスナイト。第1部に引き続きペガサス三姉妹はペガサス降りたらみんなザコ。)
アベル(騎馬兵。第1部最初からの付き合いだが、馬を降りたらザコに変わりはない。)
アストリア(勇者。ミディアの恋人。第1部に引き続き、勘違いの正義感で敵軍として序盤の章から散々襲ってくる。しかも最弱のためここまで生かしておくほうが大変。)
シーマ(ジェネラル。最強。グラ王国の現国王。先代ジオル国王の娘。能力値も顔グラも最上。登場が遅すぎるのでLVを上げきれないのが唯一の欠点。)
サムソン(勇者。第1部でアランと二者択一だった46人目の勇者のほう。この時点で加入してもLVを上げられないので居る意味が無い。)
ロシェ(騎馬兵。第1部からのハーディンの部下。改心して味方になるが、この時点で加入しても居る意味は無い。)
ミディア(ペガサスナイト。第1部からやっとここで再会するも、この時点で加入しても居る意味は無い。)
レナ(司祭。メディウス復活のための生贄になっている。ジュリアンが解放する。)
マリア(同上。ミネルバが解放する。)
ニーナ(同上。シリウスが解放する。)
エリス(同上。マリクが解放する。)
敵 ボスキャラ
- 第1部 -
ガザック ゴメス ハイマン(海賊 山賊)
ムラク マリオネス(マケドニア軍)
ハーマイン カナリス(グルニア軍)
ジョーコフ(ディール要塞にマリアを監禁。)
ショーゼン(ドルーアの将軍 。アカネイア王国の首都パレスを侵略。)
ボーゼン(グルニアの司祭。)
ジオル(グラ王国の将軍。かつてアリティア王国との同盟を裏切り、マルスの父を殺した張本人。)
ガーネフ(カダインの司祭。大賢者ガトーの弟子の一人。偶然手にした闇のオーブに取り憑かれ、暗黒魔法マフーを使って悪霊を呼び寄せ、アリティアに伝わるファルシオンを盗み、王女エリスを誘拐するなど、悪行三昧。)
ホルスタット(グルニア王国の将軍。)
モーゼス(メディウス直属のマムクート。かつてマルスの母を殺した張本人。)
カミュ(グルニア軍の名騎士。グルニア黒騎士団の団長。)
ミシェイル(竜騎士。マケドニア王国の王子。ミネルバ、マリアの兄。)
ゼムセル(魔竜。ドルーア城の門番。)
メディウス(地竜。ラスボス。モグラっぽいので敢えて『土竜』としなかった?第一部では復活途中の状態でそんなに強くない。)
- 第2部 -
ロレンス(第1部では味方だったグルニアの老兵。皇帝の策略で反逆者にされ、マルスと戦いたくないと言って自爆する。)
ルーメル リュッケ(皇帝に騙され、マルスたちを敵と見做している。)
ガイル(海賊。)
トーラス(グルニア占領地を治める将軍。)
ラング(皇帝直属の将軍。グルニア一帯を統括しており、第2部の始めから主人公達にも進軍の命令を出してかつての仲間と戦わせたりしています。その他にも皇帝に献上するため各地で娘狩りや略奪をするなど、非道なキャラ設定。)
ダール(ラーマン神殿を荒らす盗賊。)
ハーディン(アカネイア帝国の皇帝。第1部では仲間だった。私生活が上手くいかず落ち込んでいる時にガーネフにそそのかされて闇のオーブに触れてしまい闇堕ちした。死に際に正気に戻る。)
ヨーデル(カダインの司祭。エルレーンの指示でカダイン神殿を守っている。)
エイベル(ペガサス三姉妹のエストを人質にとって、アベルにマルス討伐を指示する。)
ウィロー(アリティアの占領を完遂したアカネイアの司祭。)
サガロ ウルフ ビラク(ハーディンの元部下たち。)
ネーリング(アカネイアの城門を守る将軍。元皇帝ハーディンへの忠義心が非常に高いため、主人公達を宿敵として見ている。)
ガーネフ(第1部で死んでいなかった。ハーディンの権力を利用して4人の司祭を集めて生贄にして地竜を強化復活させて、世界征服しようとしている。)
メディウス(4人の生贄を得て強力になって復活した地竜。暗黒竜。)
主な登場キャラは以上となります。
その他にもアンリとかニーナとか、戦闘には絡まなくてもストーリー上重要なキャラというのも何人かいますが、その辺はストーリーのあらすじの中で触れていきたいと思います。
これだけの登場人物がいるので、ストーリーはあらすじだけザッと簡単に以下のようになります。
まず、この話はアカネイア大陸という場所での話で、『アカネイア王国』というのは『アメリカ合衆国』みたいなニュアンスで、その他に沢山出てくる『アリティア王国』とか『オレリアン王国』とか言うのは『州』とか『県』のような、『アカネイア王国の中にある小さな国々』となります。ここだけ抑えておかないと相関性が見えてこないので、これを基としてストーリーを見ていきます。
昔、アカネイア大陸には人間と竜とが共存していた時代が続いていましたが、やがて竜族は体が大きすぎるのは人間に恐怖心を与えてしまうからと言って自ら人間と同じ見た目に体を変化させて人間との共存を図りました。しかし、無理に体を変化させた竜族は遺伝的におかしくなり、子どもが出来なくなったり、常に全身に苦痛を感じるようになり始めました。やがて、そんな竜族を見た人間たちは竜族たちの想いも知らず、竜族をバカな種族だと蔑んで『マムクート』と呼んで差別し始めました。そんな状況を見て、体を人間化するのを躊躇して竜の姿のまま生き残っていたメディウスという一匹の竜が怒り、圧倒的な力で人間を駆逐し、アカネイア大陸全土を征服してしまいました。
しかしその時、アンリという一人の若者が、かつてナーガという神が竜の牙から作ったという伝説の剣『ファルシオン』を見つけ出してきて、メディウスを倒して世界に平和を取り戻したというのがゲームスタート地点から100年前の話。
ゲームスタート地点ではアカネイア王国内のドルーアという国が数年前に反乱を起こして、アカネイア大陸の大部分を制圧してしまっているといった状況。とりあえずまだ竜族とかには触れられていません。主人公は、かつてアンリが作ったアリティア王国というところの王子でアンリの子孫でもありますが、2年前、既にドルーアの配下になっていた近隣のグラ王国に攻め込まれ、マルスと姉のエリス以外アリティアの王家は全員殺され、マルスは側近の老兵ジェイガンら数名の兵たちと離島の小国、タリス王国へと亡命して落ち延びている。というところからゲームが始まります。
この頃、マルスは「いつかは祖国アリティア王国と姉のエリスをドルーアから奪還する」と思ってはいたものの、一緒にタリスに逃れて来たのは老兵ジェイガン含め5人の兵しかおらず、「どうしよっかなぁ」と思いながら2年も経って、今はタリス王国の王女シーダと付き合って、なんとなく幸せな日々を送っているといった感じです。
しかし、そんなある日、タリスの島に海賊が上陸してきて各地の村が海賊に襲われてゆきました。そんな中、タリスの人々は「海賊にすら対抗出来ないアリティアの兵隊たちって何なの?」みたいなマルス批判をするようになり、それを聞いたマルスが一念発起して「これを機に我ら6人、一気にドルーアまで攻め込んで祖国アリティアを奪還するぞ」っていう流れでゲームがが始まります。なので、最初は段階的に海賊潰しがメインとなって大陸に進出していく流れとなります。ここで最初にマルスの恋人シーダ王女も協力という形で隊に加入するのですが、このシーダ姫の男遍歴が後々大活躍で、オグマやナバールといった無双の剣士でありシーダのストーカー、元カレが続々と集まって、最終的に45人編成の舞台で第一部を乗り越えて行く事となります。
主要な仲間の来歴は以下のようになります。
まず、オグマは幼少の頃から奴隷として生きており、見世物の奴隷剣闘士として幼い頃からコロシアムで戦ってきました。日々、剣闘士仲間と戦って相手を殺さなければ生き残れなかった訳で、生き残ってきたのは単純に強かったから。そんな生活に嫌気がさして闘技場から脱走したもののすぐに捕まって鞭打ちでの公開処刑中に幼い少女だった王女シーダが通りかかり、シーダが庇ったことで命拾いした上、奴隷から解放もされたことで、シーダを一方的に命の恩人として絶対服従を誓っている剣士。
一方のナバールはシーダの元カレでイケメンの剣士。めちゃくちゃ強いが孤高の剣士で特に何処にも属さない性格で、金と戦いの場さえ貰えれば時に山賊の用心棒をしていたりもする。
シスターのレナは山賊に拉致られて従軍慰安婦にされるべく監禁されている。
そんなレナを哀れんだ盗賊ジュリアンがレナを連れて山賊のアジトから脱走。マルス隊に助けを求める。後を追ってきたナバールを元カノのシーダが説得してナバールをマルス隊に寝返らせる。
次の舞台でレナは兄のマチスと再会、また、マルスは幼馴染みのマリクと再会、さらにそこにオレリアン王国のハーディン率いる騎馬隊が到着してマルス隊と合流。ハーディンはドルアーガに制圧されてしまったオレリアン王国の国王の弟で、祖国奪還、打倒ドルーガという利害関係の一致でマルス隊に援護加入します。その後、ドルアーガに囚われの身となっていたジュリアンの弟子リカード、マリクの師匠ウェンデル、元竜族だったマムクートのバヌトゥ、チキ。奴隷市場に売り出されていたアカネイア司祭長の娘リンダ、マルス隊を誘き寄せる囮に使われていたマリアと、マリアを救出するとマルス隊に寝返ってくれるマリアの姉ミネルバ。アカネイア聖騎士団のミディアと、その恋人アストリア。ミディアの部下で最強の重装兵トムス。マケドニアのペガサス三姉妹パオラ、カチュア、エスト。母が病気で父失踪、母の医療費と幼い妹弟を稼がなきゃならない陰キャのカシム。そんな部隊で進軍していくうちに、現在ドルーアを牛耳っているのはガーネフという魔道士だということが分かってきます。さらにガーネフは『闇のオーブ』という物を手に入れ、その強大な闇の力で反乱因子の撲滅と共に、かつて大陸を支配したメディウスを復活させて世界征服を目論んでいるという事が分かってきます。ガーネフは最終章手前で倒しますが、既に闇のオーブの力は発動されていて、メディウスこと地竜は復活してしまいます。しかし『まだ早すぎた』んです。ナウシカの巨神兵よろしく地竜はグダグダに溶けていて、以外にあっさりと倒す事が出来て第一部終了となります。
第一部は『FC ファイヤーエンブレム 暗黒と光の剣』のリメイク版なので、第二部からのストーリーがSFC版の新作となります。
第一部が終了し、マルス隊は解散、マルスは奪還したアリティア王国の新国王となり、シーダと結婚しています。その他の各キャラはそれぞれ元の生活へ戻って各地に散っています。その中で、かつてマルス隊に加勢して戦ったオレリアン国王のハーディンは、オレリアン国王の政略でアカネイア王国のニーナ王女と結婚し、アカネイアの皇帝になるという大出世を果たしていました。
これにはマルスたち諸国の王も『あのハーディンなら大丈夫』という思いで、ハーディン新皇帝の誕生を皆が祝福していました。
この頃が第二部のスタート地点です。
第一部から戦後1年、平和に暮らしていた主人公マルスの元に近隣のグルニアが反乱を起こしたという知らせが届き、新皇帝ハーディンからマルスに、グルニア鎮圧のためアリティア軍を出兵させるよう指示が下されます。グルニアの現国王は第一部で共に戦ったロレンスであるため反乱に疑問を感じながらもマルスは自国アリティアの兵を連れて出兵したのですが、そこにいたのはメチャクチャ横暴なアカネイア帝国軍の将校ラングの部隊と、それに抵抗するロレンス王でした。この時のグルニアは、帝国軍やマルスの部隊に対抗出来るような部隊は有しておらず、ロレンス王はかつての戦友オグマに双子の子どもたちを託して逃がし、自らは城に立て籠もって自害します。
そんな状況の中でもアカネイアのラング将軍はグルニアの町で略奪や若い娘狩りを続けていました。そんな状況を見て、昔からのマルスの側近の老兵ジェイガンがキレて、ラング将軍及びハーディン皇帝、強いて言えばアカネイア帝国に宣戦布告を突きつけます。こうして主人公マルスの王国アリティアが反乱国としてアカネイア帝国を倒すというのが第二部のストーリーとなります。
この時点で、かつての戦友ハーディンがメチャクチャ悪な皇帝になっているのは事実ですが、そんな悪に染まってしまった過程の話というのが結構哀しくて、ハーディンは政略結婚とはいえニーナ王女と結婚してアカネイア家の婿養子になって皇帝となった事、その全てに満足していて充分に幸せを感じていました。しかし、アカネイアの皇族は一塊の小国から婿入りして来たハーディンを蔑み、誰もハーディンの意見など聞きもしないような状態。肝心の嫁ニーナ王女も元カレのカミュの事を忘れられず、旦那のハーディンにはあまり関心が無い状態。そんな状況からハーディンは次第に酒に溺れ、寝室に引きこもるようになってしまいます。 そこへ、第一部で死んだと思われていたが生き延びていたガーネフがアカネイア家の召使いに化けてハーディンに近づき、闇のオーブに触ってみるよう誘います。
その時、落ち込んでいたハーディンは何の気なしに闇のオーブに触れてしまい、一気に悪の意識に支配されてしまったという経過があります。
この時のガーネフの目的はメディウスを完全な状態で復活させてアカネイア大陸を支配すること。いろいろ調べてメディウスの完全復活には強力な司祭4人を生贄にしなければならないという事が分かり、そんな最高の司祭4人を集めるには皇帝の権力を利用するのが一番手っ取り早いと考えて、ハーディンが弱っているのに目を付けて闇のオーブでハーディンを洗脳したのでした。
結局、第二部のストーリーは、かつての仲間たちを集めハーディンを倒し、ハーディンは死に際に正気を取り戻して謝りながら死んでいき、黒幕のガーネフを倒すも既に完全態のメディウスは復活していて、最終的にそのメディウスを倒してエンディングという流れになります。道中、竜族の歴史やロレンスの子どもたちへの謝罪と和解、アンリが通ったルートを辿ったり、かつて両親の命を奪ったグラ王国のジオル王の娘シーマとの和解など、細々としたストーリーが挟まれて話が右往左往しますが、基本的には『ハーディン討伐』『ガーネフ討伐』『メディウス討伐』という3つの大きな目的のために進むというのが本筋のストーリーです。
第一部、第二部合わせてこれだけの長丁場でありながら、最初から最後までの間に複雑な手順を一つも落とさずに全員を味方に加入させ、尚且つ一人も死なせず、全ての隠しアイテムを回収していないとパーフェクトエンディングを見ることが出来なせん。
別にパーフェクトエンディングでなくても、とにかく『エンディングまで辿り着ければいい』と言うのであれば、必要最小限の仲間だけ集めて、わりと短時間でクリアする事も可能だと思います。バッドエンディングでしか聴けない名曲もあるそうなので、別にパーフェクトエンディングである必要もない。更に、パーフェクトエンディングに行ける条件が揃っている時だけ追加される最終章4ステージは正気の沙汰では完全クリア出来るようなものではない鬼畜な難易度となっていますし。
ネタバレとなりますが、バッドエンディングはガーネフから4人の司祭が助け出してメディウスも復活せずにめでたしめでたしとなるので、これはこれで良いと思います。
一方のパーフェクトエンディングとは、助け出した4人の司祭はガーネフが作った幻影に過ぎず、本物の4人は既にメディウスの生贄として捧げられていて、メディウスが復活してしまうという内容となっています。本物の司祭4人を救出にするため4ステージある魔宮へ向かい4人の司祭を救出しつつ、完全復活したメディウスを倒してエンディングとなります。
完全態のメディウスはクソ強いので、駒の進め方を一手でも間違うとあっという間に誰かが死に、パーフェクトエンディングにならなくなってしまいます。詰め将棋最強クラスの思考が必要。初見一発目ではまず手も足も出ないと思います。
そんなこんなで、時間をかけようと思えば幾らでも続けられるような、やり込み要素の強いゲームだと思いました。
面白いゲームでした。