うわさとせんきょ
お読みいただきありがとうございます
後書き連載継続中
なーんか人気がある瑠璃である
「やっほー先生、あの噂知ってる?」
「ハーちゃん先輩、お昼休みによく僕の教室来るけど虐められてるの?大丈夫?冬休み明けから来るなんてクラスに友達いる?」
「ひっどーい、あたし虐められたりしてないもん。友達だっているし、先生といると面白いから来てるんだし」
「はいはい、ごめんね。一応気にしたほうが良いかなってさ、で噂ってなに?」
「やっぱり知らなかったんだ、まぁ番犬ちゃんは教えないと思ってたし想像通りだね」
「番犬ちゃん?誰それ?」
「先生は気にしないでいいよ。それでね噂っていうのはさ、次の新入生で神人が入って来るんだって、しかも超カッコいいんだって」
「なんか言い回しがちょっと古い気がするけどさ、へぇ神人ねぇ」
「わぁぉ興味なさそうだね」
「そりゃ興味ないもん、あぁでも年代的に妹達と一緒に行動するかもだしねぇ。今のうちに潰しておこうかな?」
「え、ちょ、なんでそんな風になっちゃうの」
「だって、カッコよくって神人ととしての力を覚醒させたんでしょ。きっとモテるんだろうね」
「それはそうかもね~」
「じゃあ女の子をとっかえひっかけするようなろくでなしだね、妹には近寄らせられないね。ほら、消しちゃったほうが良い」
「飛躍してるし、さっきより発言が過激になってるぅ」
「周りが知る前に消せればよかったのに、今からだと事故に見せかけないとダメかな」
「ちょっと番犬ちゃん、先生がやばいこと言ってるけど」
「はぁ、瑠璃に情報を与えたのは先輩じゃないですか。それと番犬ちゃんって呼び方は止めてください」
「えぇ似合ってると思うよ、近寄って来る男子にがるる~って良くしてるじゃん」
「下心で寄ってくるような輩を近寄らせていないだけです」
「ほら、番犬じゃんか。黒百合ちゃんのが良い?」
「う、番犬でいいですよ。全くもう」
僕が色々考えている時に、二人で何かしゃべってたみたい
はぁでも神人か、ゲームの主人公だよね
特殊能力があって、それがめちゃめちゃ壊れ性能なんだよね
ゲームだとたしか
PTメンバーの魔力値の合計を自身の力にできる
PTメンバーに合計魔力値をバフとして付与できる
だったかな
ざっくりと言うと
100+100+100+100+100+100=600
これで600が自分の力
100+600=700
ってバフを他のPTメンバー5人にかけれる
可笑しいよね、とんでも能力だよ
最強には能力的になれないけど、バフによって最強を作れる規格外のバッファーが主人公
転生者が僕だけとも考えられないし、王道的に主人公に転生しててもおかしくない
ろくでなしが転生してて、妹達攻略ヒロインに言い寄るっていうなら僕は動かざるをえないね
神人を消したら、皇と四神の力でも隠し切れないだろうから国外逃亡するしかないかな
「瑠璃、今は何を考えているの?」
「神人を殺して国外逃亡した時に、エリスはうけいれてくれるかなぁーって」
「まず、殺さない方針にしなさい。想像でもエリスに迷惑をかけるんじゃないわよ」
「翡翠に言い寄ってるところをみたら、僕はついカッとなってヤっちゃうと思うね」
「翡翠が望んだとしても、行動するの?」
「な、そんんあころあるわけないれしょ」
「動揺しすぎよ、もしそうなったら翡翠の意志を尊重するのよ」
「あ、ありえないもん、翡翠はずーーーーーっと僕と一緒にいるんだもん」
「何言ってるの、そのうち好きな人とか出来てお姉ちゃんより恋人を優先するようになるわよ」
「あああああああああああ聞こえないああああああああああ聞こえないぃぃぃ」
「先生が壊れちゃった、番犬ちゃん言いすぎじゃないの?」
「今のうちに言っておかないと、実際にそんなことが起こったら瑠璃は耐えられないので良いんです」
僕の心はボロボロぼろ雑巾だよ
机にビターんって倒れこむ
つらぁぃ
なーんにもする気が無くなったので、後の授業はぐだぁっと適当に聞き流した
甘木君が心配してくれたけど、僕は適当に返事してうだうだしてた
帰宅中もふらふらしてたんだけど、玄関を開けたら
「お姉ちゃんおかえりなさーい、今日はね今日はね晩御飯のお手伝いしたんだよ」
「うもぅ翡翠は最高に可愛いね」
僕は翡翠に抱き着いて頬ずりしちゃう
「何か嫌なことあったの?大丈夫?」
「奈央が酷いこと言うんだよぉ」
「もぅ奈央お姉ちゃん、めっ!だよ」
「私は現実を教えただけだから。いつかは妹離れ、姉離れしなきゃいけないでしょう」
「そんなことないもん、ずーっと僕たちは仲良しさんだもんねー」
「ねー」
「そうね、そのほうが二人らしいかもしれないわね」
ひしっと抱き合う僕たちを、あきれ顔で見ている「なお」を翡翠が呼ぶ
「奈央お姉ちゃんも一緒!」
「ちょっとだけよ、手洗いうがいをまだしてないんだから」
玄関先でキャッキャッと喜ぶ翡翠と僕達
平和だね
「そういえば瑠璃、アレは本当に良かったの?貴女らしく無いと思ったんだけれど」
「ふぇ?何のこと?」
「生徒会選挙に立候補してたじゃない、クラスのみんなに推薦されて。先生が四神さん推薦されてますけど立候補でいいですか?って聞いたら、はーいって言ってたわよ」
「僕知らないんだけど!?」
「立候補者用の書類に名前も書いてたじゃない、スラスラ書いて渡してたからやる気があるんだと思ってたのに」
「記憶にございません、今からでも取り消せないかな?」
「無理ね」
打ちひしがれてる間に、なんかしちゃってたみたい
でも大丈夫、僕が当選するわけないよね!
「来年度の生徒会長は瑠璃でしょうね」
「なんで、僕2年生だよ。副会長してた先輩とかがいるでしょ」
「人気投票みたいなものなんだから瑠璃で決まりでしょう、貴女が相談をほいほい受け付けるから人気者じゃない」
僕はぐったりとしてしまう
やだやだ、やりたくないよぉ
なんてやり取りをしてから一週間
候補者演説の日になりました…
僕は何度も取り消そうとしたんだけど、職員室に行こうとするたびに同級生だったり先輩につかまってさ
絶対投票するから頑張って!
とか言われるわけ
いや、えーっととか口ごもってると時間が無くなるって流れで、取りやめ出来なかった
演説で言うしかない、もうしょうがないよね
「四神さんだったかしら、私負けないから。先輩から生徒会を引き継ぐのは私だから!」
「あ、はい。どうぞお願いします」
「くっ馬鹿にして!自分に人気があるからって何でもできると思わないで!!」
副会長をしてた砕木契先輩に目の敵にされてる
こんな人の前で、間違えでしたって言えないよ
砕木先輩が先に演説してるけど、良いこと言ってるしどう実現させるかも語ってる
こういう人が生徒会長にならないとだめだよ
僕の原稿なんて真っ白だからね…
壇上から戻ってきた先輩に、キッて強めに睨まれた こわひ
「どんな目標を提示してくれるか楽しみだわ、立候補したんだから何かあるんでしょ」
なんにもないでーす、からっぽでーす
って言ったら多分全力で殴られるね
本当に何にもないんだけどね…
僕の番が回ってきたので壇上に上がる、どうしよう何言おう
「あ、えーと四神瑠璃です。僕は砕木先輩みたいに皆さんに語れる事はありません、僕が生徒会長になったとしても特に何もできないと思います。僕が出来ることといえば皆さんに鬼の怖さを、恐ろしさを伝えることだけです」
僕はよいしょーって気合を入れながら、義手を外す
みんなびっくりしてるね、そりゃそうだねいきなり外すんだもん
「僕達には兵役が待っています、油断していなくても格上の鬼と遭遇したらこんな風になっちゃいます。痛いですよ、怖いですよ、辛いですよ、苦しいですよ。僕だってそれなりに色々な事を学んで、訓練してみたんですけどこんな風になりました。実際に戦場に立たれたことがある人もいるでしょう、凄惨な場面を見た人もいるでしょう、そこに行かなければいけない僕たちは、覚悟を決めなければいけません。理由なんて何だっていいんです、死にたくない、好きな人がいる、夢がある、本当になんだっていいんです。それを叶えるための気持ちが生き残る力になるんです。だから覚悟を決めましょう、夢をかなえるために」
僕は一礼して壇上を降りる
ふひー何とかなったかな?アドリブにしては良いんじゃない、インパクトもあったし
いやぁしかし勢いで取ったけど、これ一人じゃ付けれないんだよね
取ろうと思ってズボっといけば取れるけど、つける時は注意がいるんだよ
改良しておこうかな、面倒だし
「馬鹿、何してるの!体調は大丈夫?」
「あ奈央来てくれたの、これ付けるの手伝って~」
「もぅまったく!上脱がないといけないんだから、保健室行くわよ」
「よろしくね~」
体育館をそのまま出て、保健室に行く
これで無事に選挙に落ちただろうって思ったんだよ
実際に生徒会長は砕木先輩になったしね
でもさぁ、でもさぁなんで僕が副会長に任命されてるの!?
砕木先輩僕の事嫌いだったじゃないか、睨んでたじゃない
酷いよ、これは新手の虐めだよ
「四神さん、生徒会長選挙の演説としては落第点でしたよ。でも、皆に思いを伝えようとする貴女は素晴らしかった。是非その思いを生徒会で生かしてほしいの!」
めっちゃめちゃキラキラした目で言われて断れなかった…
ぐぬぬ
負けるなメリーさん、挫けるな口裂け女
なにいってるのクーちゃん!!違います私が言ったんです!
メーちゃん黙ってて、玉藻の前どうか罰を与えるなら私にお与えください。メーちゃんには色々な事を教えてもらったり助けてもらったんです、私一人だったらずっと前に殺されてます。
違うよ、クーちゃんが居たから私は独りぼっちじゃなくなったんだよ。殺されるなら一緒がいいよ
そうかそうかわかったのじゃ、潰れろ!!
私達は地面にどんどん押しつぶされていきます
でも、メーちゃんと握った手だけは放しません
大事な友達なんです、出来ればメーちゃんだけでも助かって欲しかったな
体中が軋みを上げて、血がだらだらと流れ出す
あぁ終わっちゃうんだ私達、最後の瞬間もメーちゃんと一緒だから悪くないかな
ほぅ、よし気に入ったのじゃ。そこまでの絆を結ぶのは珍しいのじゃ、わらわの庇護下に入れてやるのじゃ。ただし人を喰らうのは禁止なのじゃ、もし喰らったら今度は塵一つ残らないと思え
不意に体が自由になったと思ったら、気に入られたみたい?
でも怖かった、死ぬって思う事より圧で潰されそうになるより、最後の言葉と目がこわかったぁ
クーちゃん、私達助かったの?
そうみたいだねメーちゃん、よかったよぉ
抱き合ってわんわん泣いちゃったけど仕方ない、だって完全な上位者だもの
逆らえる気がしないよ、逃げれる気もしないよ…
そういえば、お前たちのせいで電話が切れたときいたのじゃ。珍しく電話してきてくれたのに許せないのじゃ!!!
ひぇ
さっきより怖いよ、無理無理無理
一歩一歩近づいてくる玉藻の前の迫力に、私達は揃って気絶しました




