じゅぎょうのひとこま
お読みいただきありがとうございます
今回は平和な学園風景をお届けです。
僕はぽけーっとしながら授業を受けてる。
今は合同で体育の授業なんだけど、前線に行く日が近づいてきてる3年生は実践的な戦闘訓練してるんだ。
あっちこっちでドカーンとか音がしてるんだよ、そんな中でボーっとしてると危ないと思うでしょ?
それが全然危なくないの
僕の両親は二人とも二つ名持だから、どんなことをしてるか見せて欲しいって先生に言われたんだ。
だから奈央と二人で何時もの感じで訓練したんだけどさ、参考にならないので見学しててって言われちゃった。
立体軌道で動いたりハチャメチャな動きしたのがいけなかったみたい、義手も普段使いの奴だから派手な攻撃もしなかったんだけどさ。
大人しく僕は見学してて、奈央は危なくなったら防御魔法を使う先生のフォローしてる。
暇だね、とんでもなく暇。
ひそひそと僕がやばいって話してる人達がいるね。
すでに僕よりとんでもない動きする翡翠達見たらどうなっちゃうんだろうね、自信は無くすだろうね。
「先生、あたしになんか教えて」
「うん、ハーちゃん先輩抽象的過ぎて何にもわかんないよ」
「さっきのビュンビュン動くやつとか教えてよ」
「アレは無理だと思うよ、アレ教える位なら防御魔法をもっと勉強したほうが良いよ」
「えーあたしもあんなうごきできるようになりたーい」
「無理だと思うよ、ハーちゃん先輩よっわよわじゃない」
「むぅ先生酷―い、あたしの実力見せつけてあげる!」
流れで組み手してみたんだけど、ある意味すごかった。
占星術ぱーんち、占星術きーっくって言いながら攻撃してくるんだけど、ひょろひょろで腰も引けてるし基礎からやり直さないとだめだねこれ。
「その占星術ぱんちとかって占星術関係あるの?」
「はぁ?占星術舐めないでよね!!そんな簡単にできる事じゃないんだから!」
「じゃあなんで言うのさ…」
とりあえず基礎練からやり直し、腹筋もほとんどできないハーちゃん先輩に攻撃は早すぎる。
「やだー地味じゃん、もっと派手なのが良い!」
「あのねハーちゃん先輩、これくらいできないとすぐ死ぬよ?派手な事出来る人達は基礎を蔑ろにしてないからね。だいたい後方支援が主な仕事なんだから、大人しく基礎と防御魔術を練習してなさい」
ため息つきながら指導してたら、他の人達も教えてって言いだした。
暇だから良いけどさぁ本物の先生に聞いてよ…
基礎基礎基礎そして基礎の重要性を皆に語っていると、なんかすごい殺気を感じた。
周りのみんなも顔色悪くなるくらいでさ、何事って思ってそっちを見たら
「これは事故、不運な事故よ」
「うわっ瀬場須手加減しろよ」
「うるさい!訓練中の不幸な事故だから大丈夫よ」
「みんな見てるんだから、ここで俺に何かあったらもう事故って言えないだろ!」
「旦那様に言えば褒められるわよ、ゴミを良く処理してくれたって!四神と皇の力があればちゃんと事故になるわよ!!」
「まて落ち着け、ぬわーーーーーーーーーーーー」
奈央と甘木君が模擬戦してたんだけど、殺気全開の奈央と会話しながら対峙するなんて甘木君凄いじゃん。
今ここで鍛錬してる中で僕と奈央、それと甘木君は頭二つ抜けてるね。
「ねね先生、私もあんなふうなことしたい」
「ハーちゃん先輩、まずあの状態の奈央の前に普通に立てたらね」
「無理無理無理、何あれ怖すぎでしょ。秒で殺されちゃうきしかしないよぉ」
「あれでも大鬼より怖くないからね、戦場だとあれくらいの殺気は普通なんじゃない?」
なんかみんな顔色さらに悪くなってる、なんでだろう?
「ん?ひょっとしてみんな、兵役を問題なく過ごして無事に帰ってこれると思ってるの?ダメだよそれじゃ、新兵の死傷率1割ちょっとあるんだから。グチャグチャと食べられちゃうよ?」
「先生怖いこと言わないでよ、大丈夫だってそこは言ってよぉ」
「僕がそんなこと言えるわけないじゃない、利き手を喰い千切られてるんだよ?危機感や怖さは僕が一番知ってるもん」
おやぁ?なんでみんな黙っちゃうの??
中学から3年間は僕片腕だったじゃない?忘れたの?
僕が何でって感じで悩んでたら
「先生ってそんなことがあったって感じさせないところがあるからさ、なんか大丈夫なのかと思って」
「ちょっと不便だけど生活できたし、今は義手もあるしね。でも偶に夢で見るし、義手の取り外しの時は未だにフラッシュバックして意識失うこともあるね」
「え、それって…」
「戦闘用だとうっかりで人殺せちゃうから仕方ないよね、もっと慣れればそのうち何とかなるんじゃないかな。生きてれば何とかなるよ大体ね」
なんかハーちゃん先輩、泣き出しちゃった。
せんせぇって言いながら抱きしめてくる、やめて!その豊かな胸に抑え込まないで!それが一番効果あるんだぁぁぁ
「なにしてるの?」
「鬼は怖いぞぉって言ったら、抱きしめられて逃げ出そうとしてるところ」
「そう、確かに危機感が足りてないとは思っていたから良いんじゃない。下手に前に出て鬼の餌になられても他の人が困るもの」
「だよねぇ、甘木君はどうしたの?」
「あっちで転がってるわよ、まったく無駄にしぶといんだから」
目を向けると、ボロボロの甘木君がグラウンドに大の字で寝てた。
生きてるんだから十分すごいね、僕が教えてた人達なら死んでると思う。
「ねね、どうやって攻撃したの?奈央ってば攻撃力は低いじゃん」
「悩んでるんだからはっきり言わないでほしいわね、防御魔法で殴ったのよ」
「防御魔法で殴る??」
「瑠璃のおかげで色々可能性が広がったでしょ、だから私も試してみてるのだけれど。拳に防御魔法をつけて殴るのよ、もちろん形状を鋭利にしてね」
「あぁ硬度は十分あるからそれで叩いたのか、奈央にはあってるかもね。防御魔法の適性が凄い高いし」
何時もみたいに感想戦を始めたら、周りのみんながシーンとしちゃった。
「いつもこんなことしてるの?」
「こんなことってなに?感想戦?」
「それもあるけど、あんな訓練してるの?本気でやりあうような」
「してるよ?奈央の力量とかは良く知ってるから、流石に死んじゃうような攻撃はしないけどさ」
「なんでそこまでするの?あたしだったら怖くてできないよ」
「ん~将来死なないためかな?全力だとどんな動きが出来るかわかんないと実戦だと動けなくなるだろうし、実際の殺気まみれの中でも動けるようにしてないと死んじゃうからね。僕ね、死にたくは無いんだよ。妹を満喫できなくなるから」
「もぅ最後の最後が先生らしくて、力抜けちゃうじゃん。あたしも色々考えてみる」
皆が本気で取り組んでくれるなら何よりだね、知ってる人が死ぬと悲しいもん。
なんやかんや言っても平和なんだよね、前世に比べたら犯罪の発生率も低いし。
安全圏から一歩でも出ると、危険が危なくてデンジャーだけど、
まぁなんにしてもハーちゃん先輩、放してくれないかなぁ。
僕が無いから、抱きしめられるとより実感しちゃうんだよね。
人形を抱える感じで抱きしめたままなの、本人忘れてるんじゃない?
世の中って不公平だよね。
体育
小学校は普通の体育
中学校は武術と魔術
高校は実践的な訓練
授業は徐々に実践的になっていきます。
お金に余裕がある家は、魔術の家庭教師とか雇います。
体育の先生は、かなり情熱を持って授業に取り組んでいます。
教え子の生存率を左右しがちなので、本気で向き合っています。




