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ありえた未来 四神創雅

お読みいただきありがとうございます

ここにきて両親の名前発表

四神創雅(しのかみそうが)四神美彩(しのかみみさ)

どこに差し込もうかって考えたんですが、ここに入れておきます。

どこかの世界からこの世界に流れ込んできた悪夢

読まなくても本編に支障はありません。


空になった酒瓶を部屋に投げ捨て、次の瓶に手を付ける。

酒がもうないことにいら立ち、周囲の物にあたり散らかす。

何時からこんな生活を続けているんだろうか、ゴミが散らかる机を見る。

まだ幸せだった頃の、家族4人が揃っていたころの写真が置いてある。

今考えれば不出来な親だった。

歪になってしまった家族関係を修正することもできず、唯々その場その場の幸せを享受する存在だった。

こんな俺が親だったから、歪になってしまったんだろう。

家族を守ると、愛した女を守ると決めたはずなのに


「俺は守れなかった」


大切な娘を鬼に食われ、下の娘は心に傷を負っていた。

笑わなく、泣かなくなってしまった。

それなのに、それなのに。

俺は何もできなかった、いや最悪の行動をすることだけは出来た。

妻を責めたんだ、お前の結界が脆弱だからと責めたんだ。

俺と同じくらい苦しんでいた妻に、美彩(みさ)に酷い言葉を投げつけた。

その後も酷いものさ、俺は酒に逃げた。

酔っては美彩を罵り、時には暴力まで振るった。

そんな生活を続ければ終わりが来るのは当然だ、美彩とは別れ翡翠も去って行った。

辛いだろうが、それを乗り越えることの出来る男だと思っていた。

そう皇の義父さんに言われた時は、情けなかった。

俺はそんなに強い人間じゃない、一人になった俺はますます酒に溺れていった。

戦場で自身を顧みない戦い方をし、家に帰って酒を飲む。

そんな毎日を唯々繰り返す、長く長く繰り返した。


「お父さん?」


成長した翡翠に偶然出会った、大きくなって、綺麗になってそこにいた。

素直にそう言えればどれだけよかっただろう、しかし俺はまた間違える。


「お前が生まれてから家族がおかしくなった、お前が巫女の力を継いでいなければあんなことは起こらなかったのに」


翡翠は絶望に顔を歪ませる。

あぁ何を言ってるんだ、俺が悪いだけじゃないか。

翡翠が生まれた後に囃し立てる皇の親族を止められず、なすがままになった俺が悪いんじゃないか。

瑠璃と翡翠の関係が拗れていくのに何もせず、何もできなかった俺が悪いだけなのに。

寂しがる瑠璃を満足に甘えさせられず、瑠璃と仲良くしたい翡翠を応援することもできず。

唯々翡翠の才能だけに注目してしまった俺が悪いのに、それなのにまた呪いをかけてしまう。

別れてよかった、こんな父親は近くにいてはいけない。

弱い、どこまで弱いんだ。

笑えて来る、情けなさに弱さに笑いがこみあげてくる。

瑠璃を喰らった鬼を探し出し、殺すこともしない弱い俺はどうしたらいい。

今日も酒を飲む

明日も酒を飲む

飲んで槍を振る

こんな生活は嫌だと思いながらも抜け出せない、抜け出そうとしない俺は弱い奴だ。

間違えてばかりだ、嫌になる本当に。














「ぬおぉぉるぅりぃぃぃーーーーーーー」

「お父さん何、朝からどうしたの?ちょっと急に抱きしめないでよ苦しいよ」

「凄く悪い夢を見てな、内容は全く覚えてないんだ。だけれど不思議と嫌な夢だったことは分かるんだ」

「それと僕を抱きしめることの関連性がみ~え~な~い~」

「どうしてもこうしないといけない気がするんだ。瑠璃を抱きしめないといけない気が」

「お姉ちゃんだけズルい、お父さんヒーも抱っこして」

「任せろ!二人一緒だ」

娘を抱えてクルクル回る、幸福を噛みしめ自身を戒める。

「お父さん、僕が娘で良かったね」

「どうした突然?」

「普通の女子高生だったら、悲鳴を上げてやだ触らないで!って言われてると思うよ」

「な、なんだって。そんな、そんなことが起こるのか?」

「お父さんの入った後のお風呂は嫌!お父さんのと一緒に洗濯しないで!」

「ぐわぁぁぁ」

「ほら、僕じゃなきゃお父さん死んじゃってるよ」

「確かに耐えれないかもしれないが、そんなことを言われたとしても瑠璃が娘でよかったさ。俺の宝だからな」

「あら、私の宝物でもあるんですけど」

「お母さんおはよ~」

「瑠璃も翡翠もこっちにいらっしゃい」

「お母さんところ行く、お父さんはなしてー」


あっさりと宝を奪う美彩に嫉妬しながらも、日常を噛みしめる。

守るさ、どんなことがあっても。 

イベントNO.48 鈍った槍先

PCキャラと陽炎の槍で複数回PTを組むことで発生

過去の懺悔、悔恨を語る陽炎の槍

間違った瞬間を理解していても、正すことが出来ない

己の弱さを理解しても、正すことは出来ない

何かが違えば、良き父と成り得たであろう者の静かな叫び



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