きゅうにいったらおこります
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それはそうでしょってお話し
僕は今、両親に渾身のプレゼンをしている!
四神のお爺ちゃんと協力して作っていたものが、完成したのでコレのメリットを怒涛のように押し付けているのだ。
コレが何かだって?義手だよ、設計思想から見直した全く新しいね。
「今までの義手は、欠損した部分を補うようにつける物だけれどこれは違うんだ。既存の義手はどうしても生身に比べると、ぎこちない動きになるんだけどそれを改善したんだよ」
「そうじゃの、ほぼほぼ生身と同じ動きが出来ると計算上は出てるんじゃの」
「なんでそこまで違うかっていうとね、この土台になる部分と肩甲骨を置き換えるからなんだ。人体の構造上、やわらかい動きをしようと思ったらここから変えないとできないって結論になったんだよ」
「今までは無い部分に付けるって発想だったんじゃの、さらに取って付けるって発想が素晴らしいんじゃの」
「今ある義手よりも長期の入院が必要になるけど、かなりの効果が見込めるんだ」
肩甲骨を取っ払って、義手の土台を埋め込む。
前世だったら埋め込んだ土台の劣化とか、いろいろ問題が出てきちゃうけどこの世界では魔法で解決できるからね。
「その義手が凄い物だってことはわかる。で、それの被験者は今までに何人いるんだ?」
「最近完成したばかりだから、まだいないよ。僕が最初になる予定で、テスターも兼ねるつもりなんだ」
「本当に最近完成したのか?成人した今を見計らって俺たちに言いに来ただけなんじゃないのか?」
「お父さん?何でそんなこと聞くの?」
「まず、こっちの質問に答えなさい」
「えと、確かに諸々の開発は4月には完成してたけど、その後は色々な調整をs」
バンッ
「なんで、なんで作ろうと思ったときに相談しなかった!親父にだけ相談して、俺達には完成した後に、手術を受けれる状態になってから報告した!」
「お、お父さんどうしたの」
「親父の本質は技術屋だ、そんな親父に新しい思想を発想を見せたら協力するだろうさ。瑠璃は俺たちが反対すると思って、今まで黙っていたんだろう。そんなに信用できないのか、俺は、俺達はお前の親なんだぞ!!」
「違うよ、そうじゃなくて」
「止められると思ったんだろう、止めろって言われると思ったんだろう。正しいさ、なんでわざわざ娘の体にこれ以上の傷をつけなきゃいけないんだ!最初の被験者だと、ふざけるな!瑠璃に万が一があったらどうするんだ!」
お父さんが、怒ってる。
始めてお父さんの怒りを向けられてる。
何時もは窘めたり、諭したりはしても怒りをぶつけることはしないお父さんが。
「すまん、少し落ち着いてくる。このままだと酷いことを言いそうだ」
そう言って出ていくお父さんを、僕は止められなかった。
確かに僕は思ったんだ、止められるって。
だから秘密にしてた部分が確かにある、でも完成したのがこの時期になったのは本当に偶然なんだよ。
ポロポロと泣きながら、お母さんに懺悔のように伝える。
お母さんに怒られた時も怖かった、鬼と対峙した時も怖かった。
でも今、お父さんに怒られる方が怖い。
見捨てられるかもしれないと思うと、体が震える、涙が止まらない。
あぁ、僕が自分の事を雑に扱うってことはこういう事なんだ。
心がいくら辛い、悲しい、怖いって訴えても、こんな事をしてしまうんだ。
どれくらい泣いてたんだろう、時間の感覚がわからない。
お母さんが席を立って、どこかに行ってしまう。
やだやだやだ、お母さんまでどこかに行ってしまうなんてヤダ。
僕は泣き続ける。
「瑠璃、ごめんな。お父さんも悪かった、もう一回落ち着いて話し合おう」
「おどうざん」
「そうね、ゆっくりと話し合いましょう。」
「おがぁざん」
僕は二人に縋り付く。
「瑠璃は大きくなってから、良く泣くわね。全く困った子だわ」
「なんで、コレを作ろうと思ったか。そこから教えてくれ」
ゆっくりと話し始めた僕の話を、聞いてくれた。
ちゃんと僕の思いを伝えたら、両親は分かってくれた。
手術の事を了承してもらえたけど、最後にお父さんに
「これからは、何か思いついたときに言いなさい。突然言われる身になってみろ」
って軽く頭に拳骨を落とされた。
手術をしたりで、1月位家を空けることになったんだけど。
翡翠にも怒られた…
僕ってばほんと駄目だなぁ
今までの義手・義足
魔力を流して、ある程度自由に動かせる。
0か1の出力しかできないので、力加減は熟練の技がいる
義手でコップを掴むのは新規装着者では、割る結果になる。




