ごはんじじょう
お読みいただきありがとうございます
美味しくなくて、お腹も膨れないけど高カロリー
季節は秋から冬に変わりかけてる、僕は冬の方が好きなんだ。
だってさ、夏って洋服脱いでも熱いじゃないか。
熱いからって、家の中を下着姿でフラフラしてたら怒られるしさ。
冬はまだ着ればいいから許せるけど、夏は許せないね。
そんな季節の変わり目だけれど、鬼達にはな~んの関係もなく戦場に押し寄せてくる。
当然お父さんも、お母さんもお休みの日以外は戦場にでて戦ってる。
今日はお父さんが帰ってくる日なので、翡翠と一緒にお出迎え予定。
「おとうさんまだかな、はやくかえってこないかな」
「どうだろうね、そろそろだと思うけど。怪我無く帰ってきてくれればいいね」
「うん、おけがしてなければヒーうれしい」
そんな感じでリビングで翡翠とイチャイチャしてたら帰ってきたみたい
「ただいまー今帰ったぞ。今回はそこそこ大変だった、大鬼クラスがおおくてな」
「おかえりなさい、怪我とかしてない?」
「大丈夫だ、父さんは強いからな」
「おとーさんおかえりなさーい」
毎回の事ではあるけれど、無事に帰ってきてくれたことをしっかりと喜ぶ。
擦り傷や切り傷はあっても、ちゃんと帰ってきてくれるって凄く嬉しいからね。
「おとーさんこれなぁに?はじめてみるよ?」
「あーそれはな、軍のレーションだ」
「れーしょん?」
「戦ってる時に食べるご飯だ、それがまた不味くてな」
翡翠がお父さんの持って帰ってきた荷物の中から、見つけ出したみたい。
戦場に出る日数分配られるんだと思ったけど、余るってどういうこと?
疑惑の眼差しでお父さんを見てみる
「いや、それ本当に不味いんだ。食べないと体がもたないと思ってもなぁ」
「ちゃんと食べなきゃダメじゃない、お腹が減って怪我するとか僕やだよ」
「瑠璃が言うことがもっともなんだけどな、俺以外でもなるべく食べたくないってやつ多いんだぞ」
何それちょっと興味出ちゃうじゃん、食べてみても良いか聞いてみよう。
「ん~いつも言ってることとは違ってしまうけれど、ダメだと思ったら吐き出すんだぞ」
「口をつけたら最後までちゃんと食べなさいって言うお父さんがそこまで言うなんて。でも興味には勝てないよ」
翡翠も食べてみたいらしく、二人で開封してみる。
お皿に出してみるけどなにこれ、すっごいケミカルな色したバターみたいなんだけど。
食欲を無くす匂いだ、戦闘中にこれ食べてたら士気下がる気がする。
「おねーちゃん、これたべていいものなの?」
「戦闘食だから食べて良いものだとは思うけど、想像よりすごいね」
「それ全部食べたら5000カロリーくらいあるから、チョットだけにしておけよ」
「なにその暴力的な数値、必要な栄養素を全部固めました!みたいな感じがするね」
「実際そうだからな、短時間で無理やり胃に押し込んで動けるようにするものだ」
僕と翡翠はスプーンでほんの少しだけ掬ってみる、たったこれだけでもとんでもないカロリーなんだろうなぁ。
奈央にスプーンを向けて、あ~んって言ってみたけどなんか葛藤してた。
暫くしてやめておくって言われたので、決意を固めて口に運ぶ。
そんな僕を見て、翡翠もチャレンジ開始
「うわっまっず、なにこれまっず。え、これいつも食べてるの?ダメだってこれ」
翡翠は凄い速度で震えてる、あぁ早くぺってしなさいぺって。
口をゆすがせて、飴玉を翡翠の口に入れる。
「おねーちゃん、あめさんがあまくないよぉにがかったりしょっぱかったりおくちがおかしい」
「そうだね、この飴かなり甘い奴なのに全然甘くないね。お父さんが残そうとするのも納得だよ」
「お父さんだってもう少しまともな味だったらちゃんと食べるんだが、コレはちょっと厳しいんだ。食べないと動けなくなるとは分かっていても、食べても動けなくなってな」
いやぁこれはダメだって、晩御飯までには治まったけれど舌が変になっちゃう。
将来これ食べて戦うとか無理無理、さっそく近衛の叔父さんと国森さんに連絡して改善に動くように伝えた。
近衛の叔父さんには、将来恋にこれを食べさせていいのかって働きかけをした。
国森さんには、レーションの改善を行ったらもっと協力が得られて働きやすくなるって言っておいた。
食べ物の恨みは恐ろしいし、実際士気にかかわるしね。
知り合いの戦場経験ある人に聞いてみても、不味くてやる気なくなるっていうし。
無天さんに至っては、ご飯美味しくないから戦場いかないって堂々と言ってくれたよ…
自分でやること増やしてるけど、美味しいご飯も作らないとだめかぁ
レーション
各国のレーションもどれも不味い。
日本のが比較的まし、でもまっずい。
栄養素的にはそろってるので改善が難しい。
瑠璃の改善案は、小分けにして固めて錠剤にする。
現実的にはこれが最良かもしれない。




