またねときぎょう
お読みいただきありがとうございます
はっちゃけてた人は限界まじかだった前よりも限界まじかだった。
今日はエリスが帰る日。
やだやだって駄々をこねるエリスをカイル様が宥めている。
3日間僕の家に滞在してたけど、僕たちが学校に行ってる間はエリスの顔見世っていう外交のお仕事をしてたらしい。
恋が僕にエリスを取られたーって泣いたり色々事件はあったけど概ね平和だったよ。
僕の思い付きと、翡翠達との模擬戦でゲームスタート時よりも強くなってるはず。
どうにか無事で過ごしてほしいね、僕がかけつけられる距離じゃないから。
まぁカイル様がいるから、エリスが怪我することなんてないだろうけどね。
カイル様はお母さんと魔法談議に花が咲いて、それをお父さんがハンカチを噛みしめて泣きながら見てたのが印象に残ってしまう。この記憶は早く忘れたい。
「今回の来日は、我々にとって想像していた何倍もの実りを手にすることが出来ました。今回の来日で出会った人々に感謝を、そして出会わせてくれた神に感謝を」
教皇が記者たちの前で喋ってる。う~む流石最高位の聖職者、話が旨い。
ついつい聞いちゃうよね、相談に乗ったり布教したりで色々な人たちと喋って鍛えた話術は凄いね。
「ねえさまとはなれたくないです、いっしょにいるです」
「それは難しいかな、また会える日は決まったんだし電話もするからね」
エリスが今回の来日で、爆速で成長した。
来日っていうか、妹達と僕と過ごして。
経験値ブーストでもかかってるのかってくらい成長してるんだ、向こうの教師陣は顔色悪いだろうね。1週間の滞在で、こんなに成長されるとさ。
教師陣に責任追及しないようにって、カイル様と教皇には言ってあるから大丈夫だろうけれど。
同い年くらいでここまでの技量のある子って、世界規模で見ても数人だろうしさ。
そんなレベルの子が一か所で成長してるんだもん、追いついて追い越しかけたエリスは流石聖女様だよ。
で、こんな成長の機会を活用しないのはもったいないという話になって、エリスは年何回か秘密裏に来日して来ることになった。
毎日とも、毎月とも言えないけれど、会うことが出来るんだからよかったよかった。
国森さんが、それだと警備が、準備がぁって言ってたから、報酬の話をして黙らせた。
欧州には伝わってしまったけれど、他の国には外交カードになりそうな魔法の運用方法。
教皇も、書面で権利は日本にあるって明記したからね。
飛行機に乗って帰っていくエリスを見送る。
翡翠も寂しそうにしている、僕は知ってるよ昨日の夜に仲良く抱き合って寝てるってことを。
よかったよかった。
「あ、あの、瑠璃ちゃん。報酬の話なんだけどね」
「僕は今、感傷に浸ってたんだけど。国森さんのせいで台無しだよ」
「あは、あはは、ごめんね。」
「ちなみにエリスの事をお願いしても、まだまだ報酬ってもらえる感じなんだ?」
「戦略価値がありすぎて、評価をつけるのが難しいレベルなのぉ。軍としては正規の報酬を支払わないといけないんだけど、一括だと難しいかもしれないの」
「そんなにかぁ、ん~じゃあその金額を元手に商売しようかな」
「はぇしょうばい?」
「いつかはやろうと思ってたんだけど、元手が無かったからさ。」
「な、なにをうるつもりなのかなぁ?お姉さん怖いなぁ?」
「あ、そうだ商売とは別にお金を使うことがあったんだ」
「まって、そっちも気になるんだけど先に商売のお話しない」
「大丈夫、国森さんに損は無いようにするから。頑張って副社長!」
「瑠璃ちゃん許して、死んじゃう、これ以上は私過労で死んじゃうから」
「僕の会社に軍から出向してもらうよ、会社にいる間は誰かほかの人に方面軍を率いてもらってね、国森さんのころより戦況が悪くなったり戻った時に仕事が溜まってたら今後僕の発明はエリスを通して欧州で発表するから」
「ひぃぃ、瑠璃ちゃん落ち着いて、ね、話し合いましょう」
「労働時間は11時から18時までで、給与は今のお給料を参考にします。あとは完全週休二日制を採用するので、労働時間内にキリキリ働くように」
「あれ?あれれれ~?あ、わかった!11時から18時の所が本当は、前日11時から翌日18時までってなるんでしょ。お姉さんは騙されないよ」
「お昼休憩は1時間、出向中は僕たちの家で暮らしてね」
「一日以上働いて休憩は1時間で、軟禁生活なのね…」
「ねぇお母さん、お父さんも他の皆も、こんなになるまで放置しちゃダメでしょ!国森さんのお肌とか髪の毛とかパッサパサだよ、僕は怒ってるんだからね」
そう、本来の国森さんならこんなタイミングで報酬の話なんてしない。
もっと綺麗だった国森さんは、今はしなびた感じがしている。
優秀なのはわかるけどさ、仕事を集中させすぎでしょ。
「残りの報酬で、軍の改革を進めて!僕のお金を使うんだから、ちゃんと収支報告出してよ。やむをえない状況を除き、不正に使った人は予備役に放り込んで。意識改革進めないと手遅れるになるよ」
「瑠璃ちゃん、そんなに仕事は出来ないよぉ。せめてあったかいご飯食べる時間と、もう少し寝る時間が欲しいよぉ」
「国森さん…いったんゆっくり眠ろうね」
首筋の血管を優しく圧迫して意識を断つ、そのまま家の車に寝かせる。
「軍部の要望はきらりちゃんがまとめて、政治的な要望は近衛のおじさんがまとめてね。ちゃんとやってくれないと僕は何するかわからないからね」
大人たちはそれぞれ慌ただしく動き始める。
国森さんがいないと、皆困るのに働かせすぎだよ。
僕や、翡翠が大きくなって軍役に着くときに滅茶苦茶だと大変だからね。
近衛のおじさん
恋のお父さん。
公家の近衛さんです。偉いよ、政治家だよ。
実権は無いけど、関白職です。
活発で素直ないい子に育ってくれた恋が大好き。
欧州貴族のエリスと恋が友達になったのは偶然。




