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たてたいきんにく

瑠璃の新居はデカい

流石に泊まるのは不味いかと思ってたら、教皇が此処の方が安全だってお墨付きをだした。

くつろぎだした教皇が僕に話しかけてくる。


「こっちに来ることがあったら、私の家に招待しましょう」

「え、嫌です」

「ここまで明確に、即決で拒否されたのは初めてです。言い方が悪かったですね、私のいる教会をご案内しますよ」

「え、嫌です」 

「また断られてしまいました、嫌われるようなことしましたか?」

「善意で何かするタイプの人じゃないと思うので、仲良くなりたくありません」

「私これでも教皇なんですけどね、善意で動くんですけどね」

「それは教義にのとった善意であって、僕の知ってる善意じゃないかもしれないし。策略家って雰囲気があるので、お断りします」

「酷い言われようだ。あ、そうだ、私とカイルは幼馴染なんですが、彼の小さい頃の話をしますよ」

「え、嫌です」

「これでも駄目ですか、カイルも使えませんね」

「僕が知りたいカイル様の事は調べようと思えば調べられるので。そもそもなんで僕を欧州に招きたいんです?」

「いや、なに。ちょっと異端審問でもしてみようかと。審問中は帰国もできないので、聖女様の御心にも沿えるのではと愚考したんですよ」

「おとーさーんこのひとおいだしてー」

「まかせろー」

「冗談ですよ、冗談。暇つぶしにはなったでしょう、ほら始まりますよ。」


何が始まるかって?欧州の盾「イージス」カイル様の防御力と、筋肉体美「重力の戦車」きらりちゃんの筋肉力を競う模擬戦だ。

我が家の地下は模擬戦が出来るほど強固で広大なのだ!

万が一のシェルターにもなってるしね。

きらりちゃんは面制圧型だから、一対一の状況ではそんなに高火力ではないんだけどね。

瞬間火力ならお父さんのが出るし、一騎討ならお父さんのが強い。

じゃあなんできらりちゃんってなるんだけど、お父さんってば戦場で槍を折ったらしくて今はよわよわの状態だよ。

軽口言ったり馬鹿にしたりしておいたけど、そんな緊迫する戦闘をして無事に帰ってきてくれたことにはちゃんと感謝の気持ちを伝えてるよ。

お父さんも、僕も真面目に話すと照れちゃうから軽口言いながらだけどね。


「わぁすっごい、人って音速の壁を越えたり、空中を駆け上がったりするんだねぇ」

「そうね、人の拳って防御魔法とぶつかった時に、あんな綺麗な金属音がするのね」

「みてみて奈央凄いよ、直撃しないように全部捌いてる。経験なのかな、見えてるのかな、聞いたら教えてくれるかな」

「フリッカージャブみたいなものなんでしょうけど、ひじから先が見えないわ。これでも捌けるのね。魔法の展開効率がすさまじいわね」

「おぉぉきらりちゃんのドロップキックが防御魔法を破って直撃したのに、生身で受け止めてるぅ」

「生身に直撃…ではないわね。瞬間的に防御魔法を幾重にも重ねて展開して、威力を殺してる。それでもあれを受け止めることが出来る人がいるだなんて」


僕と奈央は目をキラキラさせながら観戦解説中。

欧州トップの模擬戦を見れるなんて運がいいね、参考にしないと。

翡翠達は僕たち以上に目で追えてないみたいだけど、真面目に見てる。

将来は戦場に立たなきゃいけないからね、将来の役に立ってくれるといいな。


「ん~す・ご・い・わ・ね!噂以上にカチカチじゃない。しかも貴方、根性系でしょう?凄いわね」

「そちらも凄い、こんな重さの拳は初めてだ。この状況の気合系でこれとは恐れ入る」


根性系?気合系?なにそれ?根性魔法とかあるってこと?

お父さんが説明してくれる


「造語なんだけれどな、才能系・根性系・気合系・死線系って戦場で戦う人間の大まかな分け方だ。戦闘スタイルを言うこともあれば、その戦闘スタイルを手に入れた行動で言ったりもする。」

「カイル様は根性で今の防御力を手に入れたってこと、初めて聞いたよ」

「光輝も戦場は長いから、いろんな奴を見てきてるし手合わせもしてる。やってみた感じで気づいたんだろう。奈央ならあの域までいけると思うぞ、才能は十分あるからな。」

「それって才能系じゃないの?」

「才能系は才能だけで全部やれる奴をいうことだから、違うな。才能があってそれをどうやって使いこなしてるかって意味もあるんだ」


奈央の真剣度がました、まぁ目指す戦闘スタイルの一つの極致だもんね。


「きらりちゃんの気合系って?」

「あぁまぁなんていうか、テンションで威力が変わる奴らの事をいうな。戦場の光輝はもっとすごいぞ、今日は威力が出てる方だが鈴が見てるから張り切ってるんじゃないか?」

「カイル様がカッコいいからとか?」

「そ・の・両方よ!!!!」


ひゃ~凄い威力の拳を叩きつけてる。


30分間の模擬戦が終わって、二人はがっちりと握手してる。

きらりちゃんの手がおしりをひと撫でした気がするけど、見間違いに違いない。


「いい汗かいたわぁ、カイルちゃん一緒にお風呂でもど・う・か・し・ら?」

「確かにいい汗はかいたが、そのお誘いはご遠慮させてもらおう」

「ざんねんね~、お風呂先に借りるわよ~」


僕たちは、お父さんを交えて感想戦を行う。

普段とは違う組み合わせなので、今までにない発想も出てくる。

疲れてるはずのカイル様も参加してくれて、きらりちゃんの3次元的な動きには驚いたって教えてくれた。


「そうだ、カイル様。僕思いついたんですけど、こういったことはされないんですか?」

「どんなことを思いついたのかな?危険なことでなければ見せてもらいたいが」


憧れの人に言われた僕は、意気揚々と走り出す。

そしてその勢いのまま壁を走って、空中をかけて見せる。


「あぁ瑠璃がきらりさんと同じで、人間をやめてしまった」

「ちょっと、奈央!僕にもきらりちゃんにも失礼すぎるでしょ!」


そのまま天井近くまで歩いて上る。


「おーい瑠璃、どうやってるのか聞きたいし降りてこい。それと丸見えだぞー」


ぎゃー今日はスカートだった。

だけど、もうちょっと言い方があるでしょ。

お父さんのばかぁ

カイル・グランバール

欧州の守護神

最前線にて倒れず、その背中を見て兵は己を鼓舞している。

そんな姿を、瑠璃はあこがれている。

防御魔法の運用は世界一、敵を打倒する能力はそこまで高くない。

彼がいるだけで、戦死者がいなくなり

彼がいるだけで、負傷者の数が減る


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