やさしいあね?おかしいあね?
うちの子の本質です。
うちの子はただのクレイジーシスコンではなく、
クレイジーサイコシスコンなんです。
あの後も奏さんとお母さんと話した結果、僕ってば随分やべぇ奴だってことが理解できた。
話してる最中ずっと、奈央が僕を抱きしめてた。
いつもは逆なのにって思うけど、抱きしめられるのは抱きしめるのとは違ってたまにはいいかもしれない。
どうやら僕は、僕が大切だと思った人や物に全部を賭けちゃうみたい。
例えば
普通の人が好きな人がいたとしても、自分の時間の10割は捧げられない。
でも僕はいろんな理由をつけて、自分の時間を10割捧げちゃう。
例えば
普通の人が自分の知識を全て捧げたり、無償で供与するのはためらったりする。
でも僕は何のためらいもなく、一切の迷いもなく捧げちゃう。
例えば
普通の人が臓器の提供者になったとして、替えの利かない臓器だったら拒否するか悩む。
でも僕は何の迷いもなく、差し出してニコニコ笑ってる。
例えば
普通の人が怪我をした時や、事故に遭うときは大切な人を心配させることや会えない期間を不安に感じる。
でも僕は自分が怪我してよかった、自分が事故に遭ってよかったと考える。
客観的に突きつけられると、どう考えてもやべぇ奴だ。
奏さんの質問に答えてるときに、お母さん達の顔色が悪かった理由を理解する。
しかもたちが悪いことに、理解しても僕自身に変化が特にないこと。
その立場や場面になったら、きっとそう動く。
転生して拾った命だから投げやりになってるとかじゃ無いんだけどな。
「瑠璃は一人しかいないのよ、無茶をして怪我をすればみんな悲しむしもっと自分を大切にして」
奈央の言ってることもわかるんだよ、でもさ自分を大切にしてないわけじゃないんだよ。
自分よりもっと大切な人や、ものがあればそっちを優先させちゃうんだ。
感情が理解できないとか、わからないとか、無いとかじゃないんだ。
僕だって嫌なことは嫌だし、嬉しいことは嬉しい。
感情とは別の部分で多分僕は、壊れてるんだと思う。
「お母さんは決めました」
「ど、どうしたの突然」
「今日から今まで以上に甘やかして、デロデロになるまで愛します」
「なになに、え?なに?」
「奈央も側付きから絶対に外しません、こんな危なっかしい子を野放しにするなんて出来ないもの。家の事とかは私が決めます、効率とか非効率とか一切考えません」
「えぇお母さんが急に暴君に」
「どうせ自分の将来は翡翠の役に立てればいいと思ってるんでしょう、許しません。瑠璃が幸せになれない選択を一切認めません」
「翡翠が幸せになれるほうが良いよ」
「お母さんは、瑠璃も翡翠も幸せになれないなら許しません。絶対にそんな選択はさせない」
泣きながらお母さんは僕を抱きしめてくる。
「瑠璃が自分の価値に気が付くまで、気が付いても許してあげないわ」
お母さんの愛情を感じる、今までだって感じてたし解ってる。
僕の事をすごく大事にしてくれて、愛してくれていることは。
解ってるんだよ。
僕が好きな人に誰よりも愛されたいって、一番になりたいって欲望だってあるよ。
でも、でもさ、僕が一番じゃなくてもいいじゃんって思っちゃうんだよ。
妹が好きだから
妹が大切だから
妹の為なら
そんな理由で自分の付与魔法で自分の体を爆弾に出来る姉がまともなわけがない
普通に暮らしてる分には良いお姉ちゃんです、何かが起こるとクレイジーお姉ちゃん部分が見えてきます。
感情とは全く別の部分がおかしいので、優しくてかっこよくて素敵なお姉ちゃんです。
たまにぐへるのが問題ですが。




