こころのうちがわ
随分長い間目を閉じて多様な、一瞬だったようなそんな不思議な感覚とともに意識が浮上する。
眼を開けると、お父さんとお母さんがいる。
なんか随分心配そうだけどどうしたんだろ?
声を出そうとするけど、上手くしゃべれない?なんで?
お母さんがお水を飲ませてくれて漸く少し声が出る、しっかしこのお水美味しいな!高い奴?
でも不思議な感覚、体は全然動かないしちゃんと目が覚めてる感じもしない。
あぁそっか夢だ、これは夢なんだ。
「へんなゆめ、おとうさんもおかあさんもなんでないてるんだろ」
「瑠璃が目を開けてくれたからさ、寝続けてたんだぞ。寝坊助さんだな」
「ぼくだってたまにはがんばりたくないときだってあるよぉ、ぼぉっとしてよくおもいだせないけどとってもとってもがんばったきがするんだ」
「そうね、いつも心配するくらい頑張ってるものね。でも今回は頑張りすぎよ」
「む~ほめてくれてもいいじゃん、かっこいいおねえちゃんするのたいへんなんだよ。さびしいときだってがんばったし、あまえたいときだってがんばりつづけたんだよぉ」
夢だからか普段考えてもいないような言葉が出る。
「ひーちゃんがうまれてからどうしてもぼくとのじかんがへっちゃったでしょぉさみしかったもん」
「そうか…そうだな寂しい思いをさせてごめんな、瑠璃はよく頑張った自慢の娘だ」
「えへへ~そうでしょ~」
「えぇ本当に瑠璃は頑張り屋さんで、優しくてとっても大切な私の娘よ」
二人して僕を甘やかしてくれる、こういうの久しぶりだなぁ。夢が覚めたらもっと甘えてもいいかもしれない。
「そうだ瑠璃、お父さんにもっと普段思ってることを教えてくれないか。こうやってゆっくり喋ることも最近できなかったしな」
「え~ふだんおもってることかぁ。」
「そうね、お母さんにも教えて頂戴。どんなことだっていいのよ」
「んとね、ぜったいぜったいだれにもいわないでね」
「もちろんだ」
「ぼくね、わるいこなの」
「瑠璃みたいな良い子が悪い子ならこの世から良い子がいなくなっちゃうわね」
「だってぼくね、だ~~~いすきなひーちゃんがいなければいいのにって、そうしたらおとうさんとおかあさんをひとりじめできるのにってかんがえちゃうことがと~~~~~てもたまにあるんだ」
「そうか、お父さんたちは瑠璃が聞き分けが良いから甘えていたんだな」
「ひーちゃんがうらやましいなぁってずるいっておもっちゃうの、ね~わるいこでしょ」
「そんなことないわ、そう思ってしまうんだとしたらお母さん達が悪い子なのよ」
「でもでも、すぐにひーちゃんがすきーってきもちがかってがんばれるんだよ」
「そうかそうか瑠璃は良い子だな」
「とってもいいお姉ちゃんになってくれてお母さんも嬉しいわ」
「ほめられちゃった、うれしいなぁ。あははへんなの~ゆめのなかなのにねむくなってきちゃった」
「そうか、そうしたらゆっくりお休み」
「そうね、今は体力を回復させないとね」
「よくわからないけど、わかった~おやすみなさーい」
変な夢だけどなんかいい夢だったかもしれない。
少し心が軽くなった気がするもん。
世界設定
この世界の病院はすべて国営。
前線の方の病院は血みどろの患者が毎日運び込まれるので、医者の精神がマッハ。
国営にして万全なサポート体制にしないと心が壊れてしまう。
前線で医療活動に従事するのは、戦えるのが条件




