みんなでおでかけー6
時間が欲しい
昨晩は鈴にヒヤッとさせられたけど、あの後は皆で僕たち家族の部屋でお話しながら保護者達が返ってくるのを待ってたけど誰も帰ってこなかった。
翡翠達がねむねむだったので皆で先に寝たけど、朝起きても誰も帰ってきてないとは思わなかった。
何時も起きる時間より早く起きたので、レッツ朝風呂!と思って露天風呂に一人で向かう。
更衣室で寝巻の浴衣を脱いで進んでいくと
「ぬははははは、この景色を私が独り占めよ。これくらいいいことないとやってられないわよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
裸で仁王立ちしながら叫んでる国森さんとエンカウントした。
即座に逃げ出そうとしたけど、回り込まれて僕はガシッと肩をつかまれる
「みたわね?」
「しらない、僕何も見てないし聞いてないよ」
「そう、見たのね・・・」
「話を聞いてよ国森さん、見てないっていってるじゃん」
「そういうことを言う人は大抵見てるものよ、わかるだから」
確かにそうかもしれない、誰にも言わないって言っても放してくれなかったんだけど夏とはいえ朝の冷たい風に僕がくしゃみをすると慌ててた。
サクサクっと掛け湯して湯船につかりつつ昨日の夜誰も帰ってこなかった話をすると
「あぁ宴会場でみんな酔いつぶれてるわね、そんな大した量じゃなかったのに皆さん疲れてるのかな?」
「あぁそうなんだ。お父さんもお母さんもそんなにお酒を飲むイメージが無かったからそこまで飲むのは意外だよ」
「途中から玉藻の前も参加してきたからね~私は嫌なことから逃げるのに毎晩飲んでたから平気だけどみんなそんなに飲まないのね」
「国森さん、ほどほどにしないと体を壊しちゃうよ」
「ふふふ、ありがとう。でも、大人には飲まなきゃやってられないこともあるのよ」
遠くを見つめる国森さんは哀愁の塊だった、もう少し優しくしてあげようと僕に思わせるくらいに。
お風呂から上がって妹達を起こして朝ご飯を食べに向かう、一人で温泉に入ったことがばれてずるいーって言われたけどみんな気持ちよさそうに寝てたんだもん。
昨日の宴会場につくと死屍累々、保護者達が二日酔いで苦しんでいた。
たまちゃんのせいだな!と思ったけれど、よくよく見るとたまちゃんも苦しんでる。
そんな惨状の中、けろっとした顔で朝ご飯を食べてる国森さん…
流石に察した犯人はアイツだ、苦しむ両親に近寄ってお水を飲ませてあげる。
「瑠璃ありがとう、国森君があれ程強いとは思わずにペースがおかしくなってこのありさまだ」
「雫ちゃん、皆にお酌しながらガバガバ飲んでいたのに平気なのね。最後には玉藻の前と差しで飲んでいたのよ、酒量で潰すなんて歴史上誰にも出来なかったことを成し遂げてるわね」
とんでもない酒豪だった国森さんに、国の防衛戦力は木っ端みじんに壊滅させられてる。
京都に行くよりよっぽどダメな状況なんじゃないだろうか。
「こんな状況じゃご飯のおいしさが半減しちゃうよ、奈央ちゃんもそう思わない?」
「・・・・・・・」
あれ?奈央に話しかけて無視された?昨日の夜のは僕の勘違いじゃない?
「ね、ねぇ奈央ちゃん、僕怒らせるようなことしたかな?ちゃんと謝るから理由を教えて」
顔を真っ赤にしてそっぽ向かれちゃった、僕そんなに怒らせるようなことした?
確かに何時も変なこと言ったり、変な行動いてたからついに愛想付かされちゃったんじゃ
手を伸ばして奈央に触ろうとしたら避けられた。
明確に避けられると思った僕は泣き出してしまった。
世界設定
この世界では共通言語があるため、日本語を使いこなせる人間は貴重。
祝詞何かは日本語でやらないと意味がないので、国として危機感を覚えている。
国語のテストで満点を取れると就職に有利になるレベル、どこの国でも若者の母国語離れが問題化してきている