困ったときに振るう物
お読みいただきありがとうございます
二つ名持ちは偉大なのですよ
生まれて初めて絶望して、そのまま意識を失ったた翌日
僕の病室は満員御礼だよ、僕の知り合い全員来てるんじゃないかな?
ん?んん?
あれぇ?あっちに座ってる人は陛下に似てるね、隣に座ってる人も上皇陛下に似てるね
まさかそんなね、二つ名持ちとは言え今や魔力も殆どない人間のお見舞いくるわけないよね
そんなこと考えてたら翡翠にデコピンされた、ペチンっていい音が病室に響いたよ
「お姉ちゃんがどれだけ凄いことしたかわかってる!?お姉ちゃんが一番分かって無いんでしょう?お姉ちゃんが居なかったら私達帰ってこれたかわかんないんだよ!!」
妹に怒られた悲しい
「またせたんじゃの!」
四神のお祖父ちゃんが病室の扉を勢いよく開けて入ってきた
「打ち出の大槌渾身の作品なんじゃの!生涯最高傑作なんじゃの!!」
「お祖父ちゃんどうしたの?僕もう魔力ないから使えないよ?」
「瑠璃は考えてるようで考えなしなんじゃの、だからこうなると思って作り始めてたんじゃの!」
「お祖父ちゃん酷い、僕の事そんな風に思ってたんだね」
「カラ元気はダメなんじゃの、無理に頑張る必要ないんじゃの」
「そんなこと無いよ、僕はいつも通りだよ」
「今の瑠璃の状況で普通に喋れるのがおかしいんじゃの。気が付けないほど追い詰められてる孫を救えないなら、魔道技師の看板下すんじゃの。この指輪を付けるんじゃの」
「お祖父ちゃんさっきも言ったけど僕は魔道具に触れないんだよ?」
「大丈夫なんじゃの、お祖父ちゃんを信じるんじゃの」
そこまで言われたらつけるしかないよね、指輪を付けたけど意識を失うとかなかったよ
「これどんなものなの?」
「神人の魔法のコピー品なんじゃの、海賊版なんじゃの!その指輪と対を成すものを付けてる物の魔力を吸って、瑠璃のつけてる指輪から瑠璃に魔力を注ぎ込むんじゃの!」
「海賊版とか言い方が…」
「神器つかうのに輪廻の果てまで魔力を先借りしたんじゃの、返済して何時もの瑠璃を返してもらうんじゃの」
そう言うと病室にいた皆が、指輪を付ける
皆から指輪を通して僕に魔力が流れ込んでくる
たまちゃんと呑兵衛の姿が見える、鬼神も指輪付けてくれてる
嬉しくって、温かくって、泣いちゃうよ
昨日の夜とは全く別の涙が頬を伝う、皆の気持ちが嬉しいよ
「お祖父ちゃんありがとう…」
「いいんじゃの、本当はもっと早く渡せたんじゃの。意匠で皇ともめて遅れたんじゃの」
皆の視線が皇のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに向く
「だって~四神のぉ~家紋だったんですものぉ~皇の孫でもあるのよぉ~」
「お祖母ちゃん、僕結構深く傷ついたんだよ?」
テヘペロってしてるお祖母ちゃん、怒って良いかな僕?
周りを見渡すと、皆指輪を付けてくれてる
陛下と上皇陛下も付けてるよ?大丈夫???
奈央はなんで薬指に付けてるの?え?ずーっと一緒だって?その笑顔怖いよ
「はぁ~お祖父ちゃん疲れたんじゃの褒められる仕事したんじゃの」
「お祖父ちゃんありがとう大好き!」
「嬉しいんじゃの、元気な瑠璃が一番なんじゃの。これで安心して曾孫を待てるんじゃの」
「お爺ちゃん何言ってるの?」
「待たせっぱなしはいけないんじゃの、さっさと決めて結婚してほしいんじゃの。瑠璃は動けると無茶するから、子供を作って物理的に無茶できなくするのが良いんじゃの」
そうかもしれないけど、今言わなくていいじゃん!
返して僕の感動、返してよ僕の涙!
皆もうんうんってうなずかないでよ!
お祖父ちゃんの力作の凄い所
海賊版なんて言っているけれど、
時間制限がない、距離的制約もない、魔力を渡す側に負担がない
オーパーツレベル




