いちばんのぴんちかもしれない
お読みいただきありがとうございます。
瑠璃の人生である意味一番ピンチかもしれない瞬間がやってきました
着物を美しく着るために大事な事って何だと思う?
着付けをしっかりする、そうだね
姿勢をよくする、そうだね
そもそもとして胸があんまり大きくないほうが良い
五月蠅いよ馬鹿!好きでちっちゃいんじゃないやい!悩みの種だよ!
「お母さん気が付いたんだけどね、瑠璃の胸がストーーーーーーーンってしてるのって」
「まってお母さん、そこはもうちょっとやんわりとしてくれると嬉しいよ」
「そうね、ごめんなさいね。瑠璃の胸が無いのって」
「…怒るよ?」
「もぅ我儘な子ね。それでね、瑠璃が魔法を使いすぎてるかもしれないって思ったのよ」
「ど、どういうこと!?」
「瑠璃が使う魔法は、脳だったり身体強化だったり多岐にわたるでしょう。魔力が少ないのに凄い効率で使っているじゃない、普通はある程度は魔力で強引にやっちゃうのよ」
「そうなんだね、でもそれと僕の胸と何の関係あるのさ」
「瑠璃の魔力で効率よく魔法を使ったとしても、不足すると思うのよエネルギーが」
「まぁたしかにそうだね、戦場から帰るとお腹ペコペコだもん」
「貯えに回す分も使っているとしたらね、胸にいく分の栄養が足りてないんじゃないかしら?」
「な、なんだってーーーーー」
「あらあら~そんな話で~盛り上がっちゃダメよ~お相手がそろそろ来ますからね~ささっと切り上げて帰りますよ~」
「「は~い」」
今僕とお母さんとお祖母ちゃんでお見合いの席に来てるんだ
誰も賛同していないお見合いってやる意味ないと思うんだけどね
事の発端は皇のお爺ちゃんがした昔の約束と僕の年齢
僕ってば今年で24歳なのね、この年で結婚してない名家の人間ってほとんどいないんだ
いつ死ぬかわからない状況だから血を残さないとね
我が家は好きにしたらいいでしょ分家だしってスタンスだったんだけど、流石に元嫡男と朱の巫女の子供が自由って訳にはそろそろ行かなくなったんだよ
皇と同じくらい歴史のある五彌家ってところから熱烈なラブコールがあったんだって
お爺ちゃんものらりくらりとかわしてたんだけど、流石にかわしきれなくて今回の場が整っちゃった
僕に向かって土下座までして謝罪してきたお爺ちゃんに、お母さんとお祖母ちゃんは全く欠片も1ミリも容赦してなかった
流石に止めて、お見合いした上で断っても良いんだよね?って確認して大丈夫だったから参加したんだ
お爺ちゃんだって頑張ってくれてたんだもん、僕も少しくらいは嫌な思いしないとね
「でゅふふ、噂通り貧相な女じゃないか。片手もなければ巫女の才能もない、出来損ないなんだろう。僕ちゃんのペットにしてやるよ」
わぁ凄いのがきた、え?これ本当に名家の一族なの?教育どうなってんの?
この部屋空調とか完璧なのに汗かいてるし、凄いふとってるし、僕の事を見下した目で見てくるし
わぁこれは典型的なダメなやつだ
「お、お母さん、この人凄いね絵にかいたような人だね」
「そ、そうねこれは凄いわね」
「あらあら~五彌から~本当のゴミがでちゃったのね~」
満場一致でコレはないって結論だね
「太郎ちゃんに相応しくないわね、なんで御爺様もこんなお見合い組んだのかしらね」
「でゅふふママァ、僕ちゃんは大丈夫だよ、新しい玩具だと思えば悪くないよ」
ひぇ~母親もダメだこれは
お祖母ちゃんは縁切るも視野に動かなくちゃダメねってぶつぶつ言ってる
いつもの口調じゃない、あら~じゃなくてぶつぶつ言ってる怖い
お母さんは目が座ってきてる、これは死人が出るかもしれない
朱の巫女を前にしてこの態度は凄い度胸だと思うけど、度胸だけじゃ生きていけないんだよ?
「僕ちゃんの玩具が壊れちゃったから丁度いい、この玩具はどこまで耐えられるかな」
此奴ダメだ、やばいこともしてるっぽいし生理的にキツイ
「さてさて、そろそろ寝室にいくじょ。可愛がってやる」
何言いだすんだこいつ行くわけないでしょ
ふざけんなって立ち上がろうとしたら、体が動かない
だんだん眠くなってきてる、嘘でしょ薬?
ここのお茶に薬入れたの?
お祖母ちゃんとお母さんも驚いてる、流石に予想外過ぎたよ
あ、だめだ意識が・・・
この時の奈央
「う~~~う~~う~~~」
「まったくこのバカ娘は、いくら暴れても拘束は説きませんからね」
「う~うう~~う~」
「もしかしたら、万が一にでも素晴らしい人かもしれないでしょう。お嬢様の幸せを願うなら大人しくしてなさい」
ガタガガタバターン
「う~~~~」
「わぁなにこの状況…奈央お姉ちゃんなんでぐるぐる巻きになってるの?」
「翡翠お嬢様お見苦しい物をお見せして申し訳ございません」
「香奈さんやり過ぎだと思うよ?」
「このバカ娘は、お見合いの邪魔をしようとしていましたので。相手が屑だとしてもご当主様が整えたお見合いですので、ぶち壊すわけにはいきません」
「そうだよね。大丈夫だよ奈央お姉ちゃん、私も色々動いたんだよ!ふふ~ん私だって搦め手くらい仕えるんだよ?」
「う~?うう?う~?」
「信じてないでしょ!できるもん私だって!お姉ちゃんも言ってたんだよ、どうしようもない時は権力と力のある人を頼りましょうって」




