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とどめ

お読みいただきありがとうございます。

今日は奈央視点からスタート

「おねーちゃだいじょぶ?かえってくる?」

「おねーちゃたすけにこーもいく!」

「大丈夫よ四方喜、瑠璃とボブさんも向かったし玉藻の前がいらっしゃるもの。琥珀はお留守番していましょうね、疲れて帰ってきたお姉ちゃんたちにお帰りなさいって言ってあげないとだめよ」


二人をギュっと抱きしめながら部屋に防御魔法や、結界を付与していく

もともとこの旅館の防衛設備はかなり高いのだけれど、それで油断してあの時みたいになったらだめだもの

瑠璃は咄嗟にボブさんを連れて行った

私は置いて行かれた

嫌な感情が出てきてしまう、なんで私はこんな状況でボブさんに嫉妬なんてしてるんだろう

私が此処に残るのが一番いいってわかっているのに、瑠璃の隣に入れないことがすごく悔しい


「おねーちゃこーたちだいじょぶ、おるすばんできるよ」

「るーおねーちゃのところいっていいよ」


あぁ何をしてるんだろう、こんなに小さい子に心配されるなんて

ボブさんを連れて行ったのは、火力を優先したからだってわかってるのに

万が一、億が一にでも玉藻の前が苦戦していた時の助けに必要だからなのに

守る段階ではなくて攻める段階だもの、私が行っても役に立てない

琥珀と四方喜を守るなら私が適任だってわかってるのに


「私も一緒にお留守番させて、今から追いかけても間に合わなそうだもの」

「おねちゃーたちびゅーってびゅーってはしってったもんね」

「よももあんなふうになれる?」

「頑張ればなれると思うわ、でもあんなふうになっちゃダメよ」


なんで~?って言ってくる二人が微笑ましい

あの時みたいに待っているけれど、あの時みたいに守り切れないなんて絶対ダメ

可愛い弟妹を守ってあげなくちゃ…私も随分思考が瑠璃っぽくなっちゃったわね

それから暫く二人と会話を続けていると、従業員の人が一緒に固まって避難しましょうって声をかけてくれた

私はそれを断る、自分の魔法を過信しているわけじゃない

殺生石の従業員はそれなりに強い、普通の敵だったら頼ってたと思う

でも今回は贋作者が相手だもの、ここに籠っている方が対処しやすい


「おねーちゃかえってこないね?」

「おねーちゃたちけがしてない?」

「ちょっとした怪我はしてしまうでしょうね、大鬼はとても強いから。他の鬼だったら玉藻の前が瞬殺してくれるでしょうけど、贋作者相手だから時間がかかっているんでしょうね」

「どなおになの?」

「こわいの?」

「贋作者って言ってね、人に化けたり偽物を作って襲ってくるの。普通はとっても怖い鬼なのよ、でも瑠璃が行ったから大丈夫よ」

「るーおねちゃつよい」

「るーおねーちゃすごい」

「そうね、瑠璃は強くて凄いのよ。特に妹や弟が巻き込まれてるときはとってもね」


二人とお喋りしながら待っていると私の魔法に何かが突っ込んできた

部屋についてる庭園がめちゃくちゃになっているし、土煙も凄い


「二人とも私の側によって、絶対離れちゃダメよ」


魔法をより強く強化して、土煙が収まるのを待つ


「た、たす、け、て…」


周囲が落ち着くと、ボロボロになった翡翠の弱弱しい声が聞こえた

なんてこと、早く手当てをしないと


「だめ!あれちがう!!」

「ひーおねーちゃじゃないよ!」


二人の声に駆けだそうとしていた私は、止まる

本当にあの翡翠は偽物なの?もし違ったら手遅れになってしまう


「だめーあれちがうよ!なーおねーちゃいっちゃだめ!」

「ちがうもん、あんなのひーおねーちゃじゃないもん」

「そう、そうなのね。わかったわ、二人を信じましょう」

「なんで、この私の変身がこうも立て続けに見破れるんだぁぁああああああああああああ」

「さぁ?子供の純粋さには敵わないってことじゃないかしら?」


いけない、挑発してどうするのよ!

あぁもぅ瑠璃のせいなんだから、瑠璃が悪いのよ私は悪くないわね


「ぼぉくぅのぉぉぉぉぉぉぉ親友と弟妹になにしてんだこらぁぁぁぁぁぁぁぁ」


心の中で瑠璃に罪をかぶせていたら空から本人が降ってきた

相変わらず意味が解らないことしてるわね

空から降ってきた瑠璃は贋作者をボコボコにしてる、弱っていたとはいえ一方的だ

私は少し、本当にほんの少し気を緩める

偽物か本物か治療するべきかしないべきか、そう悩んだ分だけ

出来た余裕で状況を確認する

二人を守る魔法は十分ある、今使えるリソースを全て瑠璃の援護に振り分けても問題ない

まったくもう、ほら好きに戦いなさい

何時もみたいに私が援護してあげるから、自由にやって動いて好きにしなさい


「またせたのじゃ!わらわが来たのじゃ!」

「遅い、馬鹿たま!不用意に敵を吹っ飛ばすからこんなことになってるんだよ、もっと反省して!」

「ひどいのじゃ、流石に面と向かって馬鹿って言われたのは初めてなのじゃ・・・」

「どうでもいいからさっさとこいつ倒して、それても僕がやっちゃっていいの?お膝元で散々暴れさせて、止めもさせないってことで良いんだね」

「だだだだめなのじゃ、可及的速やかに消し去るからすこしまつのじゃ」


とどめを刺したのは玉藻の前だった

瑠璃はずっと玉藻の前を罵倒していたけれど、いったいどういうことなの?

贋作者が玉藻の前に挑戦した理由

血の一滴、髪の毛一本でも手に入れたかった

それさえあれば何処かで王として君臨できると思ってしまったから

無理無茶無謀と分かっていたはずなのに何故か行けると思ってしまった

とある矮小な鬼と出会ってからどこかおかしいと思いつつも進んでしまった


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― 新着の感想 ―
[一言] お久しぶりです( ・ิω・ิ) いつも楽しく読ませていただいています! 受験などのせいで感想を送るのが久しぶりになり申し訳ないですm(_ _)m できるだけ感想を送っていきたいとおもいます!…
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