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たのしいしゅうがくりょこう5

お読みいただきありがとうございます。

瑠璃は都合のいいことが聞こえなくなる系主人公


上皇陛下先導で御所を進む僕達

この状況が、状況が辛い

別荘を案内するくらいの感覚なんだろうけどさ、僕たちにしてみれば別世界を案内されてるようなもんだよ

だって先導されながら、こっちの襖絵は600年前のもので誰誰が書いたんだよとか言われても凄いですね!しか言えないって

侍従の方々もいるんだけど、慌てる僕たちを微笑ましそうに見てる

助けてはくれないんだ、お願いだから助けてくれないかなぁ


「この部屋だよ、合わせたい人は中で待ってるから」

「はい、失礼しま…陛下下がって!」


襖を開けて中に入ろうとしたら、半透明の人?がいた

あんなのまともな相手なわけがない、僕は上皇陛下の前に飛び出す

奈央と甘木君も一緒に飛び出して、防御魔法を張る


「おやおや、ちゃんと説明してなかったのかい?大丈夫私は何もしないよ」

「信じられるか!陛下早くお下がりください!」

「いやぁ驚かせすぎてしまったね、大丈夫だよ。この半透明が合わせたかった人だから」

「えぇぇぇぇ」


僕たち三人は崩れ落ちる、こんなところに侵入できる奴相手に上皇陛下守りながら戦うって思ってた緊張感を返して…

そもそも陛下のが強いとは思うけどさぁ


「すまんすまん、そういえば半分透けてるんだった忘れてたよ。さて先ずは名乗ろうか

私の名前は安倍晴明、聞いたことくらいはあるんじゃないかな?」

「聞いたことはありますけど、ずっと昔の人でしょ」

「そうそうかなりの年寄なんだ、ここの破魔結界を作った時に試しに霊体化したらできちゃったんだよ、流石天才の私だよね」

「あぁ僕と同じタイプの馬鹿なんですね」

「はっきりものを言う子だね、そうそうよく馬鹿って言われたよ懐かしい」

「それで僕たちに用ってなんですか?」

「私はね、霊体化を維持するためにここから出られないんだ。ここの破魔結界が龍脈を利用してるんだけど、おこぼれで存在してるからね」

「はぁ」

「それでね、四神瑠璃って子が作った義手や義足で私の体が作れないかって思ったんだよ。日本も変わったんだろう?見て歩きたいなぁってね」

「安倍晴明にはお世話になってるからね、何かしてあげたいと思ってたんだ。京都御所でテレビ見たり、本を読んだり気楽に暮らしてる半透明とはいえね」

「なるほど、でも無理なんじゃないかと思います」

「理由を聞いても良いかな」

「僕の作った義手は魔力で動くんです、龍脈からのおこぼれで存在してるんだったら消えちゃうんじゃないかなって」

「魔力自体は問題ないよ、式神に魔力だけ入れたのをいっぱい持ってるから。それを使いながら最初は御所周辺だけにしておく、消えそうになったら逃げ込むよ」

「無駄に何でもできそうですね。他にも問題があるんですけど、まず安倍晴明が生きてる?存在してるって公になってるんですか?」

「なっていないよ、秘密だね。あぁ君たちも喋っちゃだめだからね」


へいかぁぁぁぁそんな茶目っ気たっぷりに言われても国家機密なんじゃないかぁぁぁ

また変なこと知っちゃったよ、なんでこんな事ばっかり起こるんだよぉ

泣きたい…


「おっとお茶も出してなかったね、今入れるからね」


手づから入れて下されたお茶を飲む、緊張してぶるぶる震えたけど何とか飲めた

あ、美味しい

無限に美味しい、そっか御所だもんねあの良く解らないレベルの食べ物が集まる場所だもんね

とろけりゅ


「ちょっと瑠璃、何て顔してるの!シャキッとしなさいシャキッと」

「はぇ?僕危ない顔してた?え、やだ」


周りを見渡すと侍従の人達が顔を赤くしてるし、甘木君は固まってる

そんなに酷い顔してたの、ちょっともう生きてられないんだけど

僕は顔を隠して丸くなる、恥ずかしいよぉ


「駄犬、今の瑠璃の顔は直ぐに忘れなさい。あんたなんかには勿体ないわ」

「お、おぅ死ぬかと思った」

「そんなに、死ぬかと思うくらいなの。僕もう生きていけないよぉ」

「ち、違う!可愛くて心臓止まるかと思ったんだよ!!」

「良いよホローしなくて、妹にも言われるもん。お姉ちゃんは気持ち悪い顔するからシャキッとしてなきゃダメって」

「いや、本当なんだって。侍従の人達もそうでしょ!!」


知らない知らない、御所でこんな目に合うなんて思ってなかった

上皇陛下にも見られたんだ、日本で生きていけない


「安心しなさい、傾国という物を初めてみただけだから。私もあと10若ければね」

「おやおや、奥方に伝えなければいけないね。私だって生身の体があればとは思ったけれどね」


移住だ、移住するしかない

教皇に癪だけど連絡して、それでそれでエリスの所でお世話になろう

うんそうだそれが良い

僕が移住計画を考えて纏まった!と思ったら奈央に頭を叩かれた


「戻ってきなさい大丈夫よ」

「奈央ってさ、最近僕に容赦なくなってきてない?」

「しょうがないでしょ、こうでもしないと暴走が止まらないんだもの」

「昨日は奈央が暴走してたじゃないか!知ってるんだよ昨日の夜香奈さんから連絡があって泣きながら言い訳してたでしょ」

「あ、あれは駄犬が告げ口したせいで!」

「そろそろ話を進めても良いかな?」

「「はいっすいませんでした」」

「他に何か問題になると思ってることはあるのかな?」

「えぇっとですね、ついこの間の事ですけど僕が作ったロボットで怒られたんです」

「あぁあったね、アレは中々凄い物だったよ」

「アレより安く作れて、技術流用なので量も作れるようになると思うんです。それって大丈夫なんですか?軍事利用とか、それこそ不老不死の研究とか怖い事出来ちゃいそうですけど」

「確かに、そうかもしれないね。晴明の頼みだったから深く考えていなかったよ、考えるのは息子で良いかと思ってたし」

「上皇陛下…怒られるの僕なんですよ、許してください」

「ごめんね、でもそうだねどうしようね」


僕の技術から不死の軍団出来るとか嫌だよ、軍事がメインになるために作ったんじゃないんだよ

妹を、翡翠を撫でまわすために作っただけなんだよ


「大丈夫だと私は思うね、だって霊体化の術なんて私しかできないし。誰にも伝える気ないからね」

「でも脳だけ移植とかしたら、不老不死とはいかなくても随分長く生きれると思います」

「それも無理だね、魔力っていうのは体に宿るんだよ。よく言うだろ心技体って全部そろわないと雲散霧消する、魔力で動く器に脳だけ入れてもすぐに死ぬだろうね」

「でもでも、そのうち何とかなるようになるんじゃないですか?」

「それはそのうち何とかなるだろう、でもそれは何百年も先だよ。そんな先の事なんて知ったこっちゃないよ、まぁ私は存在してるだろうけどね」


ふははって笑う安倍晴明…なんだこいつ


「四神いいか落ち着いて聞けよ」

「なに甘木君」

「安倍晴明と四神はよく似てるぞ。おい、嘘だって顔して驚くな!四神が感じてるのは同族嫌悪とかそんなのだ、四神も突拍子もないことするじゃないか。俺たちはいつもこんな風になってるんだぞ」

「え、なんかその…本当にごめん」


僕はよくお母さんから変なことするんじゃないって怒られてる

でもね、僕としては変なことしてるつもりなかったんだよ

目の前の安倍晴明と僕が同じレベルだって言われて、再認識したよ僕ってやばい奴だね

やっぱり泣こう、泣いて楽になろう


「駄犬!!あんたのせいで瑠璃が泣いたじゃない、自決しなさい」

「お、俺のせいか!?」

「こらこらそんなこと言っちゃダメだよ、私の家が汚れちゃうだろう」


さっすが陛下!奈央も甘木君もひきつった顔してるね

上皇ジョークは反応に困るね!


「さて、技術的な話を吟味するのに時間がかかるし今日は泊っていきなさい」


わぁぃ御所にお泊りだぁ心労がマッハだね

瑠璃の極上笑顔

普段家でご飯を食べているときや、妹達と遊んでいるときに出る笑顔は見慣れていないと時を止めるほどの破壊力がある。

侍従の人たちも普段はそこまで表情を変えないが、今回の瑠璃の笑顔には動揺を隠せなかった。

奈央は必死に隠そうとしてたが、世に出てしまった

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