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1話　ゾンビ来る

【※ホラーではありません。】

虚ろな目に、腐臭かぐわしい体。

力無く開いた口は、ただ濁音おびただしいうなり声をあげているだけだ。

皆さんもうお気づきだろうが、ゾンビだ。

昔から、映画やゲームの悪役やモブとして大活躍のゾンビ。

人間を襲い、主人公に殺される宿命のゾンビ。

もはやエンターテイメント界をしょって立つゾンビ。

ゾンビが居なきゃ始まらないと言われるほどのゾンビ。

そうこの物語の主人公は、ゾンビなのである！

「あ"ぁ"～～～～あ"～～」

血やよくわからん液体がしたたる腕をスーツに押し込めて、彼女は(あ、このゾンビはメスです。違う"女性"です)……この人間とゾンビが共存する街で１番高い『ゾンビタワー』と呼ばれるビルの前へと来ていた。

この街は、ゾンビにも人権が与えられている世界で唯一の街だ。

ゾンビだって生きていく(？)ために働かなくてはいけない。

ある者は映画のエキストラ、ある者はゲームのエキストラ、ある者は漫画の作画モデル。

それぞれに個性を生かした(？)仕事をしているのだ。

そしてこの『ゾンビタワー』もそんなゾンビの働く会社の１つなのであった。