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04_勇者M、息子に悩む

やあ。勇者Mだ。


さて、今回はいきなりだが空旅だ。


つい先ほど  平和的説得  で魔王城まで一気に行けるツテができてだな。

ツテである魔王軍幹部その2と共にでっかいドラゴンの背に乗って空の旅を満喫中だ。



「ワシが現役勇者だった頃はこんな手段思いつかなんだわ・・・やりよるな勇者Mさんや」



いえいえ先輩である勇者Qさんの時代があったからこそ今の勇者がいるのですよ。

いやぁ勇者は偉大だな!幹部その2よ!



「ハッ!その通りであります!」



うむ。その従順さ良し。

転職の際は是非とも私が治めている大陸へと行ってみるが良い。

基本給プラス能力に応じて特別手当。食事運動福利厚生にもしっかり配慮した職場と優しい魔物達がキミを待っているぞ。



「勇者Mさんや、今何か言ったかの?」



いえ何も。風の音じゃないですかね?





・・・で、何事もなく魔王城へとたどり着いたわけなのだが。


確かに雰囲気はいかにもな感じの禍々しくも高貴さがある廊下で良いのだがね?


魔王城と言えば長く険しい道のりであり、旅の最後の難関となるであろう重要な場所だと思うのだがね?


何故にここの魔王城はただひたすらに長ーいだけの一本道なのだ?


しかも敵の1匹も出てこないまま最深部までアッサリたどり着いちゃったぞ?



「ウチの魔王様は偉大なお方でありますが、方向オンチのため魔王城はシンプルイズベストにしたのであります。

ただ長いだけの一本道で勇者が来るまで待つだけの環境は働き甲斐が無くモンスター業界一二を争う不人気職場でありまして、

私も人間の出入りが激しいダンジョンの中ボス勤務を希望しておりましたが、ジャンケンで負けて幹部になってしまったであります」


「おお奇遇ですな幹部その2さんや。

ワシも昔ジャンケンで負けたせいでドラゴンから姫さんを救い出す旅に出されてしもて、トントン拍子で勇者にされてしまってのぉ」



・・・この大陸では嫌な仕事はジャンケンで決めるのがデフォなの?

でも今は足腰が心配なQさんがいるからむしろ有難いし、先に進ませてもらいましょうか。



すみません勇者Mと申しますが魔王さん御在宅でしょうかー?

・・・って、人間のオッサンしかいないですね。お手洗いですかね?



「・・・俺が魔王だ」



いやいやどう見てもアナタ魔王とか魔物とかの前に人間じゃないですか。



「ぐぬ・・・そっちだって大きさからして人間ではないだろう!?」



私は確かに人間ではないですが勇者斡旋協会公認の勇者ですから。一緒にしないでもらいたいね。フン。



「勇者Mどの、彼がまぎれも無く魔王でありますよ?ウチの魔王様は人間なんであります」


「それにしれっと勇者と行動を共にしているそいつ、俺の部下だよな?」



幹部その2さんには道案内をしていただいただけなのでお気になさらず。


そしてそういう事なら自称魔王のオッサンにお聞きします。

こちらにいらっしゃるごQさんは息子さんを探していまして、どこにいるかご存知ですか?



「ふん。魔王であるこの俺が人間なんぞの事をいちいち覚えておけるわけが・・・・・・・・・ん?

待てそこのジジイ、名前をQと言うのか?」



はい。この老人こそ偉大なる先輩勇者のQさんです。



「・・・Mさんや、魔王はどこに居るんですかいの?」



ほらココにいますよココ。老眼でさらに近眼とか冒険以前に日常生活に支障出るレベルじゃないですかもう。

えーとそれで魔王さん、Qさんがどうかしましたか?息子さんに心当たりありますか?



「・・・お」



お?



「お・・・親父?なんで親父がこんな所に・・・!?」


「・・・ほえ?」



・・・おやじ?



い・・・いやいや待って。説明して自称魔王・・・いや、Qジュニア?

ついでに肝心のQさんは耳が遠いので大きな声で!



「ぐっ・・・・・・ならここまでたどり着いた褒美として聞かせてやる!

俺は勇者になりたくて色々とやらかした結果、なんやかんやで  魔王になった人間  なんだ!!」



え?



「勇者の息子だし将来はやっぱり勇者よね~・・・とか言われ続けて数十年。この大陸は魔王どころか大きな騒動の1つも起きやしない平和そのものだった。

だからもう少し物騒な世の中になるようにモンスターを召喚したり変装して村を襲ったり・・・とにかく色々とやらかしまくった結果、モンスターに尊敬されて人間ながら魔王に祀り上げられてしまったんだ!!」



へ・・・へぇ。



「そして私が本来なる予定だった勇者のポジションに収まっている勇者M!この理不尽な現状をどう思う!?

ちなみに俺は勇者に選ばれた貴様のことが羨ましくてしょうがない上に、勇者どころか魔王になってしまった事が親父にバレて恥ずかしくてしょうがないんだが!!?」



何と言うか・・・似たような似てないような事例がものすごい身近に・・・?


で、でもとりあえず今は息子探しを30年も続けていた父親のことを考えてあげてくださいよ。

せっかく30年ぶりに再会できたんですから、ね?



「うっ・・・・・・お、親父・・・?俺は・・・俺は・・・!」


「・・・ぐぅ・・・」


「魔王様の正体の件を聞く前に寝てしまっていたであります!」





・・・。



・・・流石、肝が据わっていらっしゃる・・・!!

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