03_勇者M、老人に悩む
毎度お馴染みの勇者Mだ。
実はこの度、町の酒場で完璧に希望通りの仲間を紹介してもらってな。
今回からもう寂しい一人旅ではなくなったのだよ。
ほらほらこっち来て自己紹介してくださいよ!
「・・・ほえ?」
じ こ しょー かい を! し て く だ さい!!
「・・・ああ、ハイハイ。ワシこそ旧勇者、今は勇者を引退した冒険者Qと申しますじゃ」
・・・ちゃんと聞いたかね?
なんと 本物の勇者 だったお方なのだ!
さらにななんと!この前手に入れた勇者の聖剣の元々の持ち主なのだよ!!!
「年齢は82歳ですじゃ」
・・・既にとっくの昔に剣を封印して勇者を引退して、棺桶に両足突っ込んでるお年だがな。
数十年早く出会いたかった。ぐすん。
まぁアレだ。挨拶も済んだことだし魔王討伐の旅を続けましょうかQさん!!
「了解ですじゃ!ではこちらの方向に・・・ってぐはぁ!?背中に衝撃が!!
気をつけなされ勇者Mさんや!背後から敵じゃ!!」
ああもう奇襲じゃなくてただのギックリ腰でしょソレ。しかもそっちは来た道です。
ほら湿布貼るから背中出してくださいね。
「す、すまんのう・・・じゃがワシ、息子を見つけるまで引退するわけにもいかなくての」
・・・え?息子さんがどうかしたんですか?
「実はワシの息子、30年ほど前の魔王登場と同時期に行方不明になってしまっての。
早くに妻を亡くしたワシにとって唯一の家族じゃし、年齢を理由に諦めるわけにも・・・・・・うう、目にゴミが・・・!」
・・・・・・・・・グスッ・・・おのれ魔王め!!
大丈夫ですよQさん!この勇者Mがパパっと魔王を倒して息子さんの行方を吐かせてみせますから!!
・・・って、おぉ?
「ふははは寝言は寝て言え人間!!お前らなど魔王軍幹部その2の私が刀の錆にしt
勇者風魔王デコピン!
「ぐふ!?」
何とも丁度良い所に来てくれたな幹部その2とやら!
早速で悪いが、Qさんの寿命がアレなのでこの大陸の魔王城がある所まで案内してくれないだろうか?
案内してくれるであろう?
しないと今度は勇者風パンチしちゃうぞ?
案内してくれるよな?
な?
「・・・すすすする!案内させていただきます!
というか何なの威圧的な話し方と人間にあるまじきデカさ!?
それに勇者風 魔 王 とか言わなかった!!?」
・・・。
今は、勇者Mなのだ。