02_勇者M、仲間に悩む
やぁ、勇者Mだ。
先日とある村で岩に刺さっていた勇者の聖剣を手に入れて、なんか正式な勇者になった。
・・・私は装備しないぞ?
魔族の私に聖剣が扱えるわけないだろうし、そもそも小さすぎてサイズが合わん。
システム的に店にも売れないし捨てることもできないから、正直言って荷物でしかない剣なのだよ。
剣を岩から引き抜くのではなく岩を粉砕して剣を入手してしまって本物の勇者の方には悪いことしちゃったが、
ともかく要はこの大陸の魔王さえ倒すことができればそれで良いのだよ。
地図によるとこのまま南に進めば仲間を募れる港町があるらしいから、まずはそちらに行ってみようと思う。
・・・あ。別に戦闘とかは一人でも問題無いんだぞ?
自分で言うのもアレだが私かなり強いし、魔王討伐は正直一人で余裕だと思う。
ただ長年仲間に囲まれた生活をしていたせいかボッチが寂しくてな。
そんなわけでまだ見ぬ仲間との出会いは胸が鳴るな!善は急げだぞ私!!
ズシンッ ズシンッ ズシンッ ズシンッ
「な・・・なんだこの地響きは!?
ついに予言者の言った通りこの町に魔王がやってきたのか!!?」
・・・いかん町の住人を驚かせてしまった。
しかも予言当たっているぞ預言者。
えーっと、驚かせてしまって申し訳ありませんね。
私は勇者Mと言いまして、旅の仲間を探すためにこの町にやってきたのですよ。
「あー・・・そういえば勇者斡旋協会の方でデカい勇者がどうとか聞いた覚えが・・・?
しかしいくら勇者でも住民が驚かせないように、歩行はできるかぎり静かにお願いする」
・・・注意されちゃった。
さて気を取り直して酒場は・・・ってすぐそこにあるじゃないか。
すみませーん!
「はいはい、ここは旅の冒険者を仲介するムリーダの酒場です。
さて、本日はどのようなお仲間をお探しですか?
ゲ○ゲ○、ボ○ンゴ、○ックル、チ○ル、他にも沢山の旅の仲間を紹介できますよ!」
なんと素晴らしい!
まずは譲れない第一希望、意思疎通が可能な方をお願いします!
「それならほぼ全員可能ですね」
それは素晴らしい。
それではこだわりの第二希望、旅や戦闘に慣れた方が良いです。
「基本的にそういう目的の方しかいませんから、それも全員ですね」
むむむ・・・優秀な人材が多すぎるのも困りものだな。
ならばあわよくばで考えていた第三希望、一緒に魔王討伐に行ってくれる方を!
「皆さんそれが目的なので・・・全員です」
・・・・・・。
どうしよう・・・決められん。