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01_勇者M、聖剣に悩む

こうして話すのは久しぶりだな。


私は勇者M。

訳あって勇者の着ぐるみを着て魔王討伐ため旅をしている元村人Mであり、その前は別の大陸で魔王業を営んでいた者だ。


・・・いやね。最初は勇者来なさすぎのストレスで家出というか魔王城出しただけなのだがね。

偶然たどり着いた村で村人として暮らしてみたら何気に居心地が良くてね。

さらに色々あった結果勇者に指名されてしまったものだから、すっかり魔王城に帰るタイミングを逃してしまったのだ。



「なぁアンタ」



私の部下は優秀だしぶっちゃけ10年20年放っておいても大丈夫だとは思うのだけども、

しかし部下に心配かけるのも上司としてアレだし、パパッと勇者の使命を終わらせて・・・



「おい、聞いてるか?」



ん?何者だ・・・ゴホンいやどなたでしょうか。というかどこにいらっしゃるので?



「ここだよここ」



・・・あ。足元にいた。

すみませんね。私背が高い上に着ているものの関係で視界最悪で、いつも人間が近くにいるのに気付くのが遅くなってしまうんですよ。



「視界最悪?・・・まぁ良いや。アンタその格好、大きさはアレだが勇者じゃないかい?」



よくお判りで。

そうです。私こそ勇者斡旋協会会長から直々に指名を受けた勇者Mです。



「実は俺の村には勇者の聖剣が刺さった岩があってだな?剣の引き抜きに挑戦できるイベントを開催中なんだ」



なんですと?



「ちなみに温泉つきの宿もついて驚きの198ゴールド!しかも今なら剣を引き抜いたらお祝いケーキの無料サービス中!!」



お安い!買った!!



「まいど!ではこちらにどうぞ!」



いやぁ、○百年も魔王やっていたのに結局一度も勇者の一人も来なかったし、こんな形で勇者の武器を見られる機会が来るなんて、なんだか緊張してしまうなぁ。


・・・お?



「さあ、次の挑戦者はかの有名な薬草農家の出身であり、今までにスラ○ムを100匹討伐した男・・・勇者Y!!」


「ぬおおおおおお!!・・・・・・・・・何故だ!何故抜けない!!」


「次の挑戦者はかつての勇者の同級生の孫でありドラ○ーを一撃で仕留める実力を有した・・・勇者D!!」


「せやぁぁぁぁ!!ちくしょうびくともしない!」



おお勇者の剣すごくカッコイイ・・・・・・というか勇者多くないですかね?



「そりゃあ今はどこかの村のお陰で勇者ブームだから、勇者を名乗りたがる人だって多くなるよ。

だから真の勇者にしか抜けない剣が刺さってる岩しか見どころが無いこの村も前代未聞の大繁盛になったんだ」



ほう・・・やはり勇者斡旋協会は偉大だ。後で私のポケットマニーから支援金を出しておこう。



・・・いや、でもちょっと待てよ?



考えてみたら私は休業中とはいえ魔王。魔の王様に属性正反対の聖の剣が抜けるはずもない訳で。

しかし勇者斡旋協会会長から直々の指名を受けた身としてはここで剣を抜けないと勇者斡旋協会の威信に関わる訳で・・・?



・・・どうすれば良いのだ、これは。



「さぁ最後の挑戦者は何を隠そう、あの勇者斡旋協会お墨付きの巨大な勇者・・・!」



あ、やっぱちょっと待ってくだs



「勇者Mぅぅぅーーーーーーーーーー!!」



待てと言うのに!!



「さあ、真の勇者である証明をするその時です!さあ剣に手を!さあさあ!」



いや待って、だから私は肩書だけ勇者のキングオブモンスターで・・・ってこら引っ張るでない!

ただでさえ着ぐるみで視界最悪なのにこんな石だらけの足場最悪な場所でそんなに急かされると・・・うおっ



ドゴォーン!



ぬぬぬ・・・全く、コケた拍子に頭で岩を砕いてしまったではないか!

岩はともかくこの勇者の聖剣に頭が当たっていたら私だって流石に痛いぞ!?



「あ、すみません大丈夫ですかっ・・・って・・・その剣は!」



そう、この剣は・・・・・・・・・ん?



・・・この剣?





「皆さん、今ここに勇者の剣に選ばれた真の勇者が誕生しました!!

その者の名は、勇者Mーーー!!」


「おおーーーーーー!!」





・・・岩砕いただけなんだが!!?

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