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大切な気持ち

作者: こじー

「みなさーーん!こんにちわーー!!みんなのアイドル大空潤ちゃんでーーす!!」


私の名前は大空潤。今話題の美少女アイドルです!

中学生です!好きな食べ物はプリンタルトで、好きな事は踊ること!苦手な物はネズミ!でも、トムとジェリーのジェリーみたいな可愛いネズミは大好き!

……と、これが私がテレビの前で言っていた挨拶です。いつもはアイドルらしく、可愛く見せる為に好きな物に嘘をついていました。

私は好きな食べ物はプリンタルトじゃなくて、りんごです。りんごの中でも、青りんごが好きです。

私は長野県生まれ出身で、青りんごの特産地でもあります。青りんごは子供の頃から食べていて、あの酸っぱさが私にはたまりません。

好きな事は踊る事じゃなくて、神話の本を読むことです。神話の中で1番好きなのが、「金剛夜叉明王」です!金剛夜叉明王は古代インドの神話に登場して、最初は人を襲っていたのですが、善に目覚めて仏教の守護神の五大明王の1人にもなれたんです!手も6本あって……はっ!!すみません!つい喋ってしまいました。

話したとおり神話が好きなんですが、女子中学生が堂々と「神話が好きです!!」と言える訳もなく、こうやって嘘をついてきました。

テレビに出る人、そうじゃない人、人なら誰もがつく嘘。嘘をつき続けたある日、後悔をしました。


——これは、嘘をつき続けて後悔をした私、大空潤のお話です。


私がアイドルとしてテレビに出て活動して1年がたった頃です。私がバラエティ番組に出始めて、食べ物や好きな事だけで無く、「社交辞令」というものをするようになりました。

社交辞令とは、誘われた時に「時間がありましたらー」という風に、行かないけどその場を切り抜ける為に使ったり、相手を褒めたりする言葉です。

私は嘘が1番嫌いです。お父さんとお母さんに嘘はつかないようにと育てられてきましたし、私も嘘は良くないと思います。でも、社会に出たらそれは必要なのだと教えられました。確かに、あの頃から数年たった今は社交辞令は必要な事だと思います。

しかし、中学生で純粋だった私は社交辞令をする事自体嘘ついてるかのようで私は気分が悪かったです。いくら嫌な事だって何回もしていけば慣れていきました。

そして私は平気で嘘をつけるような人になりました。思っても無いことを言うようになり、お母さんとお父さんが言っていた事はいつの間にか守れなくなっていました。それは、学校でもそんな風になってしまいました。


「ねぇねぇ、潤ちゃんこの日空いてる?一緒に出掛けない?」


「うん。時間があったら行くから」


「分かった!」


「はーい」


私はその日は仕事が入っていたのですが、アイドルになってから使っている社交辞令を使いました。私は小学校からの友達にすら、社交辞令を使うようになったのです。

それも、人が息をする事と同じように当たり前に。私はいつものように連絡をとることをしませんでした。これが社会ではあたりまえだから。そのやり取りが何回も続き、いつの間にか友達からは連絡が来る事は無くなりました。そしてついには


「おはよ!」


「……」


「え?あれ?ちょっと!」


私の方をちらっと見て、無視するようになりました。私はこの時ようやく気付いたのです。私が何をしたのか。私が友達にどんな態度を取っていたのか。中学生と社会人は違う。中学生はアイドル活動して関わって来た人達と違って純粋なのだと、嘘で固められた言葉を使わないのだと知りました。

しかしそれを知ったのは、友達と距離を置くようになってからでした。私はこの時後悔をしました。

何故もっと正直にいきなかったのか。社交辞令が嘘みたいで嫌いだった私はどこにいったのか。私は自分に怒りを感じると共に、情けなさを感じました。

私は情けない自分に涙を流しながら、自分の気持ちを紙に書きました。この気持ちを忘れないように。

私はこの気持ちを伝えるために、友達に言いました。


「あなたに伝えたい事があるから、今日放課後に今日室にいて欲しいの」


「なんで?潤ちゃんは私との約束を無視したのに私は潤ちゃんの話を聞かないといけないの?虫が良いとは思わないの?」


その声は冷たく、私の心を突き刺しました。本当にその通りだ。私は友達の気持ちを考えないで発言をしていた。今まで無視してきたのだから、話すことすら許されるはずもないのに……。


「私もそう思う。こうやって話してくれてる事自体本当にありがたいと思っている、今更私の気持ちを聞いてどうにかならないとも思う。けど、私の気持ちを聞いて欲しいの。本当に思った私の本音を聞いて欲しいの……!!」


「分かった。でも、その気持ちを聞いた所で私の気持ちは変わらないかもよ」


「うん……。ありがとう。じゃあ放課後」


——放課後。


「で?潤ちゃんの本音って?」


「うん。歌にしてきたの。聞いてくれる?」


「歌!?」


友達は心の底からびっくりしたような反応をしました。私は友達のこんな顔を久しぶりに見て、嬉しくなりました。この時改めて思いました。


この子とまた友達の関係になりたい。遊びたい。前みたいに一緒に笑って、喜んで、泣く。そんな関係に戻りたい。そう思いました。だから私は前で歌います。私の本当の気持ちが届くように


「今のこの気持ちを素直に歌にしました。聞いてください」


嘘じゃない 本当の気持ち 迷わないで伝えようって

思っても 言葉でない このもどかしい気持ち

伝えたいよ でも伝えきれなかったな

後悔しちゃうだけだよね

だから 伝えたいその気持ちは 心に留めずに

真っ直ぐに 正直に

言いたいよ大好き

目に見えないこの気持ちは 宝物で

いつだって思ってます


「ずっと言えなかった。無視されるようになってからやっと気付いたの……。自分に嘘ついて、人に嘘ついて、その場を何とかするんじゃなくて自分の本当の気持ちを伝えることが大切なんだって……。だから、大好きだよ!」


私はそう言って涙を流しました。やっと伝えられた。この気持ちを。嘘じゃない本当の気持ちを。そして私は私は、気持ちを伝えることの大切さを知りました。


「うん……。潤ちゃん!私も潤ちゃんの事好きだよ!」


こうして、正直に気持ちを伝える事ができた私達は仲直りをする事が出来ました。


END

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この話を書いて、本当に大切なのは自分の気持ちをちゃんと伝える事が大切だと言うことを改めて作者自信が気が付きました。読んでくださった方々も同じ気持ちになってくだされば幸いです。

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