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208.合流挟撃

 ◇◇◇◇◇


「ハツカのやつ、無茶苦茶だな」


 コウヤは、空中で大荒鷲(ウィングラプター)に仕掛けたハツカの攻撃に(あき)れる。


 ハツカが、大荒鷲(ウィングラプター)の背後を取り、必殺を()して放った頴転突貫(スパイラルレイド)

 その技は、魔鳥に多大なダメージを叩き込み、その意識を断つ。

 これにより、噛砕巨人(ギガントゥース)へ仕掛けていたサントスへの攻撃が防がれる。


 そのサントスは現在(いま)、ハルナと仕掛けた空間跳車(メテオキャリッジ)を敢行していた。

 対して標的とされた噛砕巨人(ギガントゥース)は、その攻撃を払い除ける為に剛腕を振るう。

 しかし、その反撃がサントスに命中する事は無かった。


 なぜならサントスが仕掛ける直前にコウヤが放った星弾(スターシェル)が、巨人の視界を奪っていた。

 巨人の記憶にあるサントスの位置に見当(けんとう)を付けて振るわれた剛腕。

 だが、そこにはハルナの合流(マージ)によって生じた加速が計算に含まれていない。

 巨人が振るった剛腕は、サントスの現在地と、かなり掛け離れた位置を通過する。

 その刹那(せつな)噛砕巨人(ギガントゥース)の腹部に衝撃が響いた。


 霊体馬(スピリットホース)の加護によって強化された古馬車の激突で、巨人の巨体が揺れる。

 そして、その巨人に更なる追撃が叩き込まれていった。


「ハルナ!」

「オーケー、まーくん!」『合流(マージ)


 マサトの呼び掛けにハルナが(こた)える。

 それは、巨人を空中と地上で挟み込んだサントスとハルナが見せた連携技と同じ体勢。

 地上で、巨人を挟んだ直線上の二点から、今度はマサトとハルナが仕掛ける。


 マサトが宝刀を構え、合流(マージ)の引力で加速し、噛砕巨人(ギガントゥース)の脚を貫く。

 対してハルナは、次の魔法の形成の為に周囲に用意していた水球を集束させる。

 そして──


武零駆(ブレイク)

流水圧砲(ハイドロプレッシャー)


 マサトは、突き刺した宝刀から、貯め込んだ六弾分の刃路軌(ハジキ)の力を一斉開放する。

 ハルナは、高圧を掛けた流水(ストリーム)を高速で撃ち込む。


 合流(マージ)によって、二人が同一線上で向かい合う事を利用した挟撃。

 それはサントスとハルナが繰り出した『空間跳車(メテオキャリッジ)』の原型となる技であった。


 マサトの内部破壊と、ハルナの外部破壊。

 共に、持ち得る最大の技を叩き込む二人の連携技。

 この連携技は、空間跳車(メテオキャリッジ)のように、一方行からの攻撃ではない。

 二人が互いに向き合って、敵を挟み込んで仕掛ける事で最大の威力を発揮させる技。

 そのような目的で生み出された技である為、それに(ともな)危険(リスク)も内包している。

 それが、技に入ってしまうと互いに身動きに制限が掛かる、と言う点。


 ハルナの合流(マージ)によって、マサトは敵への接近に加速を得る。

 だが、その対価として、その間の軌道修正が、ほぼ効かなくなる。

 その為、敵に動きを察知された場合、反撃(カウンター)で大ダメージを負う危険(リスク)(ともな)う。


 また、高威力の攻撃を求めたがゆえの挟撃状態が、最大の問題点ともなる。

 この連携技の仕様上、二人は必ず敵を挟んで同一線上に位置する。

 それは、身動きが制限される技を回避されると、同士討ち(フレンドリーファイア)が起きる危険(リスク)を意味する。


 そこまでの危険(リスク)を追っても、必要とされた技。

 二人の阿吽(あうん)の呼吸と、信頼関係が無ければ、到底成し得ない技。


 この場で、その場面を唯一目撃していたサントス。

 それゆえに、二人が仕掛ける前に、その動きを察知して空間跳車(メテオキャリッジ)を敢行した。

 それは、巨人の気を引き、マサト達が仕掛ける起点と危険(リスク)を軽減する為のものだった。


 そして現在(いま)、マサト達が噛砕巨人(ギガントゥース)の右足を粉砕する。

 それこそが、マサトとハルナの最大の連携技『合流挟撃(マージストライク)』であった。

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