表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大嫌いな少女の恋  作者: くるとん
7/7

Hへの『憧れ』6

季節は過ぎ去り、少女は中学3年生の冬を迎えた。


冬休みが明けて、高校受験への準備が本格化して3年生のフロアはピリピリしていた時である。

隣のクラスの子からとある話が回ってきた。

それは、…Hが結婚したという話であった。


冬休み明けの最初の授業の時、Hはたくさんの生徒から質問責めとなった。

いつから付き合っていたのか、相手はどんな人なのか、出会いは、プロポーズの言葉は…。挙げたらきりがなくなるほどである。

少女は静かにその光景を眺めていた。たくさんの質問にまんざらでも無いような顔で答えるH。一つ一つの回答にニヤニヤするクラスメイト。


こんな時に体調を崩せればどんなに良かったことか。少女はずっと思っていた。



そんな状況でも時間は進んでいくわけで、バレンタインが来てしまった。

本当はこのバレンタインで、少女は告白する気だった。けれども、Hは結婚してしまった。

それでも、少女は気持ちを伝えたかった。


バレンタインの当日、手作りのお菓子のラッピングの中に小さなメッセージカードを添えてHに渡した。あくまで、「日頃お世話になっているので感謝の気持ちです。」と。

添えたメッセージカードにはシンプルに『好きでした。幸せになってください。』と書いて。

そのメッセージカードにHが気づいたかどうかはわからない。添えたけれども、気づいて欲しくないという思いが少女にはあったわけで、ラッピングの箱の底を二重にして隠していた。箱を分解して、その時に気付けるかどうかである。



少女は中学校を卒業した。

その後、高校受験を無事合格し、書類を受け取りに中学校へ行った。その時、担任の先生から書類の入った封筒と一緒に小さな箱を手渡された。

少女は担任にこの箱が何か問うと、Hから渡すように頼まれたとのことだった。

すぐさま少女は担任にこの時間Hが授業を受け持っていたか確認をした。すると、無かった。

ということは職員室で仕事をしている可能性が高い。今行ったら会えるかもしれない。

少女は階段を駆け上って職員室のある2階へ向かった。しかし、職員室を除いてもHの姿はない。

もしかしたら、社会科準備室かもしれない。滅多に行くことはないような気はするが、可能性のあるところは見ておきたい。

色々な可能性を考えてHを探したが見つからなかった。


少女は最後の最後でHに会えずじまいとなった。

少し泣きそうになりながら、少女は自分の部屋でHからの箱を開く。クッキーやチョコレートの詰め合わせのようである。

少女はチョコレートを一粒とって口の中に入れる。口の中でチョコレートの甘さがじんわりと広がってとても美味しい。…けれども、少しだけ、ほんの少しだけチョコレートはしょっぱかった。

これでH先生への恋愛感情?に関するお話は終わりとなります。次からは別の方。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ