Hへの『憧れ』3
…せっかく一ヶ月耐えたのに!
少女は嘆く。己のくじ運の悪さに。
その日は、2年生に上がってから初の席替えが行われた。
少女はようやくこの居心地の悪い席から解放されると喜び、嬉々としながらくじを引いた。
小さく折りたたまれた紙に書かれた数字を見て、黒板で新しい自分の座席を確認する。
…見間違いだろうか、場所が同じような気がする。
クラスメイト全員がくじを引き終え、担任の先生の指示のもと机を移動させる。
このまま移動しないでいたら、誰かが「そこ、私の席だよ。笑」とか言ってくれるのではないかと期待して待っていた。…しかし、見間違いではなく、少女の席は変わらなかった。
その後の授業で、他の教科担当の先生方にからかわれた。その中には当然Hもいた。
悔しいけれども、くじ運がないことは事実であるため認めるしかなかった。
けれども、二ヶ月も同じ席でHのことを観察していて、噂は基本的に当てはまっている(Tバックは卒業してもなお確認が取れずにいる。)が、それだけでないことに気がつくようになった。
1.授業が圧倒的にわかりやすいこと
2.生徒に親しまれていること
3.不満を言いながらもフォローが手厚いこと
あとは、無駄に髪サラッサラなこととか、オネエ口調が一生懸命説明すればするほど余計出てくるといったことがわかった。
二ヶ月を通して、少女のHに対しての思いは仕事に真摯に打ち込む人という印象に変わった。