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「まったく、してやられちまったって感じだね!」
気づけば、生徒たちはもう依頼をこなすために外へ行き、残っていたのは数人だけだった。
「チッ、この学園に入れば楽ができると思ったのによー・・・・お前のせいでくそつまんねぇ学園生活になりそうだ」
「とんでもないな!僕には関係ない!」
色々と難癖をつける豪打も、チッと舌打ちをしながら扉を開けて外へ向かう。
「不良のくせにちゃんと依頼をこなしにいくなんて真面目だな!ちゃんと不良しろよ!」
そう出ていった豪打に、偶然も変な難癖をつけながら貰った書類を確認する。
そこに書かれていたのは、『少女の護衛』――――内容は、少女の言うことに従い、目的地まで不満なく運べとのことだ。
「不満なく?とんでもない我がままだ!」
さらに書類に目を通していく。
『この獅子神学園の学園長の友人に、陸連というものがいる。その陸連の娘、陸連 楓の護衛をしてもらいたい。場所は四国・・・・そこから少し離れた離島だ。期間は1週間。その離島からこの獅子神学園までの護衛が君の依頼だ。能力と道具を駆使し、安全にその少女を連れてきてくれたまえ。なお、それまでの犠牲は君を含め、学園が処理するため安心したまえ。なお、費用はこちらで負担する。もし問題があった場合はこの番号にまでかけてくれ(×××ー○○○○-△△△△) 以上、健闘を祈る。 (担当 輪)』
そこまで読みきり、偶然は「はぁ」とため息を吐く。
「面倒くさい!第一、能力も道具も持っていない僕がどうしてこんなことしなければいけないんだ!いい加減にしろ!」
そう言いながら、偶然は書類をぐしゃぐしゃにして窓に放り投げる。
偶然たまたま開いていた窓から紙は落ちていき、そのままゴミ箱の中へと吸い込まれていく。
「――――仕方ないなぁ、いくとするか」
偶然は文句をいいたげな顔をしながら、そのまま扉に手をかけて――――、
「何より、今日の僕はツイているからね!」
勢いよく扉をあけると、外へと向かった。
後ろにいる――――1つの視線にも気づかずに――――。