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朝の陽射しが強いころに、始まりのチャイムが鳴る。
「皆様、おはようございます」
教卓の前に立ち、席に着いた皆に挨拶するのは恵。
その恵の話を聞くために、教室の中は必要以上に静かになっていた。
「皆様、能力と貰った道具の使いには慣れてきましたか?皆様の練習風景、しっかりと観察させてもらいましたよ」
恵のその言葉に、生徒たちはざわつき始める。
しかし、そのざわつきを恵は「静かに」と一蹴する。
「安心してください、確かに観察させていただきましたが、部屋の中などのプライベート的な部分には触れていませんので」
恵のその発言に、ホッとした安堵の声を漏らすものもいれば、不服そうに顔をしかめる者もいた。
「――――と、そのことはさておき・・・・皆様には早速授業――――もとい、実験の被検体になってもらいます。昨日も申し上げたと思いますが・・・・皆様にはこれから、依頼をこなしていただきます」
そういうと、恵は後ろの電光掲示板をリモコンでいじり始める。
すると、そこに書類らしきものといくつかの画像が表示された。
「分かりやすいように、前年の例をいくつかデータとして持ち出してきました。『くたびれた廃墟にでる亡霊退治』、『畑をあらす猛獣の退治』――――そのほかにもいろいろ・・・・皆様にも、このような依頼をこなしてもらい、能力の力をみさせていただきます」
恵がそう言い終わった瞬間、一斉にクラスの中のタブレットに電源が入り、ピロンと通知音が鳴る。
「皆様の端末に依頼の内容を送らせていただきました。これも以前説明しましたが、クリアすることで功績点も貰えます――――ぜひ、頑張ってくださいね」
ざわざわと騒ぐ声を、次はそのままにして、恵は「後は自由だ」と言わんばかりにそう言う。
「今回の授業は以上――――依頼をこなしてきてください!解散!」
「――――っと、格好つけてるところ悪いんだけどさ!僕ってほら!機械音――――」
「もちろん、必偶様には用紙を準備させていただいてますよ」
席を立ちあがり、勢いよくいう偶然に――――恵は、冷静に対処する。
「――――――」
「では――――頑張ってくださいね」
書類を手に持ったまま固まっている偶然に、恵は「してやったり」と、ニコリと笑って後ろを向く。
そしてそのまま教室を出ると――――、
「~~~~~~!」
言葉を噛み締めながら、小さくガッツポーズをした。