表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/16

13

 朝の陽射しが強いころに、始まりのチャイムが鳴る。


「皆様、おはようございます」


 教卓の前に立ち、席に着いた皆に挨拶するのは恵。

 その恵の話を聞くために、教室の中は必要以上に静かになっていた。


「皆様、能力(スキル)と貰った道具(アイテム)の使いには慣れてきましたか?皆様の練習風景、しっかりと観察させてもらいましたよ」


 恵のその言葉に、生徒たちはざわつき始める。

 しかし、そのざわつきを恵は「静かに」と一蹴する。


「安心してください、確かに観察させていただきましたが、部屋の中などのプライベート的な部分には触れていませんので」


 恵のその発言に、ホッとした安堵の声を漏らすものもいれば、不服そうに顔をしかめる者もいた。


「――――と、そのことはさておき・・・・皆様には早速授業――――もとい、実験の被検体になってもらいます。昨日も申し上げたと思いますが・・・・皆様にはこれから、依頼(クエスト)をこなしていただきます」


 そういうと、恵は後ろの電光掲示板をリモコンでいじり始める。

 すると、そこに書類らしきものといくつかの画像が表示された。


「分かりやすいように、前年の例をいくつかデータとして持ち出してきました。『くたびれた廃墟にでる亡霊退治』、『畑をあらす猛獣の退治』――――そのほかにもいろいろ・・・・皆様にも、このような依頼(クエスト)をこなしてもらい、能力(スキル)の力をみさせていただきます」


 恵がそう言い終わった瞬間、一斉にクラスの中のタブレットに電源が入り、ピロンと通知音が鳴る。


「皆様の端末に依頼(クエスト)の内容を送らせていただきました。これも以前説明しましたが、クリアすることで功績点も貰えます――――ぜひ、頑張ってくださいね」


 ざわざわと騒ぐ声を、次はそのままにして、恵は「後は自由だ」と言わんばかりにそう言う。

 

「今回の授業は以上――――依頼(クエスト)をこなしてきてください!解散!」


「――――っと、格好つけてるところ悪いんだけどさ!僕ってほら!機械音――――」


「もちろん、必偶様には用紙を準備させていただいてますよ」


 席を立ちあがり、勢いよくいう偶然に――――恵は、冷静に対処する。


「――――――」


「では――――頑張ってくださいね」


 書類を手に持ったまま固まっている偶然に、恵は「してやったり」と、ニコリと笑って後ろを向く。

 そしてそのまま教室を出ると――――、


「~~~~~~!」


 言葉を噛み締めながら、小さくガッツポーズをした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ