表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/16

第10話

 日も沈み、電気の付けられることのないその部屋は、ただ暗がりになっていた。

 ――――その空間、静かなその部屋に、ガタンと・・・・扉の開けられる音がする。


「・・・・はぁ、やっとのことで部屋でくつろぐことができるよ・・・・」


 部屋の中に現れた1つの影は、近くにあった照明を点けるためのリモコンを手に取ると、天井に向かってボタンを押す。

 押された直後、部屋の中には光が満ちる。そこには、運び込まれた荷物が大量に積まれていた。

 1つの荷物に、その少年――――必偶 然は近づくと――――。


「もういいよ!適当くん!出ておいで!」


 その言葉に反応するように、積み上げられた荷物はガタガタと動き出す。

 そこから出てきたのは一匹の獣、狼とも犬ともいえる。鋭い爪と牙を持った、紅色の目をした獣だ。


「バウ!バウバウ!」


「おっと適当くん、あまり吠えすぎるとバレれてしまうぞ!そうなったら僕に関係ある話になってしまうから、気を付けてくれよ?」


「バウ・・・・」


 吠える適当に注意をすると、適当は反省するように顔を俯かせ、小さく返事をする。


「・・・・と、言っても――――ここの部屋は完全防音。どれだけ大きな音を出しても、聞こえないんだけどね!」


「バウ!?」


「まあまあ、そう怒るなよ――――それより適当くん、ちゃんといい子にしてたかい?人に危害を加えたりしてないよね?」


「・・・・・・」


「おいおい、勘弁してくれよ・・・・ま、君の飼い主が僕だとバレなければ、関係ないか!」


 何か後ろめたいことがあるように目を逸らす適当――――しかし、それを偶然は笑って許すことにする。


「さて――――僕はそろそろ眠ることにするよ、今日は早起きだったからね・・・・適当くん、ご飯は荷物の中に入っているから、勝手に探して食べてね?」


「バウ!」


「じゃ――――僕が寝ている3時間。あとはよろしくね・・・・」


 そう言うと、偶然はその場に横になる。

 すぐ隣にベッドが設置されていることにも気づかず、偶然は瞼を閉じ――――ゆっくりと寝静まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ