奥田 明子
奥田明子は、高校を卒業後、河合光行と同じく地元の群馬の国立大学に進学し、今は群馬の市役所に勤務していた。
奥田明子もやはりずる賢く、手堅い人生を歩んでいた。
奥田明子も智子にやったいじめは悪質で、智子と二人きりになる度に、
『ねぇ、智子、死のうよ、その方がみんなの為だよ。みんなの事も少しは考えよ。』
と、2年に渡り智子を精神的に追い詰めた。
『智子、みんな受験のストレスで刺激が欲しいのよ。智子が飛び降りてくれたらYouTubeに動画をアップしてあげるからさー。』
奥田明子はネチネチといつまでも智子を追い込み、智子はそれが引き金になって裏山へと足を運んだのだ。
香は案の定、智子を連れて群馬市役所に向かっていた。
智子はふと足を止め、香に話しかけた。
『香って、何でそんなに力があるの?』
香の凄さに嫌でも気づかされた智子は思い切って聞いた。
『え?何で?どうでも良くない?』
香がキョトンとしていた。
『だって香の実家って、そんなに裕福では無かったし、香だって勉強あんまりできる方じゃ無かったでしょ?』
智子は不思議そうにしていた。
『家、めっちゃお金あるんだけど。それに私東大にも首席で合格してるわ。行かなかったけれども!』
香が平然と答えた。
『嘘!香、引きこもってたじゃない。昔からあんなに苛められてたし。』
智子はそれはないなと言い返した。
『ホントよ。私昔から知能指数めっちゃ高いの。別にどうでもいいんだけどね。今の時代何でもパソコンでしょ?だから、逆に、パソコンひとつあれば何でも好きに出来ちゃうの。お金だって10万から初めて、今じゃ言えないくらい有るわ。私からしたら、ただのゴミだけど。』
香はまたスタスタ歩き出した。
(へぇー、そんなことあるんだぁ~。)
智子はちょっとびっくりした。
市役所に着いて直ぐ、香は広報をいくつかパラパラめくり出した。その後、奥田明子のいる部署を中心に、窓口からみんなの仕事をジロジロ眺めていた。
すると今度はそっけなく。
『さっ、帰りましょ。』
と言って二人で市役所を後にした。
いつものように二人は近所の喫茶店に入って話をした。
『香?今回はなんかあっさりだったね、何かしてきたの?』
智子が質問した。
『ううん、まだ何もしていないわ。情報収集よ。でも大体のことは分かったから、後は私が家で一人でするわ。』
香はまた余裕の態度であった。
『な、何が起きるの?香、私にも教えてよ。』
智子は香の快進撃に興味津々だった。
『奥田明子を犯罪者に下手あげるわ。』
香がにまっとした。
『市役所って、大体何かしら悪いことをしているものよ。広報に発表されているお金の動きと、市役所内の仕事ぶりからして、いくつか不正を働いているのは明白ね。その不正を奥田明子一人のせいに下手あげるの。マスコミにもリークするわ。
市役所からすれば、今までの不正を奥田明子一人のせいにできるんだもの、必ず飛び付くと思うわ。
公務員を首になった犯罪者を、世間は絶対に許さないわ!
待つのは地獄だけよ。』
香は相変わらずの無慈悲ぶりだった。
智子が死にかけたことが心底許せないんだろう。
香はこの復讐劇に手を緩めるつもりは毛頭無かった。
『あっ、そうだ、奥田明子はもう風俗決定だとして、あんた高校の時に優しくしてくれた人はいなかったの?その子には唯一私から素敵なご褒美を上げるわ。』
香が急に智子を助けた子がいなかったか聞き出した。
『あっ、そう言えば一人いる!飯島陽子ちゃんよ!』
智子は大喜びしていた。
『私が苛められているときに、唯一優しくしてくれた女の子なの!』
智子は嬉しそうだった。
飯島陽子は智子にとって救世主の神様だったのだろう。
それを聞くと香は、
『そう、じゃあそいつが黒幕ね。』
と言って席を立った。
あれ?聞き間違いなのかな?と智子は思ったが、香の後を着いて智子も一緒に喫茶店を出た。




