表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の人員整理  作者: 橘 乃笑
1/1

6月某日

少女のタイムリミットまで残り ✕✕:✕✕

私は夢を見ました。


みんなに忘れられて、置いていかれる夢でした。私は直感的に、誰かの記憶かなぁと思いました。こんな最期も嫌だなぁと思いました。寝苦しくて目が覚めました。まだ、朝ではありませんでした。




梅雨独特の湿った空気が私の体を包み込んだ。背中に汗が滲んでいる。この時期はどうも寝苦しくて困る。


制服に着替えリビングに降りると、いつものように母の姿はなく、朝食とともにメモが置いてあった。


「おはよう朱李。今日も残業だから、夕飯宜しくね」


5年前に父が亡くなってから母は女手一つで私を育ててくれた。忙しいのは分かっている。分かっているんだけれど、「母の手料理が食べたい」冷凍食品だらけの朝食を見つめながら思った。そんな気持ちを潰すようにリモコンのスイッチを押す。


『最近、日本全国で奇妙な事件が発生しています。いきなり、知らない人物が家族同然の態度で家の中に寝ていたり、知らない人物が話しかけてきたりする事例が多いようです。全国の警察署は見回りを強化し、一刻も早く対策を練ると発表しています。』


「バカバカしい」

そんな一言を味噌汁とともに飲み干した。どうせ酔っ払いだろう。何をそんなに騒ぐことがあるんだ。なんて考えてたりしたら遅刻しそうになった。




始業5分前、ギリギリ駆け込みセーフ。そう思っていたら話しかけられた。

「おはよう朱李ー!ねぇねぇ朝のニュース見た!?怖くなーい?」

「おはよう、見たけど、あんなのただの酔っ払いだって...。そんな騒ぐことじゃないでしょ」

この子は噂話の類が大好物なのだ。今回も噂に踊らされてるだけ。

「それが騒ぐことなんだって!あたしの友達のおばあちゃん家でさ?朝起きたら、おばあちゃんの隣に、ぜんっぜん知らない男の人が寝てたんだって...!その人、ずーっと婆さん、婆さん、って騒ぐから怖くて警察に突き出したんだって!ね、これやばいでしょ???」

「いや、おばあちゃんの方がやばいでしょ...なんでおじいちゃんのこと忘れてるの??おばあちゃん認知症?おじいちゃんの方が可哀想でしょ...。」

「その子の家おじいちゃんはとっくの昔に死んじゃってて...あれ、生きてるんだっけ...?そもそもいたんだっけ...」

「何それ変なの」

「とにかく!これは大事件の予感だよ!全国でも似たようなことが起きてるみたいだし!朝起きたら私の隣に知らない人がいたらどうしよう!!」

「はいはい考えすぎ。ほら彼氏きたよ?続きは彼氏に話してこい」

「あ、本当だ!朱李も知らない人には気をつけてねー!!」


何が言いたかったんだろうか。単純に認知症のおばあちゃんの話ではないのか。そもそも認知症って身内を忘れるくらい酷いものなのかな。なんて考えてたら起立礼に乗り遅れて少し恥ずかしい目にあった。




今日1日は地味だけど嫌なことが積み重なっていた。例えば机の角に小指をぶつける。かと思えば転ぶ。友達に消しゴムを貸したら角がなくなって返ってきた。小テストが急に入る。その結果が散々だった。帰りの時刻が遅くなる。途中でセールスに絡まれる、包丁で指を切る...


些細なことと思われるかもしれないが、これだけの事が一度に起こると少しは憂鬱になるものだ。その気持ちが移ったのか夕飯が少ししょっぱくなってしまった。


母は濃い味付けの方が好きだけれど、私的には納得いかない。いつも出来ることが出来ないのは妙に気分が悪い。



梅雨のジメジメした空気は気分まで落ちるから嫌いだ。今日もまた、汗をぐっしょりかいて、それでも眠れないのだと思うと気分が悪い。

乃笑と書いてのわと読みます。初めまして。文才はないのですがこの妄想を形にしたいと思い筆を取りました(?)。まぁ、趣味の範疇なので適当です。お楽しみいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ