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番外3−2

「えっ!妊娠!?」

夫が産婦人科に僕を連れていき、そこで医師に聞いた結果に僕は本当に驚いた。

僕のお腹の中に赤ちゃんがいるなんて信じられない。

もちろん、夫の子だ。うれしくないわけがない。

ないわけじゃないけど・・・大学どうしよう。

大学は四年制のところに通っているから、今僕は大学四年生なんだ。

卒業するために卒業論文を書かなくちゃいけないって言うのに、出産予定日は来年の4月。

結構お腹が大きいときに卒業だ。

それは僕自身はかまわないけど、夫が許すだろうか。


「もちろん、大学辞めてください」

僕らは家に帰って、落ち着いたところで早速夫に大学をどうしようか聞いてみたら、夫は逆らうことは許しませんというオーラでにっこり笑いながら、そんなことをいった。

「横暴!!僕大学卒業したい!!」

「だめです。お腹大きくても学校に行くなんてありえないです。流産とかしたらどうするんですか。これからは、家でおとなしくしていてください」

「休学もだめなの?」

「そしたら、子供をどこかへ預けないといけなくなりますよ。それに私はあなたに子育てと勉学、それも論文の作成なんてできるとは思えません」

いつになく強い口調でいう夫に僕は思わず詰まり、何もいえなくなった。

確かに僕に両立は無理だ。

僕は一際不器用。料理するにも、洗濯掃除するにも、夫に一から教えてもらわないとできなかった。今は結婚4年目だからそれなりのことはできるけど、いまだに夫の手を煩わせることもある。

黙り込んだ僕の頭をなでながら夫は優しく、

「あなたは私が一生養っていきますから、最終学歴なんか意味ありませんよ」

カチンときた。

最終学歴なんか意味ない!?

夫にしてはとっても不用意な発言だ。

「・・・実家に帰らせてもらいます」

「はい?」

「実家に帰らせてもらいます!!あなたの顔なんかしばらく見たくない!!」

「真央!!」

夫が僕のことを必死に呼び止めているのを無視して僕は必要最低限のものを持ち、家の近くでとまっていたタクシーに飛び乗った。

後ろを振り返ると夫が僕のほうを見ていた。

しばらく許してあげない。

僕は大学を最後まで通いたいのであって、最終学歴なんか気にしていなかった。

もともと夫は僕が働くことを嫌がり、就活はしていなかった。卒業したら専業主婦になるんだろうな、と思っていた。

最終学歴は専業主婦には確かに意味はないかもしれない。でも、僕は大学をきちんと卒業したいんだ。

それなのにそんな僕の思いを夫は踏みにじるようなことを言うなんて。

しばらく実家から学校に通ってやる!

僕は闘志を燃やした。




それは結婚4年目にして初めての(一方的な)夫婦喧嘩でした。

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