番外2−2
さて、そんなことがありつつも、おじさんからおじさんの誕生日を聞きだしたのである。
意外と僕の誕生日に近かった。
これでは、今からでも作戦を練らないと間に合わない。
一応、彼女なのだ。彼氏を喜ばせたいのは、当たり前である。
でも、どうすればおじさんは喜んでくれるのかな。何をしたら幸せな気分になってくれるのかな。
毎日必死に考えた。恥を忍んで、母親や友人に聞きまくった。
でも、皆僕がこれだと思うようなアドバイスをしてくれなくて、僕は困ってしまった。
中には、プレゼントは私、って言えばいいんじゃない、と言う友人までいたほどだ。あほなこと言うんじゃないと、きっちりお灸をすえといたが。
と言うわけで、壁にぶち当たった僕は最終手段に出た。
本人に直接聞くのである。
「おじさん、誕生日プレゼント何がいい?僕、何をあげればいいかわかんなくて」
おじさんはそんなことを聞いてきた僕をじっと凝視して、それからフッと笑った。
怪しい笑顔だ。これは何かたくらんでる。
珍しく彼氏の心を読みますレーダーが働いた僕は思わず身構えた。何言われても動じないぞ。
「そうですね。私としては、一日中、一緒にいてくれて、私のことをおじさんなんて呼ばずに名前で呼んでくれて、そして10分に一回ベロチュウをしてくれたら最高の誕生日ですね」
「こ、このエロ親父ー!!!死ね!死んで煩悩を断ってこい!!」
予想外のことを言われて、彼氏に言うセリフじゃないような暴言をはく。
そんな僕を見て、おじさんはニコニコ笑っているもんだから、ますます僕はいらだって、感情が高ぶって、思わず泣いてしまった。
「な、なんだよ。人がまじめに聞いているのに、いきなり冗談みたいなこと言うなんて、ひどいじゃないか。そりゃあ、おじさんは僕にそうしてもらいたいかもしれないけど、僕にはできることとできないことがあるんだからね!それなのに、おじさんは僕のことをからかって・・・もう知らない!誕生日プレゼントなんかやるもんか!!」
さすがに僕の涙を予想していなかったおじさんは慌てているようだ。
今にもその場から駆け出しそうな僕の腕をつかんで、土下座をし始めた。
「ごめんなさい。少し、冗談がすぎました。反省しております。確かにあなたはそういうことにはまだ慣れていないんですよね。すみません。あなたが私のために一生懸命考えていると知ってとってもうれしかったものですから、ついあなたをいじめたくなりまして・・・」
「なにそれ。おじさんってうれしくなると僕をいじめたくなるの?」
鼻をグスグス鳴らしながら僕はおじさんを見た。
実は少し気分がよかったことは、おじさんには内緒だ。
おじさんの土下座姿なんかめったに見られるもんじゃない。
ちなみに将来的に、泣きまねが僕のおじさんに対する最終手段になるとは今の時点では気づいていなかったのだが。
「そうです。あなたはいじめられるととってもかわいらしい反応をしてくれるので、つい・・・」
おじさんってサドなのかな。
そんな人と付き合っていて僕大丈夫かな。
頭にそんな不安がよぎったが、やっぱり土下座して情けない顔をするおじさんをかわいいと思ってしまい、僕は笑ってしまった。
「で、今度はまじめに答えれくれる?」
「はい?」
「誕生日プレゼントなにがいいの?」
「・・・一日中一緒にいてくれて、私のことを名前で呼んでくれるのが私にとって一番の誕生日プレゼントです」
さっきより一個だけ要求の少ないことを言ったおじさんは僕に向かってとってもうれしそうに笑った。
そんな風に笑うものだから、僕はその願いをかなえてあげようという気持ちになったのでした。
・・・なったのだから、きちんと実行したのだが、おじさんのベロチュウの願いもいつの間にかかなってしまうことに、そのときの僕は全く予想してなかったのであった。
甘い話を目指したのですが、いつの間にかおじさんがサド+変態な人になってしまいました。
うーん、変態だけならよかったのですが、サドにまでなってしまうとは。さすがストーカーなおじさんですね。
でも、あれですね、真央もおじさんに対抗できる技術を身に付けたんですから、これであいこですかね。
将来的に真央は意識しなくても勝手に泣けるような技術を身に付ける予定です。で、おじさんは毎度その泣きまねにだまされて、結局は真央に負けてしまうのです。うん、案外ヘタレかもしれませんね。おじさん。




