表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】転生ニートは迷宮王  作者: 三黒
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/272

89 謁見

「にゃはは! そんなこと気にしてたにゃ? アヤトは心配性だにゃー」

「いやその初めてだからさこういうの」

「王様は優しいから大丈夫にゃ。勇者がこっちの世界に疎いことも知ってるだろうしにゃ?」

 

 おいおい本当かよ。ユネは可愛い系猫耳だから許されてるかもしれないが、俺は一般ニート系オタクだぞ。多少運動してるし、見た目は少しだけマシだとは思うが。

 

「あ、そろそろ城門だにゃ。暑い日に庭の噴水で水浴びしたりしたにゃー」

「お、怒られないのかそれ……」

「勿論なんにも言われなかったにゃ。姫様も笑ってたしにゃ」

 

 なんだ猫耳贔屓(びいき)か? ていうか聖騎士自由すぎないか?

 

「全く、緊張感のない……。ユネ、聖紋の準備を」

「はいはいにゃ」 

 

 二人は篭手を外して手の甲を門に(かざ)していた。衛兵的な人にも見せてたし二重で確認してんだな。俺は聖紋とかいうの持ってないし後ろで待っとこ。

 

「ああ、そこのは客人だ。今のところはな」

「素性についてはまだ明かせないにゃー。ごめんにゃ?」

 

 数十秒後、魔法陣が浮き上がって門が開いた。通ってよしと声がかかる。

 聖騎士のツレってだけでなんのチェックも入らなかった。いいのかそれで。聖騎士の信頼厚いんだな。

 

「アヤト! 中は広いから離れると迷子になっちゃうにゃ」 

「おーすまんすまん」

 

 一面色とりどりの花畑、ガセポっぽい建物、そして噴水。めっちゃ豪華な庭だ……まぁ王族だもんな。

 ユネの言う通り、庭が既に広い。端から端まで歩くだけでもいい運動になりそうだ。

 二人に続いて正面の長い白階段を上ると、巨大な扉があった。縦に五メートルくらいか? 流石にこのサイズを手で押して開けることはしないようで、ルファスが扉の横の衛兵と何やら話している。

 ここから振り向くと庭が一望できていい感じだ。イ〇スタ映え。花畑なう。


「花姫の前庭がお気に召されましたか」

「は、はい。良い場所ですね」

 

 突然話しかけてきたのは執事然とした黒服の男だった。俺の背後に立つな……って冗談は抜きにしてもいつの間にそこに。

 

「名前の通り、姫様の好きな花が植えてありまして。と、言っても姫様が亡くなられて早数年となりますが……」

 

 いきなり重いぞ、おい。お姫様可愛いのかな〜とかの妄想が全部吹っ飛んで墓標と遺影に変わったぞ。

 

「これも全て魔王のせいなのです。姫様は果敢にも、街に攻め入った魔族と交戦して命を落とされました。勇者様、どうか、魔王を、その手で!」

「え、えーと……頑張ります……」

 

 手まで取ってぐいぐい来た。悪いけど俺は迷宮探索に戻りたいんだ……他の勇者いるんだろ?

 

「おや、そろそろ扉が開くようですね。では私はこれで――」

 

 少し目を離した隙に、その姿は消えていた。なんだったんだ。まさかゴースト的な何かか?

 ……いや引きずりすぎだ。今はもう日も出てるし、俺の手握れたんだしゴーストじゃないだろ。

 

「アヤト、なんか妙だにゃ?」

「ん?」

「んにゃ、一瞬だけ変な魔力を感じた気がしたにゃ。影までドロっとしてた気がするし、呪われてたりしないにゃ?」

「ちょ、やめてくれよ」

 

 ゴースト出るにしてもあんなおっさんじゃなくて姫様の方にしてくれ。

 

「あは、半分冗談にゃ。さ、行くにゃー」

「半分って……」

 

 どこまでが半分なんだ。いや、聞かない方が良さそうだなこれは。もうすぐ謁見だしそっちに集中集中。

 城内は割と閑散としていた。朝早いし当然っちゃ当然なのか。

 床も柱も乳白色の岩でできていて、触るとひんやりしていた。大理石みたいな感じか? 何故か博物館を思い出した。

 うっかり触っちゃったが大丈夫だったかな。……柱くらい大丈夫だろ。壺とかじゃないし。

 

「聖騎士ルファス、勇者殿をお連れ致しました」

「入りたまえ」

 

 謁見の間の中も特に作りは変わらなかった。部屋の両端に水が流れててオシャレ。奥には玉座と、そこに座ってんのが王様かね。

 

(頭下げとくにゃ、アヤト)

(あ、ああ。そうだな)

 

 ユネに小声で注意される。あの座っていいって言われるまで座っちゃダメなやつだな。二人に倣って跪いておこう。

 

「楽な姿勢で良い。して、君が三人目の勇者か」

「まあ、多分そうです」

「此度は、誠に申し訳なかった。謝罪しよう」

 

 王様と、隣の大臣的な人、あと側近っぽい鎧の騎士が全員頭を下げる。王様に至ってはわざわざ立ち上がってまで。

 

「え、いやそのやめてください、別に困ってないんで、俺」

「しかし、召喚失敗は我々の落ち度であるからな。君が生きていて本当に良かった」

 

 流れが怪しい。まさか俺も今から魔王討伐に向かうとかじゃねーよな? 

 

「さて勇者よ。''ステータス''と念じてみてもらえるか?」

「へ? ステータス?」

 

 今ステータスっつったのかこの人。俺の耳がバグったのかと思ったぞ。

 

「うむ、その通りだ。他の二人はこれで自らの能力を知れたようだが……」

 

 君はどうなるか、と不安な様子の王様。確かに俺正規ルートで召喚されてないっぽいしな。

 まぁ試すだけ試してみるか。ただ、前やったときは能力とかほぼ出てこなかった気がする。

 

(ステータス)

『一部情報の取得に失敗しました。名前:アヤト=ミズシマ――』 

 

 やっぱりダメだ。レベルもなけりゃスキルもねえ。魔術一覧は見えるが数値は相変わらず見えない。元々見えないんならいいんだが……

 

「どうだ、勇者よ。職業は、そして''パラメータ''とやらは優秀であったか?」

「んーと、職業は迷宮探索者(ダンジョン・アドベンチャラー)、パラメータの方は……多分……表示自体がないっすね」

「な……! やはり、やはり失敗していたか……!」

 

 ガックリと肩を落とす王様。なんか悪いな。

 

「では、エリッツは今まで通り同行ということで?」

「うむ、そうなる……しかし。伝承によれば、魔王を倒すそのときに共にいれば良いのだ」

 

 ならば! と続ける王様。嫌な予感がしてきたぞ。

 

「こちらで一般兵並に戦えるまでになっておけば、自衛程度はできるはずだ。戦力にならずともそこにいれば良い。エリッツを、持たせた転移(ラムルト)の結晶で戻らせ、次は勇者ごと前線へ赴くのだ」

 

 迷宮で腕磨くんじゃダメですかそれ。てか嫌だぞ世界救うとかそういうの。

 

「では早速指導に長けた者を呼ぼう。ああ、一応確認しておくが……魔王討伐には協力してくれるな?」

「あー……っと……」 

  

 ユネの方に視線をずらすが目は合わない。ちょ、マジすかユネさん。

 

「ふむ、もし協力できないとなればそれは仕方がない。君を殺して勇者の器を取り出し、再召喚を図るのみよ」

「やりますやります協力します!」

「助かるぞ、勇者。聖騎士よ、ご苦労であったな。お前たちは下がって良い」

「はっ」

 

 一礼して部屋を出ていくユネとやっと目が合う。超申し訳なさそうな顔でこっちを見ていた。う〜ん、許す! ルファスは許さんがユネは許す。可愛いので。

 

「暫くは城に滞在するといい。部屋は用意してある、案内させよう――ガイス」

「はっ。勇者殿、こちらです」

 

 まぁ見てろよ王様。俺は何とかして迷宮に舞い戻ってやるぜ。世界なんて救ってられるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ