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【完結】転生ニートは迷宮王  作者: 三黒
第1章

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31 邪竜剣

『スキル:鍛冶のレベルが9→10に上がりました。スキル:鍛冶はスキル:鍛冶+に変化しました。称号:鍛冶職人を獲得しました』

「っしゃオラァ!」

 

 思わずガッツポーズする。ひたすら武器を作って合成しての繰り返し。レルアの邪竜狩りでDPもかなり増えたので助かった。

 製作限界レベル? そっちはとっくにカンスト済みだ。作れば作るほど消費DPも少なくなっていくし、実際打ってるわけでもないので大量に作れた。普通の鍛冶屋が一生に打つ分くらいは作ったんじゃないだろうか。

 いやーそれにしても長かった。これで邪竜武器も作れるようになるはずだ。

 そういえば、途中で迷宮に採掘場実装、自動採掘スキルまで獲得したお陰で鉱石類が余りに余ってる。これも宝箱の中に放り込んでおくかな。

 

『メデオル鉱石、フィライ鉱石、エルリント鉱石を空き宝箱に自動で割り振りました。内部のルナを回収しました』

 

 これで良し。鍛冶職人と鍛冶+のお蔭で属性付与(エンチャント)成功率やらなんやらも上がってるみたいだ。最高レベルの武器をゼーヴェと三騎将の分で四振りだけ残して、他のそこそこ良いのは宝箱へ。さて、邪竜武器の製作に取り掛かるか。

 

「只今戻りました」

「おう、レルア! 邪竜討伐お疲れさん、助かった」

「いえ、この程度造作もありません。お役に立てたならなによりです」

 

 そう言って微笑むレルア、マジで天使って感じだ。有能彼女に寄生するヒモになった気分だな。……実際そんなもんか。

 

「そうだレルア、城の周りに探索に来たようなのいなかった?」

「いえ、特には……」

「うーん、そっか」

 

 目立ちやすい見た目だと思うんだけどな。急に出来たからビビって寄ってきてくれないのかね。

 まぁ、今ガッチガチの攻略パーティに攻められてもキツいけどな。邪竜分のDPはほぼ使い切ったからDPも足りてないし、迷宮拡張もできない。

 確か地下50階以降にならないと索敵範囲減少が付かないんだよな。折角だし派手に地下100階くらいまで作りたい。誰も来なそうだし、ゼーヴェ達をDP稼ぎに行かせても大丈夫か?

 

「レルア、あとで三騎将あたりに魔物狩りに行かせるつもりなんだが、それについてってくれないか? あと、これ新しい本。俺の世界のやつだから、これなら呪いかかってることもない……と思う」

「わざわざありがとうございます。私は常識に少し疎いので、こちらで勉強させていただきます」

 

 レルアは俺の愛読書(ラノベ)を大事そうに抱えて出て行った。いやその、魔術とかやるのに共通する部分あるかなって思ったんですよ。

 勉強とか抜きにして暇潰し程度に読んでくれればいいからな! って言おうかとも思ったが、まあいいか。なんとなく雰囲気でそういう本じゃないってわかるだろ。

 ……てか、暇潰しが本だけってのもアレだよな。あとで趣味とか聞いてこよう。

 

 よし、じゃあ今度こそ邪竜武器――作っちゃいますか。

 振ってみたいのは剣だし、邪竜剣で決定。


『邪竜剣を一本製作します。オプション:属性付与(エンチャント)ランダム。製作コスト:50,000DP+100DP』

 

 実行、と。

 

『製作完了。攻撃力UP、魔力UP、異常耐性DOWN、狂化が付与されました。邪竜の怨念により、狂化のステータス補正がUPします』

 

 待て待て待て。めっちゃ色々ついてきたな。そしてクセが強い。

 もう持つだけで発狂するんじゃないかってレベルの禍々しい剣が机の上に。SAN値チェック不可避だぞ。俺こんなん振れるか?

 

(すまんレルア、邪竜剣が明らかにヤバいから来てくれないか)

(了解です)

 

 レルアは、ドアを開けると共に苦い顔をした。

 

「マスター、その剣にはまだ触れていませんね?」

「ああ、狂化とかいうスキルも付いてたしな」

 

 レルアは軽く頷くと、邪竜剣を手に持つ――

 


 ――あ?





 ――?   ?





 灰色の砂嵐。いや、違う。

 視界のノイズが消えると、俺は灰色の部屋……部屋というより、何か巨大な立方体の中にいた。

 人は誰もいない。物も何もない。出口はない。声も出ない。どこだこれ。俺は迷宮にいたはず……まさか全部夢だったとか? ならどこからが夢だ? ってか、ここはどこだ?


 体は動く。出口を探そうと立ち上がると、立方体が縮み始めた。

 ボコボコと歪に変形しながら、壁と天井が恐ろしいほどの速度で俺に迫る。避ける間もなく押し潰される。


 ――――――――ああああ、あああああ?

 ぐ、く、苦しい。苦しい? 嫌だ、嫌だ、灼ける、嫌だ、痛い、嫌だ、苦しい。ああ、死ぬ。潰れる。なんで。もう駄目だ。助けてくれ。

 

「マスター!?」

 

 目の前が裂けた。裂け目で邪魔をしてるのは誰だ。

 死ぬのは嫌だ。殺して退ける。そうだ、剣、剣を――


 ――剣を奪え。命を奪え。あの身体に突き立てよ。血で染めよ。この渇きを癒すのだ。殺せ、殺せ。殺す。殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す――

 

浄化(キュア)!」

 

 体が軽い。急に楽になった。苦痛もない。ああ、これが天に召されるってやつか。

 


 

* * *

 

 

  

 ――――――知らない天井だ。いや知ってる。迷宮地下39階の天井。そうだろ?

 

「マスター!」「ロード!」

「ようレルア、それにゼーヴェ。元気か?」

 

 あれ、俺って寝れないんじゃなかったっけ。つーかいつの間に寝た? 何も思い出せない。

 

「マスター、申し訳ございません。拡散系の呪いだとは気付かず、碌な準備もなしに解呪(ディスペル)を発動してしまいました」

「えっと、何が起こったんだっけ? てかなんで皆ここにいるんだ?」

 

 見回せばアルデム、カインにアイラ……三騎将の面々まで部屋にいた。

 

「レルア殿に急遽集まるように言われたからのう。無事で何より、じゃの」

「ったく、人騒がせなマスターだぜ。精神耐性あげてねェのか?」

「……ん。元気そう、良かった」

 

 急遽集まるように??

 

「マスター、邪竜剣を製作したことは覚えていますか?」

「あー、うん。それでレルアを呼んで……あれか!」

「はい。この"狂化"は周囲に広がる呪いでしたので、結界を張るなどの対策をする必要がありました。本当に、どうお詫びして良いか」

「そんな謝らないでくれよ。結局誰も死んでないし怪我もしてない。それはレルアのお陰だ」 


 やっぱヤバい剣だったんだな。触んなくて良かった。

 

「そうだ、剣はどうなった?」

「机の上に。呪いも解けています」

 

 ベッドから起き上がろうとすると、ゼーヴェが剣を持ってきてくれた。確かに禍々しい雰囲気は消えて、ただの黒い格好いい剣だ。

 

「あ、さんきゅ。これなら俺でも使えそうだ」

 

 邪竜系武器全てに狂化がつくなら、精神耐性そこそこ高いやつしか開けられないような宝箱に入れないとだな。仮にも勇者の俺が、拡散する呪いだけであれだし。

 てか、これを機に異常耐性上げておきたい。邪竜武器も作り終わったし、次は異常耐性上げるか。

 

「よし、皆。わざわざ集まってもらって悪かったな。俺はもう平気だから、ゼーヴェたちは騎士団のゴーストと狩り行ってきてくれ。あ、レルアはちょい残ってもらえるか」

 

 いつか狩りにもついて行って、剣術とかその辺のスキル上げもしたい。

 とりあえずは異常耐性上げ。思い付いたのはきっと一般人には不可能な方法だが、レルアに手伝ってもらえばいけそうだ。

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