表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】転生ニートは迷宮王  作者: 三黒
第8章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

253/272

249 転生ニートは迷宮王

「ギャアハハハ! 次ッ、次ィ!」

 

 暴れ回っているのは、最近絶好調のカイン。場所は地下50階。

 

「ンだよ、今ので最後かァ? もう1人くれェいると思ったンだがなァ」

 

(最後のは自殺コマンドを使ったぞ) 

 

「はァァァ? つまんねェ奴だなァ。どうせ死ぬなら戦って死ねよなァ」  

 

 いやあ、正直俺は挑戦者の方に同情するぜ。地下50階で出会っていい強さじゃない。……配置したのは俺なんだが。

 レイレス戦辺りから更に強くなった気がする。ゼーヴェが正しい剣の振り方を教えたとか何とか言ってたが、それだけでここまで強くなるもんかよ。

 

()めだァ止め。俺ァ休むぜェ」 

 

(ああ、お疲れ) 

 

 カインが転移門(ゲート)で転移すると、急に静かになった――

 

(わっぱ)!」

「うおお!?」 

 

 ――わけでもなかった。

 

「急に耳元で叫ぶのはやめろって。リフェアでもやらないぞ」

「カカカ、これも遊び心よ」 


 リフィストは相変わらず日々暇そうで、やることがないとすぐ俺にちょっかいをかけにくる。さてはニート仲間だと思われてるな。俺はこいつほどは暇じゃない。

 

「のう、アレの新刊は無いか?」 

「ねーよ、週1だっつってんだろ。つーか借りたら返せ、教会を図書館にするつもりか?」 

「ふうむ、それもいいかもしれんの。こちらの言語に翻訳する気はないがな!」 

 

 どこまでも自由な奴だ。別に週刊誌くらい2冊買えばいい話ではあるが。  

 こいつのことだから何か裏技を使ったんだろうが、今や漫画くらいなら問題なく読めるくらいの日本語力を手にしている。ベッドに寝転がって別の単行本を読む姿にため息をつきつつ、モニタに目を戻す。

 

 あれから数週間。死んでった仲間も皆復活して、迷宮はすっかり元通りになった。

 マコトがめちゃくちゃにしてった部分を戻すのには苦労したが、幸い上層は無事だったので営業は通常通り続けられた。

 

 マコトの術を消したシルヴァのメダルは、魔力より上のエネルギーの源……みたいなのを封じるものだったらしい。ただの解呪(ディスペル)の延長だと変化しまくる魔力に対応できないから、そういう仕組みにしたんだとか。

 これをあの時間で作り上げるのは本当に凄いことらしく、ラティスが褒めまくっていた。あいつ曰く「既に私を超えた」「稀代の天才魔術師」だとか。暗黒面に落ちないのを祈るばかりだぜ。

 

 で、そんな稀代の天才魔術師にして発明家・シルヴァは、そのメダルを改良して指輪型にした。魔力を封じる首輪を参考にしたらしいが、その効果は段違いだ。

 これは俺の神性みたいなものを弱めるらしく、なんと付けてる間はぐっすり眠れる。……っていうと地味だが、俺にとっちゃ革命だぜ、これ。今までは何があってもすぐ起きてたからな。

 

 まあもっと分かりやすく役立った例がある。リフェアだ。彼女にとってはかなり助かるアイテムみたいで、なんと影の能力が(非使用時に)感知されなくなる。宮廷筆頭占術師(アルクディヌス)ですらその位置を()ることができないってわけだ。

 能力自体は使えるから、まさにいいとこ取り。後は顔さえ隠せば聖騎士に追われることもないし、外の世界にだって出ていける――実際そうする予定らしい。

 元々憧れはあったみたいで、カインやら迷宮街の探索者やらに冒険の話を聞いては目を輝かせていた。

 寂しいが本人の意思だ。可愛い子には旅をさせよって言うしな。

 と、ドアが開く。

 

「よォ、マスターァ。オレにも1本くれェ」

「ほらよ」 

「くゥーッ、効くなァ」 


 俺はバーテンみたいだし渡してるのは酒みたいだが、実は普通のサイダーだ。  

 

「リフィスト様ァ、ちょっと詰めてくれねェか」

「仕方ないのう。ほれ」  

「おォありがとよ」 

「カインさん!」 

 

 カインがベッドに腰掛けたところで、続いて入ってきたのはリフェア。リビングみたいな人の集まりようだ。

 

「お仕事は一旦おしまい?」

「あァ。っつーこたァ……」  

「うん! 今日のお稽古、お願い!」

「仕方ねェなァ! じゃあいつもンとこ行くかァ!」

 

 カインはサイダーをグイっと飲み干して立ち上がる。この2人が話してるなんてちょっと意外な感じだが、割かし上手くいってるみたいだ。いや本当に意外だが。カインも大人になってるのかもな。

 この稽古はリフェアの方からカインに頼み込んだらしく、理由は「手を抜かなそうだから」だそうだ。まあ女子供だろうが容赦しないタイプではある。つっても教える役に向いてるかと言われると……どうなんだろうな。

 

 2人が地下70階の花畑で繰り広げているのは正真正銘の真剣勝負(マジバトル)で、一時期よく目にしたカイン対アイラとは違う迫力がある。あれは一方的にあしらわれてることが多かったが、こっちはカインの方がギリ強い――けどたまに負ける――くらいで拮抗している。

 最近いよいよ化け物じみて強くなってきたカインについていけるリフェアに驚くべきなのか。それとも、かつて迷宮上層の敵を蹂躙した影の濁流にその身一つで対抗できるカインに驚くべきなのか。

 確実に言えるのは、あの中に飛び込んだら瞬殺されるってことだな。ただ旅に出るためだけの稽古にしちゃ過剰に見える。

 

 リフェアは家族を2度失ったようなもんだし、その悲しさを紛らわせる意味もあるのかもしれない。その辺のメンタルケアはラビが得意としてたとこだから困る。カインには向いてないだろうし。アイラが気を使ってくれてるみたいではあるが、本人は(少なくともアイラの前では)平気そうな顔をしているとか。

 

 ちなみに、リフェアの旅にはシルヴァが同行する予定だ。こいつにも何だかんだ自分探しの旅……みたいなのが必要かもしれないし、丁度いい機会だと思う。後衛2人のパーティにはなるが、あいつら強いし何とかするだろ。

 まずはこっちを見て回ってから、魔界の方にも行くらしい。そのついでに魔王城の近くに簡易転移門(ゲート)を設置を頼もうと思ってる。持って行っとけば万が一のときにも使えるしな。

 

 転移門(ゲート)つっても、魔王らしく魔王城に住むつもりは毛頭ない。行き来しやすいと色々楽だなと思っただけだ。

 魔界の方はイヴェルたちに任せることにした。魔王代理はロロトスだ。あいつほどの適任はなかなかいないぜ。

 一応は魔王代理って扱いだが、あの黒鎧にあの実力。俺よりよっぽど魔王らしい。

 あいつらが今住んでる……っつーか隠れ潜んでる場所は随分辺鄙なとこらしく、どうせならってことで快諾してくれた。魔界の状況は良いとは言えなそうだし支援はしていくつもりだ。何すりゃいいのかよく分かってないが。

 ロロトスは元々その見た目に相応しい役職に就いてたらしいし、政治についても多少は詳しいだろう。この辺もぶん投げちゃっていいかな、なんて思ったりして。


「マスター、失礼します」

「おおレルア。どうした?」  

 

 レルアはサボりのリフィストを一瞥してから、俺に書類を手渡す。また迷宮街に新しい店ができるらしい。

 レルアは最後のシエル戦で相打っていたようで、復活までの間俺は気が気ではなかった。天使は死ぬと天に還って、別の天使として再構成されるとか何とかって聞いてたからな。リフィストが復活したから多少は安心できたが。

 

「どうかされましたか?」 

「ああ悪い、ちょっとぼーっとしてた」

「お疲れでしたら私の方で片付けておきますが」

「いやいやいい! 俺がやるよ」   

  

 やっと色々落ち着いてきたんだ。こういう面倒なのだって喜んでやらせていただきますとも。

 四六時中モニタ見てないと死ぬわけでもないし、何かあればシステムがお知らせしてくれる。権限も全部戻ってきたからな。

 

 あと、あの戦いが終わってから妙に向こうの世界が懐かしくなった。ってことでラティスとかと一緒に時空を渡る魔道具を開発中だ。

 DPショップの品揃えが増えたのもこのお陰だったりする。元々大体のものは揃ったが、最新の漫画とかゲームとかはなかった。毎日がゲームみたいなもんだとはいえ、実際は現実だからな。たまには向こうの娯楽に浸ってみるのもいいもんだ。

 

 そんなこんなで、平和な日々を楽しく過ごしている。もう命を狙われるようなのはご遠慮願いたいが、それ以外なら大歓迎だぜ。

 

 さーて、今日はどんな探索者が来るかな。

 

 

 

 

 

転生ニートは迷宮王 完

これにて本編完結です。長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました!

(もし良ければ評価などぽちっとお願いします……!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ