口が裂けたって言えやしない1
「都市伝説?」
桐山の発言に疑問しかない美智香。そんな彼女を他所に桐山は続ける。
「厳密に言えば、都市伝説とか神話とかかな。神田はそう言うの信じる派?それとも信じない派?」
「私は・・・」
返答に困り言葉に詰まる美智香。だが、少々の沈黙の後、戸惑いながらも答える。
「どっちかって言われると、若干信じる派かな。ここに来るまでもこの変な事務所がないとは思ってたけど、それでも少しはあるかもって信じてたしね。」
「若干信じてる派か。なんか以外だけど・・・。」
そう言ってソファから立ち上がり、事務所の奥にある桐山の机の棚からあるものを取り出す。
「神田。今日から僕の助手になってくれる?」
桐山は美智香の手のひらの上に銀色に光る奇妙な箱を置きながら言った。
「何これ?てか、助手!?」
「うん。助手。ちょうど欲しかったんだよね。信じる派の神田なら適任だと思うし。」
「ちょっ!ちょっと待ってよ!私やるなんて一言も!この箱もいらないし。」
美智香は助手の件を断ろうと銀色の箱を桐山に返しながら答える。しかし、桐山もそう簡単には引き下がらない。
「そう言わずに!部活動みたいなノリでさ〜。お願い!この通り!!」
桐山は両手のひらを合わせての懇願ポーズ。箱は受け取らない。
「・・・・・・はあ〜。こんなとこまで来たのも何かの縁だしね。」
少し悩んで美智香は決心した。
「わかった。私でいいなら。助手やります。」
桐山の押しに負けて、仕方なく助手を引き受けた美智香。
「いいの?マジで!やったーー!!」
大喜びして、思わず叫んでしまう桐山。
(私ってどうも押しに弱いんだよな〜。)