地下へ続く階段の先3
「って、神田じゃん。どうしたの?わざわざこんなところまで?」
美智香の目の前にいる少年は何事もなかったかのように椅子に座った状態で頭の後ろに手を組んでいた。
「・・・どういうこと?」
少年とは対照的に現状を全く理解できてない美智香。その場に立ち尽くしたままだ。
「まあいいや。立ち話もなんだし、そこ座りなよ?お茶くらい出すよ。」
そう言って、黒く長いソファに美智香座らせようと催促する少年。
「いやいやっ!!お茶よりもここはどこなの⁉︎ 桐山君⁉︎」
「わかったから落ち着いて? 順を追って説明していくからとりあえず腰掛けて? ね?」
そう言って美智香に座るように催促する桐山。それを聞いて腑に落ちない表情をしながらもソファに腰を落とす美智香。
「ちゃんと説明してくださいよ。」
「まずどこから話そうかな。」
桐山は美智香とは反対側のソファに座り、自分で出したお茶に口をつける。
「そうだね。じゃあ、まずは自己紹介でもしとこうか。」
「改めて、僕の名前は桐山狼牙。みんなからはろうちゃんって呼ばれてるかな。」
「君の名前はもう知ってる。私が知りたいのはここのことだよ。」
桐山の自己紹介などどうでもいいのか、自分の質問への返答を催促する美智香。机を乗り上げて尋ねる。
「わかってるよ。ここはね、超常現象調査事務所。名前長いから好きなように略していいよ。」
桐山は美智香の威圧にも動じずに答える。それに反応して美智香もソファに座り直す。
「学校の噂の通りの場所だよ。少年の声の正体は僕だし。」
平然と噂を肯定し、あまつさえ声の主は自分だと明かす。