地下へ続く階段の先2
そして現在に至る。
(誘っておいて用事で帰るってひどいよ〜。宇佐美の馬鹿‼︎絶対なんか高いもの奢らせてやる‼︎)
宇佐美は自分から誘っておきながら、一階の渡り廊下の前で突然携帯が鳴り、親に呼ばれて帰ってしまったのだ。
(私も帰っても良かったけど、ここまできたら気になるし・・・)
なんだかんだ言って美智香も気にはなるようであり、渡り廊下の奥を目指して恐る恐る足を進める。
そしてついに見つける。
「あった・・・」
渡り廊下の奥に、本来、あるはずのない地下への階段を携帯のライトが照らしていた。
「ゴクリ・・・」
美智香は思わず生唾を飲み、覚悟を決めた。それもそのはず。この地下へと続く階段は月の光さえも届かない為、真っ暗闇が広がっている。そこを渡り廊下ですでにかなり怖がっていた人間が行くとなればかなりの覚悟が必要なのは必然だ。
「・・・・・・・」
ライトで足元を照らし、階段を一段ずつ降りていく。時々、足をつまずきそうにもなるが、転ばないように慎重に歩を進める。
「わわっと⁉︎」
途中でつまずきそうになりながらも、なんとか階段を降り切った。
「何・・これ・・」
しかし、階段を降りたところで部屋など見当たらなく、それどころか、さらにそこから暗闇が永遠に続くかのような長い廊下があった。
(やっぱり来なきゃ良かったーーー!!)
もはや後悔しかないまま、戻るにも戻れず、廊下の先の部屋がないか懸命に探す。が、しかし、
「部屋なんてどこにもないじゃん!」
真っ暗闇の中に響く美智香の声。その声は廊下の中に寂しく消えるだけだった。
(もう10分くらい歩いてるのに‼︎)
携帯の時計はすでに夜の9時10分を表示していた。
(もう疲れちゃった・・・)
そう言いながら、壁を背に腰を落とす。
(何やってるんだろう?私・・・)
美智香はすでにかなり後悔していたが、ここへ来てさらに後悔の念に苛まれた。
パチ
「え⁉︎」
すると突然、美智香が座っていた廊下の背中の壁に部屋が現れ、電気が付き出したのだ。
「え⁉︎ え⁉︎ どういうこと?」
この状況に驚きを隠せず、あたりをキョロキョロ見回して他に人がいないか確認する。
「勝手に扉が・・・!」
さらに立ち上がり、扉の前に立つと、コンビニエンスストアの自動ドアのように扉が勝手に開いた。
「ようこそ!!超常現象調査事務所へ!!」