地下へ続く階段の先1
黒い長髪の少女が学校の廊下を携帯のライトで照らしながら歩いている。
(うう〜。怖いな〜。夜の学校ってなんでこんなに怖いんだろう。)
この少女はこの学校のとある噂を検証する為、こんな夜遅くまで残っていた。
(ほ・・・本当にあるのかな?地下室なんか?)
事の発端は放課後のある出来事から始まる。
「地下室の噂って知ってる⁉︎」
今にでもウサギのように飛び跳ねそうなテンションで投げかけるのは藤堂宇沙美と言う少女
「地下室の噂?」
その問いに椅子に座り、本を読んでいた頭を上げて答えるのは、神田美智香。
「え⁉︎みー知らないの?地下室の噂⁉︎」
「うん。」
宇佐美の問いに即答え、本に目線を戻そうとする。
「はやっ⁉︎」
宇佐美は美智香の即答に驚くも続ける。
「夜9時になると、この学校の一階の渡り廊下の奥に地下への階段が出来るって噂は知ってるよね?」
「その噂は学校中の噂になってるから知ってるよ。」
本からの視線を外し、宇佐美の方を向いて話す美智香
「でね!最近その道の奥からなんか男の子の声が聞こえたんだって⁉︎」
と、ワクワクしながら語る宇佐美。
「うーん。なんか次に宇佐美が何言うか予測できちゃったかも・・・」
宇佐美とは逆に項垂れ、机に肘を付く美智香。
「ねぇ⁉︎一緒に確かめに・・・」
「嫌だ!!」
「まだ最後まで行ってないのに!!」
ため息をついて、目線を宇佐美に戻す美智香。
「宇佐美の言いたいことなんてすぐにわかるよ。だって中学からずっと一緒にいたんだし。」
「いやーそれほどでもー」
「褒めてはないけど・・・」
美智香は再びため息をつき、本に目線を戻そうとするが、それを宇佐美が美智香の手を握ることで遮る。
「どうしても気になるの⁉︎ねぇ?今度みーの何か欲しいもの奢るから‼︎」
「いや・・・でも・・・」
それでも渋る美智香に対して子供のキラキラとした瞳で見つめる宇佐美。
「うっ・・・」
(・・・まぁ、親友の頼みだし仕方ないか。)
「わかったけど、なんかあったらすぐ帰るからね!」
「ありがとう‼︎」
宇佐美は本物のうさぎみたいに飛び跳ねた。