集合編1
謎の陰陽師と名乗る男、龍神響が現れた。彼は一体味方なのか⁇
「俺は龍神響、日本最後の陰陽師だ」
「……」
頭変なんじゃないか、こいつ?陰陽師なんてあんなのはただの迷信で、陰陽師だ、とか言ってる奴は詐欺師だろ。今のご時世、特に技術革新が進んだ現代ではそんなもの存在しないはずだ。
「信じられないみたいだな、まぁ信じなくていい。普通の人で信じてるのは、頭の変な人だからな」
そう言ってくれるのはありがたいんだが……
(さっきの爆発はどう説明するんだよ‼︎)
と言う疑問がどうしても残る。
「さっきの爆発の事が理解できない、という顔をしているな。」
テレパシーでも持っているかのように自分の考えを読まれて思わずたじろぐ。
「教えてもいいが、とりあえず君の名を教えて欲しい」
「お、俺は薩美凌」
言い忘れてたな。
「分かった薩美、今すぐ話してもいいが、その荷物からしてどこかに行こうとしていたようだが先を急ぐか?」
第一公園に向かっている事も忘れてた。早く集合したいが、こいつの話も気になる。だったら……
「出来れば、両方お願いしたいんですけど……」
「さっきも言った通り、俺は陰陽師だ。陰陽師ってのは知っていると思うが、古くから邪霊、悪霊といった事に対してそれを消す事を仕事としてきた者だ。」
結局公園に向かいつつ話を聞く事にしてもらった。
「そして先ほど爆発に使ったのがこれだ」
龍神はポケットから火と書かれた紙を取り出す。
「世間の人たちが式神と呼ぶものだ。ここに火と言う字が書かれているだろう。火に関する力がある、先ほどの爆発のようにな。他にも水や雷、土といった字なんかもある。式神はそこに書かれた字に応じてその能力を変える。」
(うわぁ、本当にあったんだ)
実際に見た今でさえ、にわかに信じられない。
「今までも代々陰陽師として仕事をしてきたが、今日の奴らはそういった物とは違うようだが、君は何か知っているか?」
「空から急に落ちてきた事以外は全く……」
あともう少しで公園だ。この陰陽師さんと一緒にいるからか安心して歩けている。すると、
「何か物音がするな……」
と言い走り出した。動きにくいであろう着物を着ているにも関わらず滅茶苦茶な速さだ。俺も付いて行きたいが、ぽっちゃりというのも重なり置いていかれる。
(どこ行ったんだ?)
龍神は、俺たちが歩いていた道をまっすぐ走っていった。あの方向はにあるのは……公園だ。集合場所の方から何か音がしたんだ。
(急がないと‼︎)
龍神に追いついたところは公園ではなかったが、そこには……死体があった。
「龍神‼︎」
龍神に近づきその死体を見ると、脳がくり抜かれていた。中を見ると思わず吐きそうになり、目をすぐに逸らす。
「薩美、君は公園で皆と集合すると言っていたな……急ぐぞ!」
また龍神は走り出す。
(また走るのかよ〜、もう疲れたのに〜)
そうも思っていられない状況である事は、彼の顔を見れば一目瞭然だ。なぜならその死体が来ていた服がうちの学校の制服だったからだ。おそらく公園に向かおうとした人だろう。
(みんながやられる前に助けに行かないと‼︎)
公園の近くに行くと、
「凌、こっちだ〜」
と、金作が呼ぶのが聞こえた。彼は公園の端の草むらにいた。俺と同じようにリュックを背負い、手には何かを……
(め、メリケンサック⁇)
こいつ、本当に馬鹿なのか?相手は遠距離から攻撃してくるんだぞ。そんな近距離専用武器で戦えるわけないじゃないか。
「いいところに来た、凌。あそこに2体いるから片方の注意を引いていてくれ!残りの方は俺がやる。」と言ってすぐ走り出した。
仕方なく、あいつが向かっているのとは別の奴らの方に走る。そこで目の前で起きている事に目を疑った。金作は奴らが振り向く前に、素早く入り込み一発目を腹にパンチをぶち込み、態勢を整えさせる前に顔面に二発目を、三発目は後ろにたじろいだ瞬間に胸の少し上辺りを狙い、顔が下を向いた途端に両手を重ね後頭部のようなところを叩き落とす、という四連撃を食らわせていたのだ。
「こいつって、めちゃくちゃ強いんじゃね……」