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ラストヒーローズ   作者: やましくないヤマシィ
日本蹂躙編
13/52

防衛編1

「遅いぞ貴様ら!いったいどこをほっつき歩いてたんだ?」

隊長室に入って浴びせられた第一声はこれだった。

「すみません」

「すまない」

一応謝らなければさらに機嫌が悪くなりそうだな、というか遅いも何もそんな予定なかったはずなんですけど……

「何かあったんですか?」

「ああ、いい報告と悪い報告だ。」

どっちから聞きたい?、という表情でこっちを見てくる。

「じゃあまず、いい報告からお願いします。」

「よし河合説明してやれ。」

てっちゃんが前に出てくる。

(家にずっと引きこもりってPCばかり見ていた男が外に出て、それも人前で喋るなんて人も変わるもんだなぁ)

という、少し失礼なことを思いつつてっちゃんに耳を傾ける。

「昨日から各国の政府のネットワークにアクセスしていたところ、アメリカ、ロシア、そして中国が日本各地に軍隊を派遣する、ということで一致したようです。到着するのは二日後で、場所はこの近くだと常盤港です。」

「おぉ、ようやく援軍か」

「アメリカ軍が来れば余裕だな」

同時に歓声も上がる。

常盤港といえばここから南に10キロほど行ったところか。ここらでは一番の巨大な港だ。あそこならばかなりの数の船が発着できるはずだ。

「あと、悪い報告についてですが……」

はーー、とてっちゃんが一息つく。

「恐らく、日本の首都、東京は壊滅しています。霞ヶ関にカルダノたちは落ちたようで、各党の建物を占領した、という情報が入っています。国は混乱状態で各国務大臣は東京を離れ、今現在指揮系統は成立していません。さらに悪いことに敵のおおよその数ですが、沙織隊長たちが見たというポータルを考慮すると、およそ3万ほどかと思われます。」

「それは全国で?」

思わず質問する。

「いや、この地域だけだよ。」

無茶苦茶だ、3万が全国各地に散らばっているなんて山間部はすぐに占領下になるだろう。

「こちらの兵力はどのくらいだ?」

「全国に約100万人ほどは、まだいるかと。ただし、カルダノたちはこれからも出てくると考えられるので消耗戦になると考えられます。また、全国に同じようなポータルは10あるそうです。」

かなり厳しいな、そういう雰囲気が部屋中に漂う。

「全国に奴らの弱点である右胸のことは知らせたのか?」

沙織さんが問う。

「そうだったんですか⁉︎何でそれを教えてくれなかったんです⁉︎すぐに全国にいや、全世界に向け発信しますよ!」

「馬鹿者!早くしろ!」

(あーあ、てっちゃんも罵倒されるようになったか……)

「で、何か俺たちはするんですか?」

てっちゃんへの怒りを忘れさせようと話をそらす。

「我々はすぐに常盤港に向かい、各国の軍艦が入れるよう安全確保に向かう。これから各部隊に連絡し、四小隊を防衛に向かわせる。お前たちは1時間後に装甲車前に集合しておけ。以上だ。」



(各国の軍艦が来ればこちらの戦力は大幅にアップするかもしれない。そのまま押し切れれば良いなぁ)

自分の荷物を置いてある所で座りながらそんなことを考えていた。

こんな地獄の中死ぬなんて想像できない。

ふと時計を見ると集合時間まで30分を切っていた。出来れば何も起こらずに各国の軍隊が来れば良いだが……まぁ、恐らく敵には会うことになるだろう、なんせ数がどんどん増えているんだからな。

その時だった。

「ウィィィィィン、ウィィィィィン‼︎緊急事態発生、緊急事態発生!現在カルダノが接近中、繰り返すカルダノの大群が接近中!」

聞いたことのある、そして思い出したくもない音だった。


初めて学校に落ちてきた時と同じ音だったから……



すぐに隊長室に向かうと金作たちも来ていた。

「さっきの警報って……」

「すぐに第二防衛ライン中継所に行くぞ!河合、お前はここで全ての情報の処理及びそれを全部隊に知らせろ!」

「了解しました!」

皆、何も考えずに走り始めていた。



濃い緑色の装甲車に乗ると綾月さんが、

「第二防衛ライン中継所ってどの辺りにあるんですか?」

と聞いた。

「あの避難所を中心として500メートルごとに円状の防衛ラインを張っているんだ。一番近いところを第一防衛ラインというふうにね。だから我々が向かうのは避難所から一キロ離れたところだ。」

装甲車が着くとそこは古ビルが立ち並ぶ場所だった。

「ここなら上から発見しつつ狙えそうですね。」

そう言うと、

「ああ、我々は発見し味方のレーダーに映すことと……」

沙織さんは背中に背負っていた箱からスナイパーライフルを取り出す。

「遠距離から狙い撃つことだ。薩美、お前は射撃の腕はかなり高かったな。狙撃は出来るか?」

あれ、俺銃の腕が良いなんて思われてたのか。

「何発か試せばできると思います。」

「よし、任せる。他の者はこれを使ってカルダノを多く見つけ、絶対中に入れさせるな!」

皆に渡したのは双眼鏡なものだった。

「これは見つけた位置を3秒間マークし続けると本部のネットワークを介して全部隊に知らされる。」

「了解っす、3秒ですね。」

金作はやる気満々になっている。

「敵の数は何体とか分かってるんですか?」

これで千体とか言われたらショックで寝込みそうだ。

「一万という情報だ。」

絶望的だな、おい。



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